新宿彷徨

　都内に着けばほっとする。
あとはなんとでも、、、なる。
　しかし、、私鉄は全て終電終了。駅もシャッターが下りている。
　小雨そぼ降る新宿の街へ、ふらりと歩を進める。東口はまだ、喧騒の余韻を残している。
空も、明るいことこの上ない。
　青梅街道大ガードから、西新宿方面へ。すぐに高層ビル群の足元へ。
　こと、あればすかさず、ひっかかるわしと、Mayuなのだが、、店先を一軒一軒物色していたのは
確かである。
　西新宿の、しかし、このコースは赤提灯もまばらであった。


　高層ビルの歩道橋上。そよ風にしか、、感じていなかった。
　その実、ビル風はそこそこの風圧で吹いていたのであった。


　気持ちよい風、と、感じていたのはヤマヤの感覚か、酔いで鈍磨した感覚のせいか。
　すぐに傘は風で持っていかれた。
　反転して、カタチがなくなった。


　と、、Mayuも

　風で黒のワンピースもろとも反転し、ビル群の彼方へと消え去って行った。



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　残ったのは

　傘の残骸

　丁寧に丁寧に張ったシールの残滓

　Mayuの残り香と爪あと。


　たぶん、、風

　風　走らせたあの娘に
　やや熱い視線
　焦らせたこの季節に

　畦　走らせたあの娘は
　多分　風　


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　新宿彷徨


　失うときは一瞬

　そしておそらく

　もう戻らない