むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

立ち位置

2009年03月28日 01時34分59秒 | Weblog
同期入社の記者が中東から帰ってきた。

4年間の任期中、たびたび紛争現場にも入り、もがいてきた。
ずっと、大事にしていたのは、「撃つ側にいるより撃たれる側にいる方いい」ということだという。
いろいろ文句をつけるのは簡単だけれど、この仕事をしていく上で、大事な柱だと思う。


東京に来てから、全く「立ち位置」が違う記者に会うこともあり、一時期なんだか人間不信に陥った。
霞が関や永田町で話を聞いただけで全てをわかった気になった記者がいかに多いか……。


どんな記者でも、それぞれ役割がある。
けれど、やっぱりしんどい「現場」で闘っている人が一番尊いのではないか。
それを忘れたら、新聞社はいらない。

忘れていいこと?

2009年03月27日 03時49分59秒 | Weblog
あ~~、物忘れがひどい。

難しい英単語ばかりならまだいい。
目の前に座った先輩記者の名前が急に出てこなくなる!
買ったばかりの食パンがあるのを忘れて、また一斤買ってしまう!
ご飯を炊いて、何日もスイッチをつけっぱなし!

脳細胞がどんどん死んでいくのが実感できる。
やばい……。

 ×   ×

単なる物忘れで済まされないこともある。

広島と長崎で「二重被爆」した93歳の男性のことをBBCが取り上げている。
長崎に加え、ようやく広島での被爆が認められ、手帳に記入されたという。
◆BBC
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7963581.stm

日本のメディアは、九州や広島のメディアは大きく取り上げたが、東京のメディアはほぼ無視した(確認した限り)。


全国紙はどこも東京、大阪、九州に本社が分かれ、それぞれ自分のエリアのニュースが一番だと思って、日々紙面を作っている。
日本全体を見渡して、ニュースの優先順位をつけない。
役所の「縦割り」を批判するけれど、新聞社も相当なものだ。


被爆国の役割ってそんなものか……。
外国メディアにニュース価値を教わるって情けない。

  ×    ×

世界の核問題を統括するIAEA(国際原子力機関)の事務局長選挙が26日、始まった。
「唯一の被爆国」を訴える日本人の天野之弥氏が選挙勝利を狙ったが、規定に足りずに翌日にお流れ……。

お目付け役

2009年03月26日 12時31分15秒 | Weblog
24日夜、オバマ大統領の2回目の記者会見がホワイトハウスであった。
生のテレビ中継では聴きとれない部分も多く、もう1度ネットでチャレンジ。
少しだけ聴ける部分が増えたけれど、悲しいくらいにまだ頭がついていかない。

映像を見ていると、やっぱりいた!
大統領のお目付け役の女性記者、ヘレントーマスさんだ。
とても88歳とは思えない眼光の鋭さ。
プロフィールを見ると、大学を出てから務めた新聞社は解雇され、40歳になってから大統領取材を始めたらしい。
以来50年近く。今は、孫くらいの年の大統領や記者のやり取りをじ~っと監視している。

にらまれたら怖そうだ。
「あんた、甘えたことばかり言ってんじゃないわよ」と。

強きを助け……

2009年03月26日 00時31分06秒 | Weblog
「弾道ミサイルが飛んでくる」
日本の各新聞社、テレビが一斉に恐怖をあおり、北朝鮮バッシングを強めている。
あの国に全くシンパシーはないけれど、北朝鮮が「人工衛星の発射」だと主張し、まがいなりにも、国際機関にも登録する中、果たしてミサイルと決めつけていいんだろうか。
宇宙開発の権利はどこの国にもある。
国連安保理決議に違反しているかどうかの解釈は微妙で、外務省も当初は歯切れが悪かったという。


あれだけ弱い国が、本気で日本の領土にミサイルを撃ち込むだろうか。
そうなれば、国が存続できなくなることはわかっている。
そんな弱小国を孤立させることで、800万人ともいわれる飢餓人口はますます増えていく。


イラク戦争の時も、「イラクが大量破壊兵器を持っている」という米国の論理に乗っかり日本の大半のメディアは戦争を支持した。
米国の矛盾は何も問わず、弱い国は徹底的にたたく。
強い違和感を感じる。


  ×   ×


話変わって……。
高校、大学の受験シーズンが終わり、再出発の春が近づく。
今年の大学受験では、地方の公立校の躍進が目覚ましいらしい。
公立高出身者からすると、どうしてもうれしくなってしまう。


職場の先輩や同業者とつきあう中で、「優秀」とされながら、かな~り目線が高い記者に会うことがある。
それでいて、強いものには結構弱い。
何のための記者の仕事?と考えてしまう。

少ない経験の中で、たまたまかもしれないけれど、そうした人って、私立中高一貫校から超高偏差値大学を出た人が目立つ気がする。
学力だけでなく、経済力でも輪切りにされた中で、自分たちが普通と思ってしまい、周りが見えなくなる傲慢……。


たぶんほ~んの一部の例外の人なんだろう。
けれど、「偏差値の無駄遣い」って、なんだか痛々しい。

活力

2009年03月23日 23時21分36秒 | Weblog
日曜から月曜にかけての泊まり勤務は長~い!
午後3時前、23時間ぶりにようやく会社を脱出。
はあ~、寝不足だけど、外の空気は気持ちいい。

活力を補充しに、久々にB級グルメの聖地、神保町の洋食店「キッチン南海」へ。
いつも並んでいるけど、さすがに時間が遅くすぐに入れた。
定番のひらめフライがなく、「チキンカツ&生姜焼き」を注文。
決して上品でも何でもないんだけれど、カツのサクサク感、生姜焼きの素朴なうまさが心に染みる!
700円のささやかな幸せ。

  ×   ×

人の生きざまが伝わってくる本からも活力がもらえる。
最近、取材で会った人の著書2冊。
2人ともエネルギーの塊。
いずれも年下、頭が下がる。

■「ようこそと言える日本へ」土井香苗著(岩波書店)
 日本の難民政策の問題点を歯切れよく分析。とんでもない馬力と地頭の良さ…… http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAQ35280/


■「20円で世界をつなぐ仕事」小暮正久著(日本能率協会)
 社員食堂の代金の一部をアフリカ支援に回す「テーブル・フォー・ツー」事務局 を務めるまで、そして務めてからの奮闘ぶりが伝わってくる。勇気がもらえる。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAX94880/


新聞社でもほんの一部ながら「本を出してなんぼ」という思いで仕事をしている人がいる。
共通しているのは、自分の力を信じて闘い続けているという点。
話をすると勉強になるし、気持ちがいい。

粘り

2009年03月23日 03時06分14秒 | Weblog
結局、朝起きれず、東京マラソンはテレビ観戦に切り替えた(笑)
引退を決めた38歳、高岡寿成選手は無念の途中棄権。
でも、日本のトップで、ここまで粘ってきただけで偉大だ。
本当にお疲れさま。


昼から、1年半通った英語教室の最終回。
参加した生徒が一人ずつ感想を述べ、4年間続けているという還暦前のおじさんが「来年も続けます」と宣言!
自分も40歳前になって、これだけ英語が上達しないのが泣けてくる(笑えてくる?)けれど、もう少し粘ろう!という気になってきた。
才能も要領の良さもなければ、結局粘りしかないんだよなあ……。


春の転勤組の人たちが海外へ飛び立ち、赴任地から次々とメールが来る。
再出発の春。

水の日

2009年03月22日 10時05分37秒 | Weblog
今日は「世界水の日」
世界保健機関(WHO)によると、安全な水を飲めない人は世界で11億人もいるという。

いつもレストランで出されるただの水に100円払うことで、アフリカ・マダガスカルの子どもたちに水を届ける……という取り組みが東京都内で20日から展開中。
◆毎日新聞
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090320ddlk13040273000c.html

◆TAP TOKYO
http://www.unicef.or.jp/tapproject/join/

  ×   ×

その水の届け先、マダガスカルでは、34歳の大統領が“就任”。
しかし、就任の経緯が「クーデターまがいだ」として、欧米諸国は認めず、援助の一部停止に乗り出した。
翻弄されるのは、国民の大半を占め、1日1ドル以下で暮らす「最貧困層」だ。

◆BBC
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/7956496.stm

味わい

2009年03月21日 23時33分19秒 | Weblog
世の中は3連休だけど、あいにく終日休みなのは今日だけ。
昼すぎまでダラダラ~と過ごし、陽が落ちかけるころ皇居周回へ。
少し早めの桜がライトに照らされる中、10キロ走り爽快!

なんだかやる気になったところで、帰宅後、久々にまともに自炊した。
野菜とまいたけ入りの「チキンのトマト煮込み」
レシピは適当だけど、自分で作ったものは、やっぱり最高に美味~い!
カレーと一緒で1日寝かせると、もっと味わい深くなる。

  ×   ×

明日は、引退を決めた高岡寿成選手(38)が出る東京マラソン。
競技レベルは全く違うけれど、関西で何度も同じトラックや駅伝を走った。
4年間を“共有”したランナーの端くれとして、なんだか感慨深い。

高岡選手は、学生時代にトラックで日本記録、その後マラソンでも日本記録を樹立しながら、マラソンの五輪には最後まで縁がなかった。
最高の栄光も挫折も知った天才。
最後は、競技歴がしみ込んだ味のある走りが見たい。

よし、早起きして、どっかで観戦しよ。

節目

2009年03月21日 10時35分31秒 | Weblog
1カ月に300人。

イラク国内の民間犠牲者の数だ。
最悪時の3000人に比べ10分の1に減ったことで、今年に入り、世界中のメディアが「治安改善」を強調している。
これって本当に少ないの?違和感が消えない。


3月20日でイラク戦争から6年を迎えた。
自分ができることはわずかだけれど、この数日、関連取材や調整で追われた。
気になるのは、昨年の5周年という「節目」に比べ、各新聞社とも報道が質量とも一気に減ったことだ。

助手の取材や通信社の引用も多い。
ある新聞には、自分が直接取材していないのに「バグダッドでは、子供が公園で遊ぶのが日常風景になった」と書いていた。
「おいおい、そんなに安全なら、自分で現場に行って確かめたら?」と思わず突っ込みたくなった。



メディアは「節目」が大好きだ。
阪神大震災10年、戦後60年……。
節目で騒いで、それが過ぎると潮が引くように取材しなくなる。
意外なことに、「人権・平和にもっとも熱心」とされる某全国紙がその傾向が強い。
事件や災害の風化をメディアが加速させる。

時間の経過に身を任せ、数字を比較するだけなら、記者の仕事はいらない。

◆イラクボディカウント
http://www.iraqbodycount.org/


いさぎよさ

2009年03月19日 13時46分39秒 | Weblog
「I'll take resposnbilty」
公的救済された米国のAIG幹部へのボーナス支給をめぐるゴタゴタ。
オバマ大統領は、「(この問題で)共和党、民主党で責任をなすりつけ合っているが、私が責任を取る」と語り、問題解決への意欲を語った。
http://edition.cnn.com/2009/POLITICS/03/18/obama.economy/index.html?eref=edition_business
いさぎよい人間は、人を惹きつける。

  ×   ×

昨日は、大学のベテラン教授、若手研究者、援助関係者……。
朝から夕方までいろんな人に会い、刺激を受けた。

夜は、学生時代からの友人記者と、有楽町ガード下でグチグチ。
海外経験も豊富で、国内のシビアな職場でも確実に成果を上げている記者だ。
ただ、理想はあっても職場の現実にはいろいろ……。

どんな厳しい中でも、いさぎよい人たちがたくさんいれば、すべて前に進むはず。
組織がでかくなると、本来の仕事よりも要領や立ち回りばかりがうまい人間が確実に増えてくる。
逃げや守り、保身……などが得意な人たちとは距離を置いて、いい仕事をしたい!
という結論で2人で一致。

オバマが編集局長だったら、毎日どんな新聞ができるだろう。


無年金という非情

2009年03月18日 02時46分52秒 | Weblog
司法は最後まで無情だった……。

年金未加入だった学生時代に病気や事故で障害を負った人たちへの障害年金支給を巡る裁判で、最高裁は17日、原告の訴えを棄却した。
全国で争われた一連の裁判が終結し、弱者は切り捨てられたままだ。
◆毎日新聞
http://mainichi.jp/select/today/news/20090318k0000m040070000c.html


全国で繰り広げられた闘いの先頭に立ってきた原静子さん=兵庫県尼崎市=とは、阪神大震災の取材のころからの付き合いになる。
10年前、原さんたちが大阪地裁に提訴する動きを知り、朝刊1面に記事を書いた。数少ない自分の特ダネだった。
その記事がきっかけとなり、新聞各紙やテレビがようやく関心を向け、「無年金障害者問題」が全国ネタに定着した。
制度の谷間に陥り、苦しんでいる人たちがたくさんいることもわかってきた。


40年前、教師になる予定だった原さんは、大学卒業直前に交通事故で車いす生活に。
わずか4カ月後には就職先で共済や厚生年金に自動的に入るため、障害年金が毎月支給されたはずだった。
学生で年金に未加入だった原さんは、就職をあきらめたうえに障害年金も受けられなかった。
当時は年金の周知も不十分でほとんどが未加入。誰もが無年金になる可能性があった。
事故に遭う時期のちょっとした違いだけで、その後の長い人生に大きな差が出てしまう理不尽……。


「障害を負っても、生きていてよかったと言える社会にしたい」
長い闘いの末にたどりついた最高裁の判断は、障害者の自立を全く考えない何とも冷たいものだった。
昼から未明まで勤務があり、私は判決には立ち会えなかったが、深夜、原さんから無念のメールが深夜届いた。
まだ、返事は返せていない。



派遣など非正規雇用が進み、「無年金」になる可能性のある人たちが莫大に増えている。
病気や障害を負った上に、社会から突き放されてしまう。
その絶望感は、どれだけ深いだろう。


◆無年金障害者の会~みんなのしあわせ
http://www7.plala.or.jp/munenkin/

人生の脂肪

2009年03月17日 09時52分01秒 | Weblog
マラソンの日本記録保持者、高岡寿成選手(38)が引退を決めた。
今日の朝刊では、自分にとって最大のニュースだ。

高岡選手は、龍谷大時代に5000㍍で驚異的な日本記録を樹立し、その後も20年間、日本のトップを走り続けた。
学生当時、関西では自分と同学年ながら、子どもと大人くらいの差があった。


一度だけテレビに映ったことがある。
深夜の関西学生駅伝のダイジェスト番組。
そこでは、学生トップの高岡選手が何人抜きを演じるかが焦点で、7、8人目の最後に抜かれたのが僕だった。
あまりのスピードの違いに、わずか3秒ほどで完全に抜き去られ、画面からすぐに自分の姿が消えた!
あの時の情けな~い感じは、今も笑えてしまう。


あれから20年。
体調管理や練習量がすぐに記録に直結する長距離の場合、野球選手などとは違い、技術や経験でカバーすることはできず、日本のトップを維持するのは、本当に偉大なことだ。

今でも186センチで64キロ。
自分の方が、背が10センチ以上低いのに体重が重い……!
ああ、長い間ため込んだ「人生の脂肪」を削ぎ落としたい。

嗚呼、世襲

2009年03月17日 00時47分00秒 | Weblog
平壌にフライドチキンに続き、ピザ店ができて評判らしい。
◆BBC
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7945816.stm


どうやら、金正日総書記さまのご意向らしい。
800万人の国民が餓えている中での道楽……。
◆毎日新聞
http://mainichi.jp/select/world/news/20090226ddm007030034000c.html


「ホテルのバーは安い」とのたまい、毎日飲み歩くお気楽首相と重なってしまう。
当面は解散総選挙もないらしい。
明らかに資質が欠如した世襲トップが許容されている点で、日本と北朝鮮って果たして大きな差があるんだろうか。

現場と裏方

2009年03月16日 23時33分09秒 | Weblog
大阪のジャーナリスト、西谷文和さんがイラクから帰国した。
イラク北部のほかバグダッドなど治安の悪いところを渡り歩き、充実した取材ができたようだ。
とにかく無事で何より。

もう一人の浪速の女性ジャーナリスト、玉本英子さんからも電話をもらった。
バグダッドからティクリートに転戦して奮闘中。
慎重にそして意欲的に取材を続けているようだ。
張りのある声からは、現場の興奮が伝わってくる。
マスメディアに比べ、多くの不利な条件を抱えながら、「伝えるべきこと」のために、現場をはいずりまわっている。

3月20日でイラク戦争開戦から6年。
東京の職場でできることは限られている。
目の前にあるできることをやるしかない。

  ×   ×

今週から、転勤する記者たちが休みに入る。
それをカバーするために、残る記者たちの勤務シフトは少しだけきつくなる。
通信社の報道をチェックしたり、海外特派員の原稿を直したり、地図や年表を作ったり……。
次々と降ってくる任務の大半は地味~な仕事。
正直滅入ってくることもしばしば……。


10年以上前、高知支局に勤務していたころはもっと「強烈」だった。
春や秋の異動時期になると、1人でほとんど紙面を埋めることも多く、泊まり勤務も1カ月に最高8~9回こなした。

当時に比べれば、今の勤務なんてまだまだ楽勝。
明るい未来を勝手に?描いて、明日も頑張ろ!

何のため、誰のため

2009年03月15日 22時13分03秒 | Weblog
フィリピン人一家3人をめぐる東京入国管理局の判断は、何とも中途半端なものだった。
マスメディアや弁護士が騒ぐから、せめて子どもだけでも滞在を認めてあげよう……。そんな感じだ。
◆毎日新聞
http://mainichi.jp/photo/news/20090314k0000m040090000c.html

不法滞在を厳格に解釈して、既に中学生になった子どもの人生をひっかき回すことにどれだけの意味があるだろう。
国連人権規約や子どもの権利条約などをふまえれば、実態として成立している家族生活を壊すのは不当だとの解釈もある。

難民や外国人問題には明確な正解はない。
いくら頑張っても世界中の不平等や貧困の解消にはつながらない。
けれど、少しでも前に進めることは可能だ。
そこにこそ、国の「器」の大きさが問われる。

日本は、多くの難民を長期間の強制収容したり、迫害を受ける恐れのある国への送還を続けてきた。
法律は、人を幸せにするためにあるのではないのか。