むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

ウガンダを語る

2008年10月30日 21時49分31秒 | Weblog
ウガンダを舞台にした「ウォーダンス~響け僕らの鼓動」の試写会は、NPO団体の「テーブル・フォー・ツー」の紹介で観ることができた。
同団体は、企業の社員食堂のメニューから1食20円ずつ寄付に回し、アフリカの子どもたちの給食に役立てる運動をしている団体だ。

同団体の事務局長、小暮正久さんは今年6月、ウガンダの貧困の現場を訪ねた。
そこでは、学校給食は、子どもたちに単なる栄養を与えるだけでなく、勉強の習慣をつけ、さらには子どもの将来に希望をもたらす役割があることを感じたという。

「ウォーダンス」の上映では、12回のトークイベントが開かれ、そのうちの1回を小暮さんが担当する。
とても頭が切れ、「できるビジネスマン」オーラを発しながら、いやみがなくさわやかな人だ。(新聞社には絶対にいないタイプ・・・)
生まれ変われるものなら、あんな男になりたいもんだ(笑)


トークイベントではバイオリニストの川井郁子さん他が続々登場。
詳しくはHPで。

◆映画「ウォーダンス」  11月1日から
http://www.wardance-movie.com/


音楽の力

2008年10月30日 08時15分34秒 | Weblog
人間はどこまで残酷になれるのか――

ウガンダ北部の子どもたちをテーマにした映画「ウォーダンス」を試写会で観た。

政府軍と反政府軍による紛争に巻き込まれ、親が殺され、その子供は親の生首を見せつけられる。誘拐された子どもは少年兵にされて殺戮を強要される。
そんな傷を背負った子どもたちが、音楽や踊りをきっかけに希望と民族のプライドを取り戻していくストーリー。
子どもの表情に徹底的にこだわっていて、言葉のひとつひとつが重く伝わってくる。

  ×   ×

映画では、木琴と太鼓の腹の底に響くようなアフリカの音楽が随所で流れる。
生きる力を与えてくれる音楽っていいなあ・・・。
入社2、3年目のころ、病院で取り組む「音楽療法」の取材をしたのを思い出した。
最近では、フリースクールのような場所で、若者たちとバンドを組んで立ち直り支援をした人の話も聞いた。ただ、ビートルズソングをやってすぐにあきらめたらしいけど。

音楽って聞くのもいいけど、どんなに下手くそでも自分でやる方が数百倍?楽しい。
秘かなプロジェクトを計画中・・・

ムダの素晴らしさ

2008年10月29日 00時06分48秒 | Weblog
「今は、過ぎ去った台風の後のさわやかな風が吹いている」

マラソンの高橋尚子選手が引退会見した。
悔しさや無念さを吐き出す場であるはずなのに、何でこんな言葉が言えるんだろう。

高橋尚子は、自分よりも学年でいうと2年下。
関西の大学出身で、おそらく学生時代は同じ日に同じトラックを何度か走っている(はず)。
ということもあって、なんだが感情移入してしまう。
歴史的なシドニー五輪の優勝シーンも競技場で「生」で観た!

マラソンの特徴って、「ムダ」に耐える強さだと思う。
他のスポーツとは比較できないほど、マラソンには長時間の練習が求められ、その大半は単調でつらい積み重ねだ。
膨大な「ムダ」があるからこそ成り立つ輝き。
でも、輝けるのはほんの一握りで、一瞬だ。
そんなリスクを負う「いさぎよさ」が高橋尚子の魅力で、最後の会見でもそんな姿勢が伝わってきた。

性別を超えて、文句なく格好いい!

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081029k0000m040108000c.html

社内抜かれ

2008年10月28日 17時02分28秒 | Weblog
「抜かれ」や「特オチ」
一般社会では全く使われないのに、この仕事をしているうちは、嫌~な言葉だ。

他社と一緒に追っている事件や話題で、他紙の1面や社会面に大きく記事が出てしまうことだが、本音をいうと、いまだにそうした争いにあまり興味がわかない。

ものすごいスクープも確かにある。
けれど、それ以外の大半は、実は業界だけの「内輪の争い」であることが多いからだ。
社内でほめられても、全く読者に読まれない・・・。そんな記事って実はたくさんある気がする。

むしろ、本当に読ませる「ひと」ものや、独自の視点でのルポを見つけると、なんだか嫉妬心がわいてくる。
先日、朝刊を開くと、自分のところの新聞の「ひと」欄で“抜かれた”!
ずっと気にかかっていて、「取材したい」と思っていた人が登場していた。
怠けて放置していたことへの自己嫌悪、「自分ならもっとうまく書ける」という(思い込みの?)悔しさが募った。

なんだか身近な人から、自分の腰の重さをつかれているようだった。
「社内抜かれ」は痛い!

パンダとおかま

2008年10月25日 22時15分27秒 | Weblog
                   (BBC放送のHPより)

夜勤など当番に入ると、外国の通信社から端末に流れてくるニュースや写真をチェックし、各社のホームページをのぞく。
大きな事件や災害などがない時、ささやかな楽しみが「ひまネタ」を探すこと。
たとえば動物ネタ、その中でもパンダは最高だ!
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2529974/3443384

1年ほど前、子供の笑顔を掲載するコーナーに、めちゃくちゃかわいい子どものパンダの写真(冒頭の写真とは別)を探して紙面に掲載した。
パンダは怒っていても笑っているようにしか見えない。
批判もあるかなと思ったら、好評だった(はず?)。

大きな現場に出られない今、紙面でそんな「遊び」は結構、面白い。
ただ、いくら実験的な提案をしても、採用するかどうかはデスク次第。

今日は、“美形”ばかりを集めたマニラでの「おかまショー」の写真が通信社から配信されていた。
なかにはセミヌード写真も!
尊敬する“器”の大きいデスクに、取り上げてみては?と提案したが、笑って却下された。
「これ以上、始末書書かせないでくれよ」


モチベーション

2008年10月24日 00時41分18秒 | Weblog
午前中、沖縄の地元紙に勤める「先輩」から久々に電話があった。
彼は、私の初任地で1年上だった先輩記者。
しかし、数年後に沖縄の米軍基地問題をどうしても取材したくて転職した。
さらに数年を経て、念願だった基地問題担当の記者に。
回り道をしながら見事に夢を実現させた。

電話では互いの近況を手短かに話すだけだが、いつも高いモチベーションで働いているのがビシビシ伝わってくる。

  ×   ×

午後、「ダライ・ラマ14世」が近々来日するのに備え、新宿の「ダライ・ラマ法王日本代表部事務所」を訪ねた。
事務所の代表は、とても穏やかで知的な日本語を話すチベット人だ。
チベット人の人権をいかに守るか。
「とても大きな相手(中国)に、長い時間をかけて取り組んでいる。気が遠くなる作業です」と話す。

別れ際にこう言われた。
「お願いがあります。記者の仕事としてだけ記事を書くのではなく、1人の人間としてチベット問題に向き合ってくださいね」


へこむことが続き、あまり集中できない今日このごろ。
改めて、仕事のモチベーションを問われている気がした。


続・歌姫の兄

2008年10月23日 00時45分43秒 | Weblog
11年ぶりに来日したリチャード・カーペンターさん。
記者会見に続いて先週末、汐留のホテルで単独インタビューした。
かなり気さくな人柄で、フランクに何でも答えてくれた。
写真撮影に合わせ、「イエスタデイ・ワンスモアのさわりだけでも弾いて」と頼むと、何と弾いてくれた! いやあ、感動~

ただ、フランクすぎてインタビューの回答は終始早口で、自分の調子でベラベラ・・・。
なかなか聞きとれず、テープ起こしに四苦八苦というオチも。
(またまた英語力のなさを痛感し、自己嫌悪・・・)
同僚に泣きついて助けを借り、なんとか切り抜けた。

「若さとは気の持ち方次第」
ロサンゼルス郊外に住み、トレーニングやテニスに余念がないおじさんはそう語っていた。
妹の死という深い悲しみを抱えながらも、まだ「青春」が続いている様子。



◆Carpenters - I Need To Be In Love - live

一番好きなだなあ、この曲が。
しっとりとした声が体全体に染みてくる感じ。
邦題は「青春の輝き」




キワモノ

2008年10月22日 03時49分34秒 | Weblog
職場に「ラーメン部会」なるものができた。
といっても、メンバーは「部長」を含めてまだ3人。
2回目の部会は、東京・神保町にある衝撃的な店を訪問した。

店の名前は「覆麺」。
なんと2人の店員はデストロイヤーのような覆面をかぶっていて、店内には「猪木、ボンバイエ!」がず~っとラジカセから流れている。
店の壁には「日本語ワカリマセン」の張り紙があり、店員の間では「アンガーラ!」という意味不明の挨拶が常に飛び交っている。
ああ~、なんだか痛~いキワモノの店に来てしまった!

と思いきや、出てきたのは、渋い醤油ベースに加えてこってり背油の味わい深いスープ、とろとろのチャーシューに風味たっぷりの焦がしたネギを乗せた本格派のラーメンだった。
なんだか完全に圧倒されてしまい、見かけのキワモノぶりで、先入観を持ってしまったことを反省した。

人間でもたまにいる。
見かけや肩書きなんかは「キワモノ」なのに、よ~く話して見ると、実は根がすごくまじめな職人肌で、きわめて味わい深い人が。


内から変える

2008年10月21日 09時47分23秒 | Weblog
契約を満了した元同僚の記者が、業界紙で再出発する。
以前も同じ会社に勤めていたが、業界寄りの都合のいいことを書かなければならない場面があるのが悩みだったという。
舞い戻って、再び同じ場面に直面したらどうするのか。
そんな不安はあるが、以前と違ったアプローチもできるかもしれないというささやかな希望も持っている。

程度は違えど、全国紙だって決して公平でも清廉潔白でもない。
特に政治の世界の「特ダネ」は、フィルターがかかった情報が多く、結果的に政府や与党の歪んだ政策に誘導されていたりする。
それでも、1面で派手に記事が飾られれば、何となくその裏側はどうでもよくなってしまう。
小泉政権やイラク戦争など、大きな節目で最後に背中を押ししているのは、マスメディアだ。


数年前、よくお世話になった建設関係の業界紙の関係者を思い出した。
幅広く業者とベタベタの関係を作り、「提灯記事」や広告を掲載しながらも、「ここぞ」という場面では全国紙や警察が全く手が出せない衝撃的な汚職、談合疑惑を告発。
「真面目な業者が生き残れない業界はおかしい」といつも話していた。
決して、ベストな選択ではなくても、どっぷり浸かったからこそ持つ「強み」を感じた。

元同僚は、自分の書いた記事で何か間違いが生まれたり、人を不幸にしたくないという。
そんな気持ちを持ち続ければ、いつか内側から何かを変えられるはず。
なんだかうれしい。


「テロリスト」って一体・・・

2008年10月20日 23時08分17秒 | Weblog
米国、そして日本も憎悪の対象とする自爆犯などの「テロリスト」は、実は最も弱い立場に追い込まれている人なのかもしれない。
そんなことを考えさせる記事が朝刊に載っていた。

自爆犯の6割以上は障害者――。
果たして、どんな思いで爆弾を体に巻いたのだろうか。

衆院特別委で20日、新テロ特措法が可決。明日には本会議で可決され、成立する見通しだ。現実は語られていない。
というより、都合が悪くなるから、多くが知ろうとしないんだろう。

 ×   ×

 <関連記事>

◆アフガン:タリバン自爆「6割が障害者」 カブール大准教授、テロ犯遺体検分

 【ニューデリー栗田慎一】アフガニスタンで増加し続けている自爆テロ事件で、実行犯の6割以上が身体障害者だったことが、カブール大学医学部のルサフ・ラドガリ准教授(32)の調査でわかった。障害者の多くが地雷や不発弾の爆発で手足を失った住民とみられ、武装勢力タリバンが、社会的弱者の障害者を自爆犯として利用している実態が明らかになった。

 准教授は2年前から、カブールを中心に自爆テロの実行犯の遺体80体を独自に検分。うち65%に当たる52体が、手や足、指などが自爆前から欠損している身体障害者だった。
 准教授は現場に残された義足や歩行補助具を調べ、うち1件は06年、カブールの援助団体が中部ロガール州で地雷被害に遭った男性に贈ったものであったことも突き止めた。

 タリバンは「米軍の空爆による犠牲者の遺族が、(志願して)自爆している」と主張。准教授は「貧困に陥った障害者が、家族の生活を保障するなどと口約束されている可能性がある」と指摘する。准教授は近く、タイの研究機関の支援を得て、自爆犯のDNA鑑定を開始する。

 毎日新聞 2008年10月20日 東京朝刊


見抜く神様

2008年10月20日 09時47分52秒 | Weblog
恒例の草野球で、またも記録的惨敗。
「敗戦反省会」を兼ねて浅草に出ると、外国人観光客でごった返し、活気であふれていた。
おみくじを引くと、結果は「吉」
神様はいろんなことを見抜いている気がした。


「労生未得時」
 大いなる望みがあるので、一生懸命に頑張るものの、まだそれが開花する時期とはなっていないようです

「騰身遊碧漢」
 しかしながら、大空にめがけて飛びあがるつもりで大決心をもって本気で挑戦してみましょう


ひとことで言うと、まだまだ自分は甘いということか・・・と。

スネオか、のび太か

2008年10月18日 23時39分05秒 | Weblog
アフガンの少年の眼差しがまだ頭に残っている。(毎日新聞18日朝刊1面)
写真が訴える力はやっぱり強い。

日本がイラク戦争を支持したことに反対し、外務省を辞めた元レバノン大使、天木直人氏も自身のブログで記事を取り上げている。
「日本の政治家たちよ。両目をかっと見開いてこの写真を凝視せよ」

天木氏は、イラク戦争に突き進む大きな流れの中で、海外からあえて日本の「政策」に異議を唱えた外交官だ。
著書によると、「イラク戦争支持は、日本に対するアラブの信用を失う」などと進言。しかし、当時の小泉純一郎首相に全く相手にされず、退職を余儀なくされた。


イラクやアフガンに対する日本の外交政策は自主、自発的なものではなく、米国を中心とする「流れ」に乗っているだけのように見える。

なんだかジャイアンにくっついているスネオのようだ。
いっそのこと、のび太になってくれた方がいい。

◆天木直人氏ブログ
http://www.amakiblog.com/blog/


事実は理屈を超える

2008年10月18日 10時50分06秒 | Weblog
「家族は手のひらの上に」

今朝の毎日新聞朝刊1面に、米軍の空爆で家族を失い、その肉片を手にするアフガンの少年の写真が載っている。(1面は東京のみ)
その表情の険しさが事実の重みを伴って迫ってくる。

外電面(中面)では、米軍の空爆の「大義」がいかに空虚なものかを丹念な事実の積み重ねで説いている。
一体誰が憎しみを増幅させているのか。
日本も決して無縁ではないはず。


霞が関、永田町では連日、テロ特措法の議論が続けられている。
そこで交わされるのは事実よりも理屈や蘊蓄だ。
許せないのは、連日多数の犠牲者が出ているアフガンに関する議論が、政局のかけ引きに利用されていることだ。
ペシャワール会の伊藤さんが亡くなったことは、遠い過去のようだ。



本当の強さ

2008年10月17日 23時18分40秒 | Weblog
インドの売春街を舞台にしたドキュメンタリー映画「未来を写す子どもたち」の試写会を観た。
売春を前提に成り立つ街で暮らす子どもたちは、将来は売春の仕事を継ぐか、犯罪者になることをなかば運命づけられている。
そんな売春街に、ある女性写真家が訪れ、写真を教えることで、子どもたちの未来を切り開こうとする。
そして、才能を見いだされた1人の男の子がチャンスをつかんでいく。

「できれば全員の子どもを救いたい。でも私ができることは限られている」。
そう語り、厳しい現実に向き合っていく写真家の姿が印象的だった。

  ×   ×

続いて夕方、ひょんな縁から、国連職員を目指す女性に会って、話を聞いた。
学生のころから長く心に障害を抱えながら、ステップを踏んで克服。
今もつらさは消えないが、夢に向かって少しずつ力をたくわえ、チャンスを待っている。
近々、会社をやめて留学するという。
超難関の道を前にも「1度で通るとは思っていないけど、ダメだった時のことは考えていないんです。楽観的ですかね?」と笑い飛ばす。
児童労働に関心があり、たとえわずかでも、現実を変える力になりたいという。

  ×   ×

自分の力の限界や弱さを受け入れて、頑張っている人は「本当の強さ」を持っている気がする。何かを変える力を秘めている。



たった1人、されど1人

2008年10月16日 03時30分24秒 | Weblog
大きな問題を前にして、たった1人の当事者に焦点を当てることに意味があるんだろうか。
記者の仕事をしていて、そんな問いに直面することがある。
日々、大量の犠牲者が出るイラクについての報道でも考えさせられる。

昨春、大阪のある大学非常勤講師の女性が、ヨルダンに向かった。
そして、病気の治療のためイラクから治療のために滞在していた女児に、テディベアのぬいぐるみを届けた。
そのぬいぐるみは、米カリフォルニア地震の被災地から阪神大震災の被災地に贈られたものだった。

やったことはただそれだけ。
膨大な市民や子どもが爆撃や銃撃で死んでいくという事実の中で、その女児に感情移入することにどれだけの意味があるのか。
迷いも抱えながら記事にした。

ただ、女性は帰国後、女児の医療費支援を始め、知人、友人に呼び掛けてカンパを呼びかけた。
女児の病気は脳の腫瘍で、米軍が使った劣化ウラン弾の影響も否定できない。
支援の輪は確実に広がった。活動を取り上げた新聞記事も少しだけ役立った(と思う)。

それでもまだ支援の意味、それを取り上げることの意味を疑っていた。
しかし、1年近くの支援の末、女児の病気は回復し、故郷のイラクに戻ることができた。
予想もしていなかった経過、成果になんだか恥しくなった。
1人を救うことで、いろんな輪ができ、命が救われる。
多くの人がたとえ一時的であれ、遠く離れたイラクのことを考える。
それだけでも意味はものすごく大きい、と痛感させられた。

女児の名前はイラフちゃん。
なぜか元サッカー選手の中田英寿もヨルダンに立ち寄り、イラフちゃんと一緒に遊んでいた。
いろんな人を引き付ける力を持った子どもなんだろう。
最近、そのイラフちゃんの映像を見つけた。
会ったことはないけれど、記事という形で間接的なつながりができると、なんだかその後も気になってくる。


米大統領選が近づき、米国とイラクの地位協定が近々交わされる。
焦点は米軍撤退のタイミング。
米国の関与は結果的に、いたずらに混乱を招いただけだった。
イラクに平和が訪れる時、イラフちゃんはどんな大人になっているんだろう。


■イラフ大暴れ



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◆テディベア:癒しの旅 震災の米国から神戸を経て、イラクの難病女児の手に

 大地震の被災地になった米国から神戸へと渡ったテディベアのぬいぐるみが、病気で苦しむイラクの女の子に渡った。医療支援ボランティアの女性が、女の子の治療先の隣国ヨルダンで手渡した。女の子は治療費が足りず、完治のめどが立たない状況だが、ぬいぐるみを手にして満面の笑みを浮かべた。被災地の子どもを癒やしたぬくもりが、イラクの子に伝わった。

 阪神大震災で被災した神戸学院大生、岡田摩耶さん(22)=神戸市灘区=が、同大非常勤講師で医療支援ボランティアもしている景山佳代子さん(33)=大阪市北区=らに「イラクの子にテディベアを届けて」と依頼。それは、米国ノースリッジ地震(94年1月)の被災地から、阪神大震災直後に贈られた思い出のテディベアだった。
 イラクでは、劣化ウラン弾の影響などで病気の子どもが急増しているが、医療事情が悪化し、周辺国で治療を受ける子どもも多い。景山さんらは先月下旬、ヨルダンの首都アンマンを訪れ、支援金を届ける一方、病気で苦しむ子どもらを訪問。髄芽腫という脳の病気で治療中だったイラフちゃん(4)に出会った。
 治安の悪いバグダッド北東・ディアラ出身のイラフちゃんは、父親と一緒にアンマンへ。昨秋から腫瘍(しゅよう)の摘出や放射線治療を始めた。しかし、100万円近くの医療費が不足し、今も左半身のまひや言語障害が残る。景山さんが「ずっとあなたのものよ」と、岡田さんから託されたテディベアを渡すと、イラフちゃんはにっこりと安心した表情を見せた。

 岡田さんは「イラフちゃんが少しでも安らぎを感じてくれればうれしい。早く良くなってイラクで家族一緒に暮らしてほしい」と話す。アンマンやイラク国内では、多くの子どもたちが病気と闘っている。支援の問い合わせは「日本イラク医療支援ネットワーク」(0263・46・4218)。

 07年4月16日 毎日新聞東京夕刊