試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3600形モハ3621[3668F-1] 現行色 VVVF制御車 中期仕様 動力ユニット整備(段付加速改善:ギア類脱脂施工)

2018-04-13 21:47:34 | 京成線:3600形
一巡。

マイクロエース製京成3600形3668F現行色VVVF制御編成中期仕様(3668F-1)は段付加速が目立ち始めていた。
モハ3621は動力ユニットに手を着けないまま竣工した。
そのため後に再入場させ当時の水準で整備(清掃)を行った。


京成3600形3668F 現行色 VVVF制御編成 中期仕様。
3668F-1:3668-3621+3608-3601+3628-3661。
※白地種別幕編成。

京成3500形更新車以降に回着したマイクロエース製品から現行の動力ユニット整備に移行している。
モハ3621の再入場は3500形回着前だった。
従ってFS-562動力台車の純正グリス一部除去を施す程度の内容で留められた。
この中途半端な施工が今になって段付加速を招いたと思われる。


モハ3621現行色VVVF制御車中期仕様(3668F-1:動力車)。

京成線グループ最後の動力ユニット整備入場はモハ3621となった。
現状は段付加速に加え車体動揺が激しい。
走行不能には陥らないものの初期加速度も悪かった。
原因はモーター周りかFS-562動力台車だろう。
各々切り分けを行いながら整備を進める。


入工中のモハ3621。

工程は従来通り導電板研磨からとした。
ユニットカバーを撤去すると導電板は茶色く変色しており酸化が進行していた。
しかも絶縁シートの形状に沿い油脂付着まで見られる。
油脂痕はモーター若しくはFS-562動力台車の純正グリスだと思う。
絶縁シートも油脂塗れでどこから漏れ出しているか判らなかった。
ひとまず導電板を研磨し状態を回復させる。
後の点検入場で追求する方向とした。




輝きを取り戻した導電板。

導電板の研磨はラプロス#4000を使用した。
酸化箇所は容易に真鍮色へ戻せた。
しかし油脂痕はしつこい上にユニットカバー端部まで及んでいた。
マイクロエース製品の導電板は焼き潰し固定である。
撤去して作業が行えず全面の研磨を終えるまで時間を要した。


目立つ異常の無かったモーター周り。

続いてモーター周りの整備に移行する。
段付加速の要因になり得たためFS-562動力台車を取り外し単独駆動試験を行った。
軽負荷の状況下では問題無く電流を上げても気になる症状は現れなかった。
ただ低回転時のトルクが弱く感じられたため注油を施している。


車輪回転が重かったFS-562動力台車(成田寄)。

モーター周りには不安定要素が見られず不調の主因はFS-562動力台車に絞られた。
FS-562動力台車は純正グリスの白塊を取り除く軽度の清掃で打ち切られていた。
完全脱脂施工前の入場でありこればかりは致し方ない。
残った純正グリスは粘度が高まり車輪の回転を重くさせている。


ギア軸まで絡み付く純正グリス(上野寄)。

FS-562動力台車を分解すると物理的に手が届かないギアボックス内部は純正グリスだらけだった。
大ギアはセンターピンが固着したかのように動きが悪い。
モーターの回転を推進力に変えるギア類がこの有り様では段付加速が起きてもおかしくないと言える。
上野寄,成田寄とも同様の状態でクリーナープールを持ち出した。


純正グリスでギア谷が埋まったスパイラルギア(成田寄)。

スパイラルギア周りも一切手が加えられた気配が無い。
純正グリスで守られた金属製ギアは真鍮色こそ保っていた。
但し手作業での清掃には向かない。
プラスチック製ギアと共にクリーナープールへ投入した。


比例して状態が悪かったロアフレーム一式(上野寄)。

モハ3621には相当量の純正グリスが投入されていたと思われる。
動軸ギアはおろかロアフレームまで煌めいていた。
久し振りに動軸ギア用クリーナープールを起用し純正グリスの溶解を待った。
各ギア類がクリーナーへ浸かっている間にギアボックスとロアフレームの清掃を進めた。
固着が生じていたギアボックスセンターピン挿入部は入念に脱脂を行っている。


全部品の清掃を終えたFS-562動力台車(成田寄)。

クリーナープールから引き上げたギア類は純正グリスが白濁した状態で残ってしまった。
爪楊枝と歯ブラシで仕上げを施す。
プラスチック製ギアは表面の艶が消え失せ完全に脱脂された。
スパイラルギアも極細綿棒と歯ブラシで払い純正グリス残滓を取り除いている。


純正グリスが除去されたFS-562動力台車。

思いの外純正グリスが溶解せずようやく組立に入れた。
大ギアを固定するセンターピンは拒絶する気配無く差し込めた。
組み上げたFS-562動力台車は車輪の回転が格段に向上した。
これで摺動抵抗はほぼ払拭できたとの手応えを得られている。
最後にタミヤ製グリスを塗布しFS-562動力台車の整備を終えた。


整備完了後のモハ3621用動力ユニット。

後は津川洋行製ホイールクリーナーでの踏面清掃と走行試験を行うのみとなる。
ホイールクリーナー上でも低電流から車輪が回転し始めた。
安定した低速回転を保ち一定の効果が伺える。
走行試験でも不審な挙動は見せず性能回復に漕ぎ着けた。
なお元運転台側をKATOカプラーからTNカプラーへ復帰させる計画が存在した。
しかし成田寄FS-562動力台車組立時にKATOカプラーを取り付けたため見送りされている。


KATOカプラーが継続使用となったFS-562動力台車(成田寄)。

中期仕様化時にTNカプラーからKATOカプラーへ交換したが連結面間隔が想定より広く見えた。
3600形の運転台側は三平面折妻である。
後退角の関係で錯覚により連結面間隔が増したように見えてしまうのが原因だった。
再びTNカプラーに戻す予定は整備都合で撤回されている。


モハ3621+サハ3608 (3668F-1:中間組込改造車+中間組込改造車)。

モハ3621の竣工で3668F-1が再出場した。
長期に渡ったマイクロエース製動力車整備もモハ3621が最終施工車となり一応の終着点に到達している。
全車現行方式で統一され未整備車は消滅した。
但し京成3500形更新車も初陣の3520F現行仕様(3520F-3)は出場から時間が経過しておりその状態が気に掛かる。
動力ユニット整備が一段落を迎えたのは事実だが整備方法に落ち度がないか確認を行う予定である。

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