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Amature radio のたのしみ。古い無線機のレストアを中心にアマチュア無線やそのほかの話題も。

TS-700S vs IC-251

2011-02-12 08:58:40 | IC-251

Ts700_ic251

TRIOのTS-700SとICOMのIC-251この144MHzオールモードトランシーバーはほぼ同じ時代に発売されていたライバル機。以前FT-620B、TS-600、IC-551の比較を書いたことがありましたが、今回はちょっと違った観点で比較してみました。

発売から30年以上経った今、アマチュアが自分で行うレストアのし易さ、修理のし易さを比較してみました。

 

【見た目の修復】

「フロントパネル」

どちらも完全に取り外すことができるので洗剤を使って洗浄することはできます。どちらがフロントパネルを外しやすいか・・・TS-700Sかな?IC-251はフロントパネルに何枚かのプリント基板が実装されているのでそれらを外すのが分かりにくいですね。分かってしまえばIC-251の方が短時間で分解できます。

フロントパネルの縁の部分がTS-700Sはメッキのダイキャスト、IC-251は塗装のダイキャストです。TS-700Sはここに錆が出ている物が多いですが、磨くと比較的簡単にきれいになります。一方IC-251は塗装ですから傷が付いてしまうと再塗装以外にきれいに修復する手段がありません。

「本体」

すべて分解して洗浄するには断然IC-251がやりやすいです。プリント基板がすべてコネクターで接続されているのでバラバラに分解が可能です。半田ごてを使って配線を外さないと分解できないのはリアパネルの一部だけです。TS-700Sは基板間の配線がラッピングか半田付けですから完全にバラバラにすることはほぼ不可能です。

「リアパネル」

リアパネルがTS-700SはアルミパネルでIC-251はメッキされた鉄パネルです。TS-700Sはリアパネルに錆が出ていることはほぼないですが、IC-251はメッキの仕上がりによっては錆が浮いていることがあります。

「ネジ」

TS-700Sはほとんどのネジが真っ赤に錆びています。一方IC-251はネジに錆が出ていることはあまりないです。当時のメッキの質がIC-251の方が上質だったことが想像できます。

「取っ手」

サイドに付いている取っ手はTS-700Sは革製、IC-251はビニール製です。物としては革製が良いのは当然ですが、30年経つと革製の取っ手はボロボロになっていることがあります。ビニール製の取っ手は見た目は貧弱ですが、今でもきれいです。

 

【故障修理】

回路的にはTS-700Sはカウンター部以外は完全なアナログ回路です。IC-251はCPU制御、PLL回路など当時としては進んでます。アナログ人間にとってはTS-700Sの方が取っつき易いです。IC-251のCPU回路が故障した場合部品単位での修理は難しいかもしれません。

TS-700Sはステージごとにプリント基板が分かれていますが、IC-251はアナログ部分はほぼ1枚基板です。故障個所を探すのはTS-700Sが探しやすいでしょう。電源を入れたまま基板の裏にオシロスコープを当てたりするのも1枚基板は大変です。

一方部品交換をするときはコネクター接続のIC-251は完全にプリント基板を取り出して裏返しにして作業できるので断然楽です。TS-700Sは配線がつながったままの宙ぶらりんの基板に半田ごてを当てて部品を交換するのは大変です。

 

外観をきれいにするのはIC-251、故障修理はTS-700Sが有利かな?


IC-251 #1 レストア その3(完結編)

2011-02-11 16:00:55 | IC-251

6.高周波増幅FET交換、送信電力増幅部調整

3SK48を入手できたので仮に取り付けていた受信部高周波増幅の3SK35をオリジナル通り3SK48に交換しました。

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やはりこの方が受信感度は上がりました。Sメータの感度を20dBμVでS=9に調整しました。

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一通り送信部も調整してFM/SSB/CWともに出力は13W出ています。

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7.SSB受信時Sメーターのピーク点と音質の最良点がずれている

これは明らかにキャリアポイントずれです。一番最初にチェックすべきでした。

USB、LSBともに数百Hzずれていました。

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USBキャリア周波数10.6985MHz

 

8.上調整窓クリップ交換、ケースネジ交換、サイドパネルネジ交換

古い無線機はみんなこれらが傷んでます。ネジも錆が無くても頭がつぶれているものが多いです。

プラスティッククリップとケースのネジ、サイドのネジを新品交換しました。

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これでIC-251が2台完成です。2台とも完成させられるとはラッキーでした。


IC-251 #2 レストア その3 完結編

2011-02-10 16:49:00 | IC-251

4.塗装やり直し

最初に塗装したのがどうも艶消し黒のつもりが艶があって仕上がりが気に入らなかったので、塗料を変えてもう一度塗装しました。フロントパネルのフレームもこのIC-251に元々付いていた物を磨いてみたら傷もほぼ消すことができたのでこちらを使うことにしました。

今度は出来栄えも上々です。

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5.SSB/CWの出力が5Wしか出ない

送信出力がFMでは10W以上出るのですが、SSB/CWで5W程しかありません。

当初確認した時にはSSBで100mW以下だったはずですが、今見ると5W程あります。どうも改造で追加してあったマイクプリアンプが正常に動作していなかったようです。そのためにSSBで出力が微弱だったようです。FMの変調を確認していれば気付いたのでしょうが、キャリアを見ただけだったので気付きませんでした。マイク回路をオリジナルに戻したことで5Wまで復旧したのでしょう。

周波数混合部の出力でFMとSSB/CWにそれほど差が無いので原因はそれ以降であることは確かです。ファイナル、その前段ともにバイアス電圧などに異常は見られないので思い切ってファイナルのトランジスタ(2SC2094)を交換してみました。

各トリマーコンデンサーを調整して、見事に出力が復活しました。FM/SSB/CWすべてのモードで12W以上になりました。

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6.出力調整半固定抵抗がガリ

RF POWER ボリュームの後ろに付いているMAXとMINの電力調整をするVRがガリになっていて調整ができません。

このころの無線機に多用されている露出型の半固定抵抗は古くなるとダメです。半固定抵抗R17を手持ちの10KΩポテンショメータに交換しました。

FMモードで「RF POWER」最小で1WになるようにR15を調整し、最大で15WになるようにR17を調整しました。これを交互に何度か調整しないと最小がずれると最大も変わってきます。

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2011.3.7 追記

その後最小電力を調整する半固定抵抗R15もガリでなかなかうまく調整ができないのでこれも交換しました。MAX側のR17も同種の半固定抵抗にしました。

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7.RITスイッチが機能しない

スイッチ不良と思い、交換するつもりで外そうとした時に配線が間違っていることに気付きました。スイッチのMAKE側に配線されるべき線がBREAK側に接続されていました。

しかしMAKE側に半田の跡はなく、もしかして新品の時から??あるいは故障修理時に誤配線??

スイッチは壊れていませんでした。配線を正常な接続に直して復旧です。前オーナーはRITを使ったことが無かった?それも考えにくいし・・・でも使えなかったはず?不思議な故障でした。

肝心なところで写真を撮り忘れてしまいました。半田の跡が無いスイッチの写真は撮っておくべきでした。とても残念です。

 

8.GND端子折れ・ゴム足なし・サイドパネルのネジ・傾斜足

背面パネルのGND端子が折れていました。折れたM4のネジを外すのは容易ではなかったですが、折れたネジが付いたままもカッコ悪いので新しい物と交換しました。

サイドのゴム足が欠品していて付いていませんでした。汎用の物ですが、取り付けました。

サイドパネルを止めているM4丸皿ネジが頭をかじっていたり、他の種類のネジが付いていました。すべて新品に交換しました。

傾斜設置するためのコの字型の足が欠品していたのでジャンク機から拝借して取り付けました。

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当初この#2の方はレストアは無理で#1修復のための部品取りかなと思っていましたが、部品を外すこともなかったのでレストアできました。見栄えも予想以上にきれいにできました。

自己満足のBefore & After

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IC-251・IC-351用プリアンプ付きマイク

2011-02-08 16:15:51 | IC-251

先日オークションで手に入れたジャンクのIC-251をレストア中に前オーナーが改造したと思われるプリアンプが本体に内蔵されているのを発見しました。

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オリジナルはプリアンプを内蔵したマイク(IC-HM7)が添付品として付いていますが、多くのオークション中古機にはこのプリアンプ内蔵マイクが添付されていません。

そこで本体をオリジナルの回路に戻して、以前IC-551に付いてきたマイクにこのプリアンプを内蔵してコネクターも8Pinに交換してIC-251/IC-351用とすることにしました。一部アンプの回路が改造されていましたが、これもオリジナルに戻しました。形も本来のIC-251/IC-351に添付されているマイクと同じになりIC-HM7相当品が出来上がりました。

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IC-251/IC-351シリーズ用プリアンプ内蔵マイクの回路図

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