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Amature radio のたのしみ。古い無線機のレストアを中心にアマチュア無線やそのほかの話題も。

TS-811D レストア その6

2011-05-21 16:02:27 | TS-811

8.PLLアンロック(つづき)

直った!!!!

周波数が高くなるとロックが外れてPLLの出力が停止していた不具合が解決しました。

 

分かってみると実にくだらないことでしたが、ずいぶん悩みました。原因が分かるのに丸一日を費やしてしまいました。結論はデジタルテスターの電池消耗が原因でした。デジタルテスターの電池が消耗してくると、表示電圧が実際の電圧よりかなり高く表示されるのです。これは知りませんでした。

1週間ほど前からデジタルテスターに「電池交換アラーム」が表示されているのは分かっていましたが、動いているのでそのまま使っていました。

 

今日、気持ちを新たにアンロックの修理にトライしていてPLLのICの電源電圧を測定すると8Vであるべき電圧が9.3Vもあることに気付き、「3端子レギュレーター78M08の不良」と判断して部品手配まで完了しました。78M08の出力が9V以上なんてあり得ませんから・・・・・。

その後、別の8.2Vのチェナーダイオードの電圧もチェックするとこれも9.5Vを示しました。まさか全然関連のない回路のチェナーと3端子レギュレータが同時に壊れることはないわけで、やっとここでデジタルテスターがおかしいことに気付き、006Pの電池を買いに近くのホームセンターへ走りました。

 

電池を交換するとちゃんと78M08の出力は7.93Vでまったく正常でした。もちろんチェナーの電圧も正常でした。

800_img_3014 電池交換前に測定した78M08の出力電圧

800_img_3015 電池交換後に測定した78M08の出力電圧

 

というわけでPLLのVCO電圧の調整時にすべて規定値よりもかなり低い電圧に調整していたため、周波数が上がった時にVCO電圧が下がり切れずにロックが外れて出力を停止していたのです。

A-loopでは6.5Vに調整したつもりの電圧が実際は4.7Vしかありませんでした。再度A-loopとB-loopのVCO電圧を規定値に再調整したところ問題なく全周波数でロックがかかりました。

 

今から考えるとこのブログにもAVRユニットの調整の時に「13.8V、9V共に若干高めでしたが、問題なし。」と書いてます。メーカー調整値にしては電圧が高いと感じながら調整VRを回しました。このときに気付くべきでした。AVRの出力電圧も今さらですが再調整完了。

 

今日は朝から回路図とオシロとデジタルテスターを何回見たことか??今日はもう無線機に触りたくないです。

あ~疲れた!!! 教訓「測定器はいつも正確に」


TS-811D レストア その5

2011-05-20 12:53:08 | TS-811

4.HETユニット(つづき)

今日発注していたトランジスタが届きました。早速Q5(2SC2026)を交換してHETユニットを調整しました。

まったく430MHzの信号を受信することができなかったTS-811でしたが、受信できるようになりました。まだまだ細かい調整は必要ですが、とりあえず受信はできます。-10dBμVの信号も受信してますので感度も大丈夫みたいです。

送信側もチェックしました。当初はまったく出力が無かったですがFM/SSB/CWで3Wほどの出力が出ました。まだまだこちらも問題はありそうです。

やはり「送受信不可」の一番の原因はHETユニットの7逓倍のトランジスタ(Q5:2SC2026)不良でした。

 

7.送信出力

送信部各ステージのトリマー・コイルのコア調整で出力は25W強に改善されました。概ね定格出力になりました。

一番大きく同調がずれていたのはIFユニットの出力同調コイル(L11:30.265MHz)でした。これはかなり大きく離調していました。

800_img_3013

 

8.PLLアンロック

送信出力がほぼOKになったので周波数特性を確認しようと430MHzから徐々に周波数を上げていったところ、438.5MHzくらいになったところで突然出力が0になります。

調べてみたらPLLユニットからHETユニットに渡している113MHz~123MHzの信号が121.5MHzあたりでLOCKが外れてピタリと停止しています。PLLに問題あり・・・・PLLユニットはService manualに従って全部調整済みのはず。さてなぜ・・・・????


TS-811D レストア その4

2011-05-20 09:10:43 | TS-811

6.IFユニット

HETユニットのTRが届かなくてもできる作業がありました。IFユニットにSSGから中間周波数を挿入してIFユニットの調整を開始しました。

当初の予想通り中間周波数以降は一応動いていました。30.265MHzをIFユニットのR INに挿入してIFTを調整してみるといくつかのIFTがコアが一番入ったところでもピークが取れません。

IFTの中に組み込まれているCが容量抜けでしょうね。交換することは難しいので並列にプリント基板裏にCを追加するのが最善の対策だとは思うのですが、コイルのインダクタンスも分からないしIFTの中のCの容量も不明では何PFのコンデンサーを付ければよいのか?山勘でカットアンドトライでやってみるしかないでしょうね。これは手間がかかりそう・・・・。

800_img_3006_3 800_img_3007

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山勘で10PFを追加してみましたが、やはりコアは入りきってもピークが取れません。

思い切って50PFに交換したら今度はコアが抜け切れてしまいます。間を取って20PFにしてちょっとコアが入り気味の所でピークが取れました。

もう一か所ピークの取れないコイルにも20PFを追加してみたところ、こちらは若干コアが抜け気味の所でピークが出たのでとりあえず2か所に20PF追加でいきます。

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TS-811D レストア その3

2011-05-19 23:12:00 | TS-811

5.MHz切り替えスイッチ(つづき)

タクトスイッチが届きました。しかし残念ながら若干寸法が合いませんでした。

押しボタン表面までの高さが4.3mmの物を取り寄せたのですが、これではMHz切り替えスイッチを押してもタクトスイッチの表面まで出っ張りが届かず切り替えできませんでした。5mmの物がちょうどよかったみたいです。

UPとDOWNのスイッチを押したときのフィーリングが違うのは気分的に良くないので両方交換して組み立ててみてこの結果が判明しました。

もう一度半田付けを外して、少しプリント基板から浮かせて半田付けするようにして合わせました。タクトスイッチも若干寸法が小さく、スイッチトップを取り付ける座がゆるゆるで仕方なく接着剤を使いました。

一応完了です。ちゃんとUPもDOWNも確実に動くようになりました。

800_img_2991_2タクトスイッチを交換しましたが若干小さい 

800_img_2995_2 スイッチトップを取り付けてみましたが座がゆるゆるだったので接着剤使用

800_img_3001

交換後の波形です。 交換前を撮り忘れました。これでは0V近くまで落ちてますが、交換前は3.5Vくらいまでしか信号が落ちていませんでした。


TS-811D レストア その2

2011-05-18 14:54:19 | TS-811

1.清掃と洗浄

いつも通り清掃と洗浄から開始しました。とてもきれいに見えましたが、それでもツマミやボタン、フロントパネルを外してマジックリンを使って洗ったら真っ黒な水が出ました。

やはり手垢とか埃とかタバコとかの汚れがあるようです。

リアのファイナルユニットも外して清掃しました。ファンにも埃は若干ありましたが、大変少なく驚きました。あまり現役で使われていなかったのかもしれません。

800_img_2986 800_img_3003

 

2.AVRユニット

セオリー通りまず電源電圧の調整から始めました。

13.8V、9V共に若干高めでしたが、問題なし。規定値に調整して送信、受信切り替え出力等確認してすべて問題なしです。

 

3.PLLユニット

Service manual に従って各コイルのコアとトリマーコンデンサーを調整。これはかなりずれているものがありました。

キャリアOSCもTS-811ではPLLユニット上に実装されていますが、これの周波数も調整して特に問題なし。若干のずれはありましたが、問題になるほどではなくOKでしょう。

 

4.HETユニット

ココに問題ありでした。PLLユニットからTCXOの10.240MHzを4逓倍した40.96MHzの信号をもらって、このユニットのQ5(2SC2026)で7逓倍して得る286.720MHzの出力がありません。

どうもこのTRがいかれている模様です。送信受信共に出来なかったのはこれが原因のようです。これならつじつまが合います。

ココが直らないと先へ進めません。手持ちに代替えにできそうなTRも無く、新規にTRを手配して一旦休戦します。

800_img_2981_2

 

5.MHz切り替えスイッチ

休戦中にMHz切り替えスイッチのDOWN側が働かない件の修理にかかります。

スイッチ不良でないことを祈りましたが、ダメでした。やはりスイッチの不良のようで、スイッチを押したときに抵抗値が数Ωあります。UP側を見ると確実に0Ωです。オシロで波形を観測してもDOWN側は信号が0Vに落ち切っていません。

まったく同じタクトスイッチが見つからず、寸法のよく似た物を2種類手配しました。どちらかが取り付けられることを願います。

これも部品手配中で休戦。現在TS-811はバラバラのまま放置です。邪魔です。

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