Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

井戸が枯れたあとはどうするのか?

2005-08-23 | Environment
 8/20につづく,8/21の NHKスペシャル は,農業用水がテーマだった.

 インドや,米国などのある地域では,日本の数分の一の降水量でも,地下水や灌漑に頼った農業が営まれている.
 しかし,おおまかに考えれば,雨によって蓄えられる以上の量の水を,地下から汲み上げ続ければ,いずれは水脈の水位が下がって,色々な問題が発生することは明らかである.(降水量と井戸からの汲み上げ量と,地下水の水位の関係は,比較的簡単なシミュレーション・プログラムで予測できる.)

 インドでは,井戸が枯れたために,充分な作物を収穫できず,借金が増えて自殺する農民がいるという.
 その一方で,アメリカには,広い農地を2つに別け,それぞれ一年おき作物をつくる(一年づつ畑を休ませ少ない雨を吸収させる)という先祖から受け継いだ自然のバランスにマッチした手法を取る農民もいれば,肉牛の飼料のために,地下水からの散水にたよって,麦の倍以上の水を必要とするトウモロコシを作り続ける農民もいる.

 とにかくはっきりしていることは,地球にある大半の水は,海水であり,次に多いのは実は氷河で,地表およびその近辺にある,淡水はわずかに 0.8%程度であり,実は,淡水は非常に貴重な資源であるということだ.


 私は,環境に関連するテーマを本格的に研究するようになってから, ワールドウォッチ研究所 の 地球白書 (STATE OF THE WORLD) に毎年目を通すようにしている.地球白書は,環境やその他の社会的な問題について,全地球的視野で論じている.

 以下は,昨年の号だが,水については,
  第3章 「水の利用効率を高め,生態系と分つ」 Boosting Water Productivity
 にまとめられている.(pp. 83- 120)
 農業用水だけでなく,工業用水,生活用水等についても言及している.

 水,食品,エネルギー等,地球的問題に興味のあるすべての方に,基本的参考書としてオススメできる.

地球白書〈2004‐05〉―ワールドウォッチ研究所

家の光協会

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 *すでに,2005-2006 年版もでています.
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2 コメント

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カリフォルニアの実態も紹介されてましたね (けいすけ)
2005-08-24 06:53:49
番組でも取り上げられていたカリフォルニア州、環境問題に対する意識が高い州として有名ですが、実は砂漠に近い気候に巨大都市を発達させたために、周辺から水を買いあさって何とかもっているのが現実なんです。そんな都市が今年、国連環境年のホストシティになったんですよ。アメリカが言う正義の偽善性と同じような者を感じます。こういうこともあるので、僕は環境問題についてアメリカ、特にカリフォルニア州の研究者や民間団体の活動を鵜呑みに導入する日本人は、まず用心することにしています。大体において、底が浅いことが多いというのが、これまでの経験です。
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コスト重視の政策? (Dr. Jason)
2005-08-24 11:52:21
 けいすけさん,コメントありがとうございます.

 元々,カリフォルニアは砂漠と乾燥した原っぱが多いので,人口が急増している地域では,水が不足するのはあたりまえですね.

 # 空気の平均湿度が違うので,同じ機種でも紙でできたスピーカーの振動板から出る音が,東京とは違って聞こえるのが,昔から知られているぐらい,乾燥しています.



 特に,サンディエゴは,急激に人口が増えているので,水が足りないのでしょう.

 コロラド側の支流の農村地帯から,水を買うというのは,おそらく,MBAもちの幹部による,コスト重視の行政判断の結果だと思います.

 # また,農村の継続的な生産活動のことは,考慮していないでしょう.

 

 私が,サンディエゴ市長なら,海水淡水化プラントを,国際競争入札しますね.

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