むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

ポジティブ

2012年05月10日 05時14分22秒 | Weblog

新緑の美しい季節になった。

経済制裁の影響で、物価はウナギのぼり。

国民生活にもジワジワ効いているはずなんだが、それほど深刻な顔をしているイラン人はいない。

産油国の飛びぬけた豊かさに加え、何にともあれ、ポジティブなのだ。この国の人たちは……。

先日乗ったタクシーの運転手は、高速道路を運転しながら、隣の車線の若い女性をナンパし始めた。

私は急いでいるにもかかわらず、「へい、そこのきれいな姉ちゃんたち」と声をかけ、相手が嫌がって車が離れても、何度も懲りずにずっと追いかけていく。何度も横づけして声をかけて電話番号を尋ね(相手にされず)、最後は自分の電話番号を書いた紙を窓から放り投げた。「ちゃんと、電話してくれよ」

運転手は自称30歳だが、よく聞いてみると、数年前に離婚したバツイチの40歳。運転手ではそれほどかせげず、貯金まったくなし。日本だったら……相当思いつめている状況だが、何とも明るいのだ。

運転中にしょっちゅうナンパしているらしい。それほど格好よくない。

「こうやって路上で声をかけて、たまには成果あるの」「いや、全然。ハハハ……」

 

なんなんだその根拠のない自信は……。

まあ、人生一度きりなら、根拠がなくてもポジティブな方がやっぱりいいよなあ。

なかなか簡単ではないが、イランにいるとそう痛感する。

先日の休刊日には、とんぼ帰りで、少し離れた地方都市ガズビーンへ。

とくに目的もなく街をぶらぶら。すると、中心部の公園には、おっさん、じいさんがたまっている。

日本の高齢者と違って孤立している男性は少なく、みな集まってようしゃべる、しゃべる……。

豊かなイランは年金制度も整っていて、50代から隠居して年金生活の人もいる。

これまたみなポジティブなのだ。

「日本は60代後半にならないと年金もらえないよ」と話すと、かなり驚いた様子。

「それじゃあ、年金の意味がないよ。もらう前に死んでしまうやつもたくさんいるからなあ。ハハハ……」

豪快に笑っていた。

なんとも自分がちっぽけに見えるのだった。