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Amature radio のたのしみ。古い無線機のレストアを中心にアマチュア無線やそのほかの話題も。

IC-730 #1 レストア その3

2013-08-14 11:21:35 | IC-730

5.仕上げ

修理調整が完了してカバーを洗浄して取り付け、実力測定です。

フロントパネルやツマミ類は一番初めにバラして洗浄済みでした。ずいぶんきれいになりました。

Img_0441 Img_0445

リアパネルのファンのカバーに錆があるのが残念。磨いて再塗装。。。と思ったのですがシルク印刷があるので断念しました。

<colgroup><col width="72" style="WIDTH: 54pt" /><col width="77" style="WIDTH: 58pt; mso-width-source: userset; mso-width-alt: 2464" /><col width="119" style="WIDTH: 89pt; mso-width-source: userset; mso-width-alt: 3808" /><col width="128" style="WIDTH: 96pt; mso-width-source: userset; mso-width-alt: 4096" /></colgroup>
周波数 送信出力 受信感度 S/N 10dB
PRE AMP OFF PRE AMP ON
定格100W 定格0.3μV以下 定格0.15μV以下
3.5MHz 120W 0.27μV 0.12μV
  7MHz 120W 0.25μV 0.12μV
  10MHz 120W 0.26μV 0.11μV
  14MHz 120W 0.29μV 0.13μV
  18MHz 120W 0.30μV 0.12μV
  21MHz 110W 0.29μV 0.12μV
  24MHz 110W 0.31μV 0.18μV
  28MHz 60W→120W 0.30μV 0.14μV

24MHzが若干定格割れしています。受信TOPの同調を再確認してもズレは無く1st局発のレベルも他BANDと差異はないのでこのままにします。耳で聞いて認識できるレベルの差ではありませんので・・・・。

もうひとつ感心したのは・・・・PREAMPの実力です。

多くのPREAMPと称する増幅器は別名Sメーター振らせ機といってもよい物が多いですが、このIC-730のPREAMPは確実に感度アップに貢献しています。FETによる広帯域AMPですがたいしたものです。

   

6.28MHz100W改造

一応全部終わったのですが、28MHzが50Wになっているのはチョットと思い回路図を見ながら調べました。

ずいぶん昔ですが28MHzは免許の最大電力が50Wでした。ある時(いつだったかは忘れました。)から1KWまで免許になるようになり、それ以降に発売された無線機は28MHzも100Wになっています。そのためにこのIC-730も28MHzが50Wに押さえられています。

そんなに難しいことをやっているはずはないと思って見たらすぐに分かりました。

MAINユニットのD27をカットするだけで28MHzも他バンドと同じ条件になります。つまり100W仕様に変更できます。

D27_1  D27_2

 

7.回路図の誤記発見

28MHzの100W改造を調べていてメーカーの回路図の大きな誤記を発見。

「これは動かないだろう・・・」と突っ込みを入れたくなりました。こんなのを見つけて喜ぶのはいじわるかな?赤線部分が未記入でした。

このトランジスタはどこから電源を??

Kairozu_teisei


IC-730 #1 レストア その2

2013-08-14 10:53:14 | IC-730

2.ケーブル抜け

FET不良を見つけて交換してそれなりに受信感度は回復しました。

ところがSメーターの動きが不可解です。RF GAINのボリュームを反時計方向に回してもSメーターが上がってきません。AGCの動きが怪しく思います。

AGC AMPのQ2のエミッター電圧を測ると-5Vであるはずが若干の+です。よくよく見るとDETユニットJ2にケーブルが刺さっていません。外れたケーブルが基板の下に潜り込んで気付きませんでした。基板のコネクターに線が刺さっていないのはオプションか何かだろうと気にしていませんでした。

これはおそらく入手時からではなく、私がFETの修理中に外して戻し忘れていたものでしょう・・・・。大失敗です。

これの発見にはかなりの時間を費やしてしまいました。バカみたい・・・・・。

001

 

3.2nd局発調整

SSGを繋いで受信部各部のIFTを調整しようとしたら、100Hz以下の微小な変化がスムースに変わっていないことに気付きました。

KHz台の変化は問題なく可変できるのですが、100Hz台以下が連続にスムースに変化しません。PLLかと思いましたが、IC-730特有の周波数構成にその答えがありました。1KHz台以上をPLLからの1st局発で可変し、2nd局発を可変させることで100Hz台以下の周波数を調整していたのです。←なるほど・・・・と感心することでした。

周波数カウンターを出力に繋いで所定の周波数に調整すると見事にスムースに可変できるようになりました。

 

4.送受信全体調整

全体的に正常に動くようになったので送信部受信部の各部の同調回路を全部再調整して概ねOKになりました。

送信出力も目いっぱい上げてありましたのでこれは少々かわいそう・・・・14.1000MHzでMAX120W MIN10W に合わせて完了です。POWERのボリュームを回すことで10W~120Wにすることができました。


IC-730 #1 レストア その1

2013-08-14 07:29:04 | IC-730

今回も初挑戦の機種です。ICOM IC-730 HF 100W機です。

友人が持っていた無線機ですが、使わないということで譲り受けました。

友人の現状診断では「送信は出来るものの受信感度が非常に悪い。かなり強力な信号しか受信できない。」とのことでした。

私なりに状態確認すると

【外観】

・フロントパネルは汚れはあるが、傷は少なくきれい。

・リアのファンカバーに斑点状に錆が浮いている。

・トップカバーとボトムカバーの止めネジの部分を丸く塗装が剥がされ、アース線で結ばれている。

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【機能】

・送信は各バンド120Wの終端型電力計のメーターが振りきれます。

・受信は友人の言葉通りどのバンドも30dBμVの信号がやっと聞こえるほど感度が悪い。本来ならS=9近い信号強度。

 

1.受信感度が悪い件の修理

IC-730の周波数構成はかなり複雑です。4回周波数変換しています。大変ユニークな設計です。

どのバンドも 目的周波数→39.7315MHz→9.0155MHz→455KHz→9.0155MHz と変換していきます。目的周波数を一気に39.7315MHzに変換するため第1局発がバンドごとに異なる周波数を出力します。

また、受動素子だけで構成された周波数変換部が多く信号の方向性が無いので送受信共用の回路が多くあります。

前置きはココまでで受信感度が悪い件・・・・送信が問題ないので共用部は障害個所から除外できます。

・PREAMPのリレー接触不良

これはある程度予想していました。リレーを調整ドライバーでつつくと「バリバリ」と小さな音ですが出ます。接触不良は確認できましたが、明らかに音が小さいです。ココだけの不良ではないことはすぐに理解できました。

リレーのカバーを外して接点の間に接点洗浄剤を付けたハガキの切れ端で接点を清掃してすぐにこれは解消できました。

・FET不良

明らかにどこかに致命的な障害があるはず・・・・順番に信号を追っていくと第4IF増幅にたどり着きました。3SK74の増幅が2段あります。面倒だったので一気に両方とも交換して見事解決しました。

文字で書くと簡単にたどり着けたように見えますが、結構手こずりました。

見本になるIC-730があれば比較的簡単に分かるのですが、受信部の障害探査は送信部に比べると難しいです。

Img_0454

 

普段KENWOODの機械を多くいじっている私にとってICOMの回路図は見慣れないので見にくいです。慣れなのでしょうが・・・・・。