こんにちは、副部長の稲田雄飛です。
連休中に行われた中四交流戦について振り返りたいと思います。今回は個人戦決勝について書きたいと思います。時間のある時にそれまでの対局についても振り返りたいと思います。
自分でも信じられなかったのですが、なんと個人戦決勝に進出することができました。対戦相手は西村先輩ということで、大勢の人が見ている中で部内戦をすることとなりました。
西村先輩が雑記で述べられていたように、(部内でもネタにされてるので触れたくなかったですが笑)愛大将棋部には稲田攻めと呼ばれるものがあります。名前の通り僕がひたすら攻めるだけです笑。わざわざ名前がついたのには理由があります。一言で言うと成立してないからです。
稲田攻めがどのようにして生まれたかを僕の将棋人生(めっちゃ短いですが)とともに書こうと思います。対局については次の段落に書くので、興味のない方はこの段落は飛ばしてください。高校の時二段 の友達がいて、8枚落ちで負けたところから僕の将棋人生がスタートしました。1年間ボコられながら指し続け、追いついて二段になったまでは良かったのですが、指導者がおらず、棋力が並んでしまったことで無理攻めが矯正されることがなくなりました。ところが流石は愛大将棋部の先輩方、独特の攻め筋に最初は面食らっていましたが、大した狙いがないことに気付くとしっかりと咎めてくださりました。こうして稲田攻め=成立しないという1つの方程式が成立しました。始めは、強い先輩に囲まれ、1年間挑み続けて追いつこうと思いましたが現実はそこまで甘くはありませんでした。そこで「稲田攻め」を封印し、棋風を一度壊して新たに作る作業を1年の終わりごろから始めました。初めは前より弱くなりとても苦しかったですが、3年生の頃には四、五段くらいになりたかったのでプロの将棋を見たり、floodgateを見て斬新な攻めを吸収しようとしました。また、お互いに手がない時は攻めて来られないというごく当たり前のことに気付き、手渡しをしては潰されるというのを繰り返し、成立条件を模索しました。予想していたより早く、夏休みの終わり頃に新たな棋風ができつつありました。
お待たせいたしました(待ってないかもしれませんが)本題に入ります。決勝戦は角換わりになると予想しました。なぜならこれまで、研究量、終盤力ともに圧倒され、ほとんど勝ったことがなかったからです。そこで、新たな戦型をぶつけようと思いました。それが「38金49飛26角型腰掛け銀」です。僕は後手番でしたが、便宜上今適当に名前をつけたので何かいい案があればDMお願いいたします笑。さて、本譜でも局面を誘導することに成功しました。
ここまできたらあとは攻めるだけです。前の段落を読んで頂いた方は、あなた稲田攻め封印しませんでしたっけ?と思われたかと思います。しかし、新たな棋風は自分から攻めないため、序盤からミスが許されず読みの量が膨大になってしまいます。研究が不足していたり、強い人が一目で見える手が見えていないのが原因だと思いますが…見えないものはしょうがないので初戦から序盤から長考するというのを9時間続けた結果、ベスト8の後の休憩で集中力が途切れた瞬間、頭痛に発熱、吐き気が僕を襲いました。そこで、序盤に読み抜けして終わるより、例え無理攻めでも攻め続けた方が勝機があると思い、超攻撃的陣形を築きました。
84角は工夫の一手で57の地点を桂馬とともに攻めたり、単に66銀と出来ないようにする狙いがあります。65歩からいよいよ開戦です。同歩同銀69飛66歩65銀同桂66銀と進みました。
69飛の工夫もあり、なかなか攻めが続きそうもありません。しかし、稲田攻めに引くという選択肢はありませんし、劣勢の局面から始めるのは慣れっこです。盤面を見渡すと45に桂馬がいました。45銀同歩66角同飛55銀69飛と進み、角をぶった切って天王山を取りました。戦線拡大を図るため83歩同歩を入れたらもう66桂しか絡みつく手は残っていません。95歩も入れたかったのですが、手抜かれてさらに受けられそうだったのでやめました。66桂67銀と進み、単に78桂成も考えましたが、攻めが止められそうです。そこで、飛車交換を挑みました。57桂成同金78桂成同銀69飛成同銀と進み、飛車交換に成功しました。ところが駒を渡し過ぎたため、どこに飛車を打っても受けられて攻めが止まる未来しか見えませんでした。
そこで68歩。どうしますかと聞いてみます。返答は同玉。なるほど、同銀を期待していたためあまりいい返答が得られませんでした。66銀も考えましたが、金を引かれて続かなそうです。そこで第2の罠87飛です。実はこの87飛59銀以下の詰めろとなっております。当然気づかれますが、どう受けても89の桂馬が取れるので駒の補充ができます。
ところがこれを指した後指に電流が走ります。
「ビリッ⁈」
悪手を指したときにたまにでる感覚です。指す前に流れてくれよと思いますが、そこまで高性能では無いようです。始めは77角などを考えていたのですが、いろんな受けを当てはめていくと、どうやら84角が激痛です。もともと形勢が悪いのはわかっていたので、ここはお祈りタイム。信仰するものはありませんが、将棋をしていると祈りたくなることもあります。
本譜24角。59銀を消した手かと思っていましたが角筋の先に53の地点が照射されています。これは詰めろでしょうか?稲田攻めの代償として相手側の持ち駒には飛車角銀桂桂歩歩歩歩歩。最後の5枚の歩があざ笑うかのようです。幸いまだ秒読みに入ってなかったので時間を使います。詰みを見つけられなかったので66銀と上から攻めることにしました。対して58金。なるほど、詰みはないようです。89飛成としました。これが最後のお願いです。本局二度目のお祈りタイム。対して54歩と指され、56桂から激しい対局の幕を閉じました。
記事が長くなってしまったので、棋譜の方は割愛させてもらいます。僕が無理攻めの中で何を考えていたのかを楽しんでいただけたらと思います。
形勢は終始悪かった模様ですが、諦めずに攻め続けてよかったです。
対局後西村先輩に褒めてもらったのが1番嬉しかったです。
個人戦、団体戦と対局して頂いた皆様、ありがとうございました。とても勉強になりました。大会期間中、1局ごとに成長を感じられて楽しかったです。
祖母井君を始め、運営に携わってくださった皆様、オンライン上での開催ということもあり、慣れないことだらけで普段の大会より多くの負担がかかってしまったと思います。お疲れ様でした。そして大会を開催していただきありがとうございました。
長い持ち時間の将棋だと序盤から長考ができて、今まで見たことのない景色をたくさん見ることができたので、日常生活に支障の出ない程度に取り入れたいです。
また秋の大会があるかわかりませんが、もし開催されたら今回より対局数も大幅に増えると思うので、序盤の研究をしっかりして、思考量を減らして途中で潰れないようにしたいです。
当面の目標は稲田攻め=成立していないの方程式を壊すことです笑
勢いだけで優勝してしまい早くも肩書きに押し潰されそうですが、今後も精進します。
とても長くなりましたが、ここまで読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m