久しぶりのブログ更新です。
先日入手したTS-711Dのレストアをほぼ完了しました。今回のTS-711Dは初めてのレストア機種でしたが、TS-811を何台かレストアしていたのでそれほど迷うこともなく出来ました。
オークションの商品説明から
「 通電確認のみで、実際の送受信はしておりません。ジャンク扱い。 簡易クリーニング済みですが、機体のキズ・汚れあり。」
受け取り時の初見チェックです。
【外観】
・簡易クリーニング済みということで外観の埃などはありません。メインダイヤルのゴムが汚いだけでした。
・トップカバーに上に載せていた物の足跡がクッキリ。
・ヒートシンク、リアパネルもきれいです。
・全体的には細かな傷はありますが、大きな傷は無く凹みもありません。
【機能】
・送信受信共にFMもSSBもまったくNGです。送信では出力0。受信もSSGの信号がまったく受信せず。(ちょっと重症?)
・スピーカーからのノイズはFM・SSB共それらしい音はします。
・各スイッチのうち「RIT」「CLEAR」の2個が反応が悪い。5回に1回くらいしか反応しない。
1.清掃と洗浄
いつもの手順でフロントパネルを分解してツマミとパネルをきれいに洗浄しました。ある程度拭き取り清掃はしてあったようでそれほど汚れは多くなかったです。メインダイヤルのゴムはかなり汚れていましたが、マジックリンとブラシで黒さを取り戻しました。
フロント部がきれいになったところでリアを分解しました。FINALユニットをバラしてヒートシンク、ファンすべて洗浄しました。アンテナコネクターも取り外したついでに真鍮ブラシで磨いて光を取り戻しています。
トップカバーもスピーカーを取り外してからマジックリンとスポンジで洗浄したところ足跡も完全に消すことができました。
ツマミもメインダイヤルのゴムもきれいになりました。
2.パワーモジュールチェック
出力がまったく出ないのは一番心配なのがパワーモジュールの障害です。25WモデルはM57727を使っています。もちろん新品は入手困難です。
FINALユニットの入力にSSGから145.00MHz/+17dBmの信号を入れて送信状態にすると無事に17Wほど出てきました。壊れていないようです。ひと安心です。
3.障害探査
「送信出力がまったく出ない。」「受信がまったくできない。」ということは共通部が障害である可能性が高いのでRFユニットのPLLユニットから来る局発信号を確認すると予想通りほぼ0でした。故障個所はPLLユニットのようです。
4.AVRユニット確認
何度か痛い目にあっている電源の確認から・・・・・電圧調整と送受信切り替え出力の動作を確認して異常なし。
5.PLLユニット調整
故障個所であろうPLLユニットの確認です。やはりココでした。10.240MHzを2逓倍して得る20.480MHzとさらに2逓倍して得る40.960MHzの同調コイルが大きく離調していました。
コイルの内蔵コンデンサーの容量抜けか・・・あまりに大きく離調していたので前オーナーがいじってしまったか?コアの調整範囲内で同調が取れたのでコンデンサーの追加等はやらずにに済みました。PLLユニットは周波数カウンターとRF電圧計またはオシロスコープとデジタル電圧計なしでいじるのは絶対禁物です。
PLLユニットのすべての調整を完了しましたが、他の個所はそれほど大きくずれているところもなく簡単に調整できました。
TS-811と比べるとHETユニットが無い分かなり楽でした。基本的な回路構成はほぼ同じです。
PLLの出力も復活したので送信と受信を確認するとやはり復活していました。送信出力20Wくらい。受信も-10dBμVの信号が受信できます。
6.RITスイッチとCLEARスイッチを交換
5回に1回くらいしか反応しないこの2個のスイッチを交換しました。
サブ基板が片面だけのパターンだったので外すのは簡単でした。バンドスイッチは両面基板でしかもアース付きのタクトスイッチを使っているので外すのが大変です。
写真は青い頭が外したスイッチ、黒い頭が新品のスイッチ。