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春の読書ガイド 「研究経営論」

2008-05-03 | Business
 しばらく前に,自宅近くに Bookoff ができた.Bookoff は,いわゆる「売れ線」の本以外は,古書としての評価が難しくなるせいか,とても安い値付けになっていることがある.特に,105円のコーナーには「掘り出しもの」があるので,月に一回ぐらいは覗いてみるようにしている.

 その Bookoff で先日入手していた,京都大学名誉教授,国立民俗学博物館の初代館長, 文化勲章授章者である梅棹忠夫 先生「経営研究論」(岩波書店,1989年) を読んだ.

 この梅棹先生の「経営研究論」は,文系研究者の間では非常に有名な本であるようだが,浅学の私は,先日 bookoff で現物をみるまでは,本書の存在そのものを知らなかった.しかし,「梅棹先生の本は買って損はないだろう」と思って入手していたものだ.あとで確認したところ,版元絶版になっていて文庫も出ていないので,比較的入手しずらい状態になっている.Bookoff では 比較的良い状態だったにも関わらず105円コーナーにあった.


 本書は,梅棹先生が実際に経験してこられた,大学の学科,研究会,研究所,国際学術交流などでの,さまざまな研究活動および研究組織,それにかかわるマネジメント的な視点,さらに研究者としての「こころがまえ」などに関して,1989以前に発表されたものを中心にまとめられている.

 すでに20年も前の本であるが,実際によんでみると,文系の研究者以外にも参考になる記述が少なくない.「研究」というところを「知的生産活動」とよみかえても,良いと思われるところが多い.

 文系研究者に限らず,何らかの知的生産活動の分野で,リーダーあるいはマネジメント的な役割を担う人に広くおすすめできる一冊.



 [目次]

 空想人類学科設立案
 近衛ロンドの五年間 京都大学人類学研究会の歴史と現状
 人文でえたもの
 国立民俗学博物館における研究のありかたについて
 学際的研究のすすめ
 日本文化研究所はどうあるべきか
 研究にたいする基本的な気がまえについて
 総合研究大学院大学文化科学研究科の発足にあたって
 国際シンポジウムの組織と運営

 

研究経営論

梅棹 忠夫

(表紙の画像はありません)

岩波書店

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