樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

木材を天然乾燥させる訳

2008-07-22 | 建築と木材
写真を撮った時は、カエルちゃんがメインだったのだけど
この 丸太を見て下さい。

これは、昨年の秋に伐採されたケヤキの木の枝です。

枝といっても 直径は20cm以上あります。
つまり とっても大きなケヤキだったのですね。

これくらいだったら いつか木地師の人に頼んで
お椀とか作ってもらえるかも…と思って
山から持ち帰りました。
今は、私の外での休憩用のイスになっています。

このカエルちゃんが 座っているところを
白太(しらた)と言います。今は 黒いですが…。
雨上がりなので 特によく差がわかると思うのですが
すでに、微生物たちの食料になっています。
昔は、この部分が全部分解されるまで 山に置いておき
それから 製材をして 更に何年も乾かしてから
使いました。

真ん中の赤いところは、虫や菌にやられないのです。

今でも みごとに分かれてますでしょ。

ケヤキだけでなく 杉も同じで真ん中の部分は
日本の虫や菌に強い成分があるのです。

住宅金融公庫や建築業者の資金の回転をよくする為に
家を早く完成させるようになりました。
柱を壁で覆う 大壁工法が主流になりました。
土壁の家は 時間がかかるのです。
柱は隠してしまうので 何でもよくなりました。

家は 長持ちしなくていい。そんな風潮でした。

土壁の時は、ある程度水分があっても 建築中に
日本の四季を体験して それなりに乾燥しながら
動きながら 家のカタチにあわせて行きました。

でも 大壁になって金物で固定するようになると
それもかなわず 急げと言われるまま 
乾いていない木も出荷しました。

トヨタ方式の在庫を持たないのが 経営の極意に
なって行きました。

すると 家が傾いたり 柱が腐ったりする家が出てきました。

建築業者に 10年の瑕疵保障という制度が課せられました。

木の含水率が問題になったのです。数字です。

とにかく 建てる時にちゃんとしてましたという証明が必要です。
10年で いいのです。と いっても 最初 みんなわかりませんでした。
乾燥している事のみが 大切だったのです。
おまけに 乾燥している方が 強いという実験データがありました。
建築業者も反省しました。もうみんな 乾燥乾燥と躍起になり
人工乾燥をはじめました。

長持ちについては 未だにほとんど議論は出てきていません。
強さも どんな強さなのか。ねばるのも 強さだと思うのだけど。

どちらにしても よかれと思ってやっている事です。


しかし

わが社では 炭を焼いているので その時に出来る木酢液の
成分を調べました。防腐効果のある成分が中にかなり含まれていますが ある一定の温度でその成分は 揮発してしまいます。

普通の気温にない温度を加えると、木からなくなってしまうのです。

竹酢液では、変化を示さない ヒルやムカデが木酢液をかけると
縮んだり 避けたり 苦しがったりします。

母と実験してみました。これは ほんとです。


木は 動けないし 長く生きていかなくてはいけないので
虫などから 自分を守る為にその成分を作っています。

人工乾燥をさせると、それが抜けてしまいます。
また 細胞も壊れます。
細胞を潰して 均一にして くせをなくしてしまうので
おとなしい柱になりますが 中身がなくなるので
先ほどの成分だけでなく 極端な言い方をすると
スポンジ状になって 釘が利かなくなったり
木と木がガツっと結びつく力も弱くなります。

これは、大工さんに聞きました。

木酢というぐらいですので 酸性の物質が作られます。

釘は 錆びやすくなります。

木が腐るのは、元の柱だけが悪いだけではありません。
結露というのは 温度差で生じます。
割れやそりは、湿度差で生じます。

外気とかけ離れた室温や湿度で暮らすのが
快適とされています。

暮らし方からも 考えて頂かないと どんどん 悪いものに
ふたをするように 建物が重装備になっていきます。
そう 捨てる時に困るものの塊になってきているのです。


建築材は 伐った後植林して その木がまた 同じ
大きさになるまで 育たなければ 持続ある森林にはなりません。

80年生のヒノキって そんなに太くはないです。

梁には かなりの太さの木材が必要です。


大抵 何かをやろうというと 反対する兄弟ですが
小さい頃から ほんとの木を見てきて
人工乾燥された木に接し やはり 天然乾燥しなければ
という思いは おのおの話さずとも感じていたようで
天然乾燥した木が、すこしづつ 貯蓄されています。

伐った後 すぐに人工乾燥させれば 虫に食われることもなく
割れや カビに苦労することもなく どんなに
効率がいいことか しみじみ感じる昨今ではございますが
乾くのに3年かかっても 3年以上 きっと 家は長持ちすると
信じて( 信じなくても 昔の家が証明していてくれますけれど)
消費者という 消えて費やすという感覚ではない
お施主さまが たくさん増える事を願う昨今でもあります。

あー また 長くなっちまった。
いつもと よく似た内容だし。すみませんねぇ。

と いうことで 少し 目をさわやかに

いや ほんと 植物ってすごい という写真。
これまた きれいでしょ。

きゅうりのつる。体を支えるために 巻きつくとこを
探しているところを 撮りました。



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