進藤榮一著 『アメリカ帝国の終焉』を読んで
気になった箇所をピックアップした。
1〈「アフガニスタンは帝国の墓場だ」と米国の専門家は語る。19世紀の英国、20世紀のソ連帝国、21世紀の大米帝国もまた、アフガニスタン戦争をきっかけに帝国の終わりの時を刻み始めた。〉
著者はアメリカの没落を予言するが、まだまだ、アメリカはいろいろな面で成長する、と思っている。
2〈中国・アセアン関係という太い連携軸を中心に、右半分に日韓台がトライアングルに形成する。左半分にインドやバングラデシュが、もう一つの軸アングルを形成する。その二つの正三角形が、二重のトライアングルをつくって、広域アジア生産通商共同体を生成発展させる。そのアジア・ダイアモンド構造が、デファクトの東アジア地域統合を推し進める。それが、東アジア共同体の形成を促し続ける。〉
確かに、インド、バングラデシュは経済発展しているが、日本は東アジア共同体には属したくないのが大多数だ。アジアよりアメリカにつく習性はまだまだ続くはずだ。
3〈共同開発が、日本や韓国、アセアン諸国の軍備拡大の動きを抑え、軍縮と緊張緩和への道を拓く。いわばアジア不戦共同体への道である。その好事例がかつての欧州石炭鉄鋼共同体に見ることができる。ヨーロッパ不戦共同体の先駆けとなった、欧州経済経済共同体の出発である。英国の離脱、難民やテロ、財政危機によってEUが、どれだけ改修を求められようと、巨船EUは、たゆたいながら進んでいくだろう。〉
著者あ今後もEUが残ると予測するが、現状を見ると、いつ終息しても不思議でない。今や、トランプ流の風潮が求められている。アジア不戦共同体などと、よく言ったものだ。韓国と日本が仲良くなれるのが100年後、いや、200年後先か。中国などと一緒になると、日本は中国の植民地になる。子供魂の理想論が好きな著者だ。
4〈日本が一国繁栄主義を捨てて、アジアとともにアジアの中で生きていく。明治以来の日本主導の脱亜入欧路線を、アジア共生の脱欧入亜路線へと、外交転換を図ることを意味する。東アジアの軍縮と軍備管理を進める道だ。〉
日本が一国繁栄主義だって。あきれてモノが言えない。中国にODAで多額の援助をしても、感謝されない。湾岸戦争で130億ドルを出しても、クウェートから感謝されない。他にも多数、援助している。一国どころか、今まで世界に貢献している。
5〈かつてのグローバル化は、一方で西側先進国内の不平等を拡大させながら、同時に西欧植民地化主義をともなって、先進国と途上国の不平等を拡大深化させ続けた。二十の格差拡大をつくった。
しかし今回のグローバル化は、一方で先進国内の不平等を拡大させながらも、他方で先進国と途上国の不平等を限りなく縮小させている。〉
グローバル化といっても、50年前より、ずっと、未開発国の生活水準は上昇している。経済格差という言葉は、ある意味では、有能な人を愚劣な大衆に落とすための、自己欺瞞の言葉ではないか。
6〈日本の食糧自給率は先進国中最低の30パーセント台で、十勝の自給率は1200パーセントを超える。半世紀前、人口3万5000人の帯広市がいま人口16万8000、周辺人口を含めて35万の中核都市圏へと変貌している。情報革命の下で、グローバル化は、アジアだけでなく、国の内なる辺境をも勃興させ続けている。〉
一部、十勝のような地域もあるが、例外中の例外で、ほとんどは過疎で老人ばかりなるのが地方だ。あまりにも現実との隔離が甚だしい。