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司馬遼太郎記念館 その2

記念館

地下の

大書架の壁面に

司馬遼太郎先生が

小学6年生に

「21世紀に生きる君たちへ」

と題して

書かれた

文章が

額装され

掛けられています

 

・・・・・ 

 おそらく、自然に対しいばりかえっていた時代は、21

世紀に近づくにつれて、終わっていくにちがいない。

 

「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在に

よって生かされている。」

と、中世の人々は、ヨーロッパにおいても東洋において

も、そのようにへりくだって考えていた。

 この考えは、近代に入ってゆらいだとはいえ、右に述

たようにどうしについても、前世紀にもまして尊敬し合うよ

にな、近ごろ再び、人間たちはこのよき思想を取

もどしつつあるように思われる。

 この自然へのすなおな態度こそ、21世紀への希望

であり、君たちへの期待でもある。そういうすなおさを

君たちが持ち、その気分をひろめてほしいのである。

 そうなれば、21世紀の人間は、よりいっそう自然を

尊敬することになるだろう。そして、自然の一部である

人間どうしについても、前世紀にもまして尊敬し合う

ようになるのにちがいない。そのようになることが、君

たちへの私の期待でもある。・・・・・

                             1989年5月

 

 

 

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