むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

元気のもと

2011年07月31日 04時56分16秒 | Weblog
だいぶ更新をぬかってしまった。
写真の猫のようにず~っと眠っていたわけではありません。



さて、夏ど真ん中。
2年目を迎えだいぶ慣れたものの、日中は長時間外にいると汗がダラダラ、のどがカラカラ……。
そして、夏は人々があまり働かなくなるから、いつも以上に仕事が進まない。

そんな脱力する季節なので、イランの元気のもとを探してみた。





イラン料理の中で、スタミナ料理といえばこれ!
「キャレパチェ」。キャレは羊の頭のことで、パチェは足だ。
えぐいところを丸ごと煮込んだもつ鍋のような料理だ。




イラン人でも好き嫌いが分かれるこの料理。
臭いが少々きついが、慣れると結構おいしい。
最近は元気がなくなると1人でも店に入る。
この1週間で、2回もがっつり食べた。

2つ見えるのが羊の頭。
見かけは……だが、なぜか女性にも人気。




部位ごとに注文する。
写真右は、羊のほおと耳。脳みそや目玉は最高の珍味とされる。
写真左は、煮込んだスープ。厚手のパンをちぎって放り込んで食べる。
油ぎとぎとだが、それほどしつこくなく、力がみなぎる(気がする)。





イランはとにかく娯楽が少ない。
仕方ないから、みんなが公園に集う。

イラン北部最大のメラト公園で、名物なのが巨大アイスクリーム!
数軒の店が争って、いかに高く盛ることができるか競っている。
店員の腕前次第だが、推定で最高50センチ!



なぜか不思議だが、アイスの店の前には、男性が圧倒的に多い。
酒が飲めないのはわかるけど、そりゃ太るだろ。

でかいやつが1万5000リアル(130円)、小さいやつで1万リヤル(80円)。
昨日、小さいやつを頼んだものの、結局、40センチくらいあり、ほとんど変わらない。
食べるのにひと苦労。全身血糖まみれ。




週末の公園は、とにかく家族でにぎわう。
外国人かつ単身にはつらいところだが、すべて家族を想定して国ができている感じ。



休日になると公園のあちこちで、しょっちゅうイベントをやっている。
子どもの折り紙教室、お絵かき教室……。



力をもて余している若者。綱引き大会でえらく盛り上がっていた。





はて、イランで最大の元気のもとはなんだろう……。

文句なしに、子供の笑顔だと思う。
とにかく、イランの子どもはめちゃくちゃかわいい。
私は勝手に「世界一」だと思っている。



イラン北部の「洞窟村」キャンドバーン。
ずっとケラケラ笑っていた。



テヘランの公園で。
イランの女の子は、生まれた直後からイヤリングをしているおしゃれさんが多い。ピアスを空ける子も。
何でも自由なはずの日本の子どもは、なんて地味なんだろう。



そんなこんなで、元気のもとがいろいろ転がっているイラン。
さあ、また頑張ろ。


男のメンツ

2011年07月19日 04時42分26秒 | Weblog
壮絶な「なでしこジャパン」の決勝、ああ、生で見たかった……。
丸1日経った今も、BBCは何度も快挙を繰り返し流している。


朝から感動とともに、大ショック!
女性スポーツの中継はほとんどないイランでは、当然見られないものと思ってあきらめて寝てしまったが、実はどこかの衛星チャンネルでやっていたらしい。
もっときちんと探せば良かった……。がっくり。

変わりに中継されていたのは、男のイラン対マダガスカルの親善試合。
ああ、時間を無駄にした。



中東の中では女性の人権が比較的進んでいるとされるイラン。
しかし、スポーツに関しては、全然オープンじゃない。
女性の体の動きは、何かと「ひわい」とされ、奨励されないし、テレビ中継もない。

スキーの五輪選手は昨年初めて参加が認められた。
下半身をくねくねさせるのがこれまで許されなかったらしい。
最近、テヘランで始まったレンタサイクルも女性は禁止だ。
おそらく、自転車を漕ぐ動きが、ひわいなのが理由だ。

時折思う。宗教指導者たちの想像力は一体、どうなっているのか……と。




それにしても、伝えられる選手の生きざまはすさまじい。
誰もが、子供のころ、男に混じってボールを追いかけ、力をつけてきた。
その意思は並大抵じゃないだろう。敬服。

男は何かと、女性より優れていると思いがちだ。
多くの男性のサッカー経験者は「それでも俺の方がうまいはず」と信じている人が多いのではないか。記録のスポーツではないから、そんな屁の突っ張りが可能。けれど、現実には大半の男は、なでしこには歯が立たないのではないか。

自分も陸上競技の記録が女子の日本記録に破られた時、力が抜けた。
「女に負けるなんて……。自分がやってきたことは一体何?」。
けれど、しばらくして考え方が変わった。

男が女に勝って当然なんて、考え自体がおかしいんだと。
あほな男のメンツは、人間の成長を妨げるだけでなく、社会にも害悪だと私は思う。




男のメンツがあふれる国イラン。

国立大学の共通入学試験の合格者も、6割以上が女性。
役所でも記者でも、優秀に見えるのは女性ばかりだ。
無責任で気が小さいのも男に多い。
女性が確実に力をつけているのは、外国人の私からでもすぐにわかる。

しかし、それを認めようとする男は少なく、優秀な女性たちはそんな古い男社会をバカにする。
さらに男たちはムキになる。そんなアホな悪循環……。

男の強さも、女の強さもそのまま受け入れる。
男がメンツを張らなくいい社会は、男にも女にも心地よいはずだ。

意地?

2011年07月16日 03時38分14秒 | Weblog
路上の落書きも少しは読めるようになったし、周辺のたいがいの店のおやじとは顔見知りになり、適当な会話もできる。

たまには、自分をほめようと思う。
そうでないと、精神がもたない。
1年8カ月。十分、よう溶け込んでいる……。




けれど、この国はそんなに甘くないのだ……。

表向きの大きな動きがなくなった今、仕事柄はかなり厳しい日々。
独自の切り口で、同時並行でいろいろ動いているものの、ことごとく壁にぶつかる。
最大の原因は、あらゆるところで必要な「許可」だ。
固い役所だけでなく、民間のNGOでも団体でも、ちょっとした集団でも何でもかんでも、許可がいる。
人間関係を駆使して口利きし、膨大な書類を用意しても、なしのつぶて……なんてことがざらにある。
だれもが「責任取りたくない病」に感染しているのだ。


壁、壁、壁……でうんざりしているところ、事実上の4連休に入ってしまった。
木、金は週末で、日曜は12番目のイマーム・マフディさん(今も隠れている!)の誕生日。イランの都合のいい慣習で、飛び石連休の間は、勝手に休んでしまう人が多い。(なんて幸せ……)

「イランは世界で最高の国だ。だって、こんなに休みが多い国はないだろ?。あくせく働かなくても生きていけるし」
イラン人から「イランと日本とどちらがいい?」と聞かれると、最近はこう答えることに決めている。
ただ、休みが多いことは、イラン人にはうれしいけれど、仕事をしている外国人にとっては、ただでさえ進まない仕事がもっと進まなくなる。何ともつらいのだ……。




気晴らしにまた夜、ぶらぶらと散歩。

公園のローラースケート場で子供の写真を撮っていたら、案の定、管理人のおやじに注意された。
「あれ?ここは、自由の国じゃなかったっけ!」
最初はすっとぼけて、嫌みでかわそうと思った。けれど、途中から我慢できなくなってきた。

管「写真はだめだ。家族の許可がいる」
私「一体、何が問題なんだい?この国は何でも許可、許可って、一体なぜ?」
管「いやあ、やっぱり家族の許可がないと」
私「だれも文句言っていないのになぜ? 本当に必要なの?、アフマディネジャドに聞いてみてよ」
管「だめなものはだめ」



たいした話じゃないが、最近そんなつまらん繰り返しが多く、つい爆発してしまった。
すると、隣で見ていた親父が加勢してくれた。
親父「何も問題ないじゃないか。日本人が、写真撮っているだけだ。許してやれよ」

それでも、管理人は引き下がらないので、私もカメラをしまい腹立ちまぎれに去ろうとした。すると、親父が引きとめる。

親父「あそこで滑っているのは私の娘だ。写真は何も問題ないさ」
私「ありがとう。この国は本当にいい国だよ。でも、イラン人には幸せだろうけど、外国人には住みにくいなあ……。特に仕事をするにはしんどいよ」

親父の自慢の娘さんのめちゃくちゃうまいスケートを一緒にぼーっと見ながら、なんだか悲しくなってきた。



親父「イランが嫌いになったかい?」
私「いやあ、そんなことは……。市民はいい人ばかり。だけど、なんで許可、許可って……」
親父「わかるよ。いい国なんだけどなあ。なかなかだれもが自由を許してくれるわけなじゃないんだ。残念ながら」


親父は、ずっと私をなだめ、いろいろと国の問題点、素晴らしい点を力説してくれた(と思う)。全部は理解できなかったけれど、「なんとか好きになってくれ」という思いが伝わって来る。
だれもが国の悪いところをわかっている。硬直して、腐敗して……。それでも、イランの良さをわかってほしいと願っている。当然の思いだろう。
それがまたせつないのだ……。




帰り道、いろいろと寄り道をし、店に入ったり、多くの顔見知りの兄ちゃんとバカ話をしながら、帰った。怒りも収まってきた。




イランの路上では、いろんなものが売っている。
どこか唐突?違和感?



羊くんがたくさん。廃棄ガスで汚れそうだけど……。




何十回、書いてもいい。
イランは、世界中から思われているほど、悪い国でも、意地悪な国でもない。
人々は本当に素晴らしい。

けれど、どこか生きにくい……。


邪魔や妨害があればあるほど、思いはどんどん強くなる。
「意地でも、イランを好きになってやる!」

つながる

2011年07月07日 02時25分34秒 | Weblog
ひょんなことで偶然、人と人とがつながる。
自分が間にはさまって、他人同士がつながることもある。
人生で、これほど面白いことはないと思う。

イランに来てから出会った人が日本に行って、また日本の自分の友人たちとつながる。
これもまたワクワクする。




テーブルフォーツー(TFT)運動を進める小暮真久さん。
最初に会った時から、この人は何かが違う!と感じた。
自分と違うとすれば、飛びぬけた地頭と情熱、それと何歩も踏み出す勇気か。

日本の会社員たちとアフリカの子どもたちを巧みにつなげた人。
運動は拡大する一方。う~ん、つながる達人。
記事の筆者と書かれた人も昔、実はつながっていたらしい。

■時代を駆ける/小暮真久さん
http://mainichi.jp/select/opinion/kakeru/news/20110705ddm012070071000c.html

http://mainichi.jp/select/opinion/kakeru/news/20110706ddm012070044000c.html
(まだまだ続く)


■テーブルフォーツー公式サイト
http://www.tablefor2.org/
■小暮さんのブログ
http://tablefortwomk.blogspot.com/



そういえば、日付が変わって、今日はつながる日、「七夕」でした。


  ×    ×


一時的にイラン国外へ。
インターネットがどんなサイトでも快調に「つながる」だけでうれしい!
久々にフェイスブックにつなぐと、偶然ひょんなイランつながりもできた……。
イラン政府はとにかく、人と人とがつながるとろくなことがないと思っているらしい。

最近、イランでは、泡の出る特殊飲料やブドウの香りがする飲料を調達するのが極めて困難に。
なので、浴びるように飲んでしまった(笑、正当化)

それも、あと数時間の命……?
わかってもらえないのだろうなあ、この気持ち。