こんにちは、まきばおーです。
つい先日秋中四振り返りを書いたばかりなのですが、尊敬する先輩やきとり氏が「局面図も棋譜も無い、やり直し。(一部誇張有)」と言われたのでしぶしぶpart2を書いております。だって局面図とか準備するのめんどくさいんだもん・・・。
今回振り返る対局は、題名にもある通り僕の引退対局です。
対局相手は島根大学のSさん。戦型は先手Sさんの四間飛車に対して僕は左美濃~銀冠で持久戦調の将棋を選びます。
駒組辺りから詳しく見ていきます。まず1つ目のポイントが下図の局面。
この時点で振り飛車側の駒組に工夫が見られます。
このまま後手が何も考えずに銀冠穴熊を目指すと、先手は37桂~47銀~38金と逆雁木のように組み、地下鉄飛車から玉頭を攻める構想が部分的な定跡です。
その辺を考慮すると後手はここから銀冠一本を選べるわけではなく、持久戦を選ぶにしても、相手の形によって仕掛けを匂わせながら駒組をする必要があります。
本譜はここで図から74歩に39玉と引いてくれたので銀冠に組みやすくなりました。
39玉以降は
△2四歩 ▲6七銀 △3三角 ▲3七桂 △4四歩 ▲4七金 △2二玉 ▲2六歩 △4三金 ▲2八玉と進んで下図。
本譜はここで23銀としましたがこれが少し焦った手。
替えて73桂として振り飛車の65歩を阻止しておくのが実戦的には指しやすい展開になったと思います。
この戦型は何度も経験があるのでわかっていたはずなのですが、少し緊張していたのか玉周りにしか目がいってませんでした。
本譜23銀に65歩と突いた局面はまだまだ互角ですが、66銀と上がれることが確定しており、振り飛車としては不満のない展開。
図から23銀65歩以降は
△3二金 ▲6六銀 △7三桂 ▲7五歩と進んで下図。
73桂はかなり欲張りにいった手。図の局面で96歩がついてあれば84飛でなんてことないのですが、今回はそこで95角が生じているのがネック。
ここで持ち時間25分の内15分近くを投入。一見困っているようですが手つき良く△同 歩 ▲同 銀 △4五歩としたのが勝負手。
同歩には77角成~46歩(取ると57角)、45同桂にも77角成として銀を逃げておけばまずまずと読んでいました。
「その仕掛け、読み筋ですよ?」と言いたげなほど堂々とした姿勢だったのが効いたのか、先手はここで95角。46歩の取り込みが入るのは後手にとってはものすごい大きなポイントです。
本譜は図から
▲9五角 △4六歩 ▲同 金 △8三飛 ▲5五歩と進んで下図。
本譜はここで94歩と突いたのですが、先に86歩と突き捨てておく方が得でした。
86歩に同歩はそこで94歩とすれば飛車角交換を強要でき、57角が残っている分居飛車が指しやすいです。86同角にはいきなり86同飛~57角が残っており、居飛車優勢です。
しかし先に述べた通り、仕掛けの段階で持ち時間のほとんどを投入。95角の対応を考えている間に持ち時間を全て使い切り、既に秒読みだったのが惜しかったです。
本譜は図から
△9四歩 ▲7七角 △8六歩 ▲同 銀 △4八歩と進んで下図。
手筋の歩ですがこれは疑問手。
これは仕掛けの75歩と突かれた局面辺りからずっと読んでいた歩で、どこで入れるのかのタイミングにずっと迷っていました。
本譜は同金に対して76歩88角86飛と勢いよく飛車を切り飛ばし59銀と玉形差を武器に一気に攻めたてますが、やや無理攻め。
48歩を入れていなければ同様に進んで86飛と切った後に57銀~46銀成として桂頭を攻めていけば居飛車側の方針がわかりやすかったです。
もちろんその順も読みには入っているのですが、細かい分岐による膨大な変化を読んでいたのもあり秒読みに追われて「どこかで入れる予定だったし読み切れない今打つしかない」といった感じで打ってしまいました。これは反省。
本譜は図から
▲同 金 △7六歩 ▲8八角 △8六飛 ▲同 歩 △5九銀 ▲5八飛 △4八銀成 ▲同 飛 △6五桂 ▲6六角 △6七金と進んで下図。
65桂に66角としてくれたのは少し助かった気がしています。
実際は他の手もあるのかもしれませんが、対局中の僕にとってこの局面は67金打とノータイムで盤上この一手。相手玉へのとっかかりができて少し元気が出ました。
本譜は図から
▲7五角 △5七桂成 ▲9八飛 △6四銀 ▲4四歩 △同 角 ▲6四角 △同 歩 ▲4五銀と進んで図の局面。
ここで手拍子に55角と出たのがチャンスをダメにしてしまいました。
替えて47歩が正着です。以下44銀同金の局面は先手から速い手が無く、49歩と受けるくらいですが、そこで88歩が見えにくい好手でした。
放置していると48歩成同歩同成桂で成桂が寄せに使えていてハッキリ居飛車優勢なので同飛と取るのが普通(ソフトが読んでる75角は秒読みで指せる手じゃない)ですがそこで77歩成とすれば先手が困っています。
同桂には同金が飛車当たり。手を進めて98飛と逃げても後手の77の駒を87に寄せれば飛車が捕まっています。
このチャンスを逃してしまってからはSさんの攻めが鋭かったです。
本譜は先手が45銀打とした局面から
△5五角 ▲同 金 △同 歩 ▲4四歩 △3三金寄 ▲4一銀 と進んで下図。
41銀打に替えて43銀打をずっと読んでいてそこで42歩と受ける予定だったのですが、読んでいない手が飛んできてここで完全に読み筋がバグりました。
なんてことはなく、42歩と受ければ読み筋と合流しますし、58金と攻め合ってもまだまだ互角の良い勝負です。しかし秒読みとあの緊張感は怖いものです。
本譜はここで48金打としたのが悪手。持ち駒の金は39角~28金の詰めろに残しておかなければいけませんでした。
図から
△4八金 ▲3二銀成 △同 金と進んで下図。
形なのでノータイムで32同金と取りましたが、これが敗着。
以下43歩成で金が斜めに誘われた局面は守りの金が何も働いていません。
遡って41銀の局面で42歩と受けておけば32銀成に形良く同金と取ることができるので、銀冠の生命力を信頼している自分の棋風的にはそちらを選ぶべきでした。
本譜は以下43歩成に39角と先に王手を決めたのも焦りすぎ。27玉が一生捕まらない玉で、ますます局面を悪くしてしまいました。
図から
▲4三歩成 △3九角 ▲2七玉 △4三金 ▲8二飛 △3二銀打 ▲4四歩 △3三金 ▲4二飛成と進んで下図。
これが詰めろになるのをすっぽ抜けていました。
どうしようもないので12玉と早逃げを試みますが、31角と打たれて必至。
28角成~38金~13銀打と粘りになっていない粘りをしましたが、普通に詰まされて負け。最後の数手は棋譜を汚してしまいました(でもたかが学生将棋で棋譜を汚すとか考える必要は無くて、粘れるなら手順の限り粘るべきってのが持論)。
と引退対局について長々と振り返りをしてみました。
これでやきとりも満足したかな・・・?
次に雑記を書くのは卒業の時になんか老害っぽいこと書くくらいだと思ってたけど、自戦記書くのは楽しいね。棋譜準備するのめんどくさかったけど。
最後に棋譜をはっつけて終わりとします。
1年生時から信頼をもって使ってきた銀冠で引退ならまあいっかと思います。勝ちたかったけど。
特に面白いことを書いてるわけではなくてただただひとり感想戦を垂れ流したけど果たしてやきとり以外に需要があるのかは謎。
先手:S(島根大4年)
後手:まきばおー(愛媛大4年)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八飛 △6二銀 ▲1六歩 △1四歩
▲4八玉 △4二玉 ▲3八銀 △8五歩 ▲7七角 △5二金右
▲7八銀 △3二銀 ▲6六歩 △5四歩 ▲5八金左 △3一玉
▲4六歩 △5三銀 ▲3六歩 △3四歩 ▲5六歩 △7四歩
▲3九玉 △2四歩 ▲6七銀 △3三角 ▲3七桂 △4四歩
▲4七金 △2二玉 ▲2六歩 △4三金 ▲2八玉 △2三銀
▲6五歩 △3二金 ▲6六銀 △7三桂 ▲7五歩 △同 歩
▲同 銀 △4五歩 ▲9五角 △4六歩 ▲同 金 △8三飛
▲5五歩 △9四歩 ▲7七角 △8六歩 ▲同 銀 △4八歩
▲同 金 △7六歩 ▲8八角 △8六飛 ▲同 歩 △5九銀
▲5八飛 △4八銀成 ▲同 飛 △6五桂 ▲6六角 △6七金
▲7五角 △5七桂成 ▲9八飛 △6四銀 ▲4四歩 △同 角
▲6四角 △同 歩 ▲4五銀 △5五角 ▲同 金 △同 歩
▲4四歩 △3三金寄 ▲4一銀 △4八金 ▲3二銀成 △同 金
▲4三歩成 △3九角 ▲2七玉 △4三金 ▲8二飛 △3二銀打
▲4四歩 △3三金 ▲4二飛成 △1二玉 ▲3一角 △2八角成
▲同 玉 △3八金 ▲同 飛 △1三銀 ▲2二金
以上、まきばおーでした、またね。