Dr. Jason's blog

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脳脊髄液減少症: 脳と圧力 補足

2008-05-25 | Medicine
 昨日の,blogに書いた,以下の脳の重さとフットプリントにかかる圧力の計算は,非常にラフなものである.

 『....つまり,非常におおざっぱにみると,立っている状態では,髄液の浮力等がなければ,脳の自重によって,脳の底部では,700 Pa 程度の圧力(単位面積あたりの力)が加わるはずだと推定できる.これは,圧力としては,たいした大きさではないが,豆腐におき変えてみると,実感がわくだろう.
[豆腐3丁分の面積に4.5丁分の重さ]
 普通の豆腐のパックはいくつか大きさに種類があり,例えば,10.5 x 7 x 5 cm で,約350g である.そうすると,3パック分の底面積でちょうど約 220 cm2 となり,重さが,1600g とすると,約4.5パック相当となる.固めの豆腐でも、3個を並べた上に,さらに,1.5個分重さをがくるので,その3個分の底面にかかる重さは,片手でもてば,体感的にもけっこうずっしりするはずだ.』

 しかし,脳の自重に対して,脳脊髄液の浮力の助けがない場合の圧力のオーダーとしては,概ねのイメージがつかめると思う.

 脳には,脳室等の空洞があるので,その部分は脳としての体積が減る(髄液で満たされる)勘定になる.その結果,全体としての脳の表面積が増える方向になるので,脳のある面が受ける力を細かく知るのは,意外と難しい.
 いずれにしても,脳の自重による圧力あるいは応力と,低気圧による大気圧の変動の幅のオーダーが,大気圧への普通の人が持つのイメージよりも,近いところにあることは,明らかだろう.

 また,「脳脊髄液減少症」の方の症状には,体温調整に代表される自律神経系の不調がよく知られている.
 直感的に,『何らかの理由で体温調整等の自律神経が不調の人は,大気圧への対応のための体内のシステムも「応答遅れ」等が発生する』という仮説が成り立つとすると,そのせいで,大気圧の変動の影響による追加の圧力を受ける時間が健常者よりも長くなることになる,そうすると,脳の圧力の影響を受けている部分への圧力によるストレスが強化されて,さらに体調不調になるというのは,単純すぎるモデルだろうか?


 気圧と体調については,「医療健康情報」にとても参考になるコラムがあった.
 「天気が良くなってゴルフに行こうとすると盲腸の手術が入って行けなくなる事が多い」というジンクスから虫垂炎発症の免疫系のメカニズムと気圧の変化の関係を明らかにした研究者がいるらしい.
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