(み)生活

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(孤独の)孤独のグルメマップ (2019.01.18)・・記事はこちら ※2018年大晦日SP更新完了※

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ep第19話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-06-09 18:36:22 | ガラスの・・・Fiction
ep第18話←                  →ep第20話
********************
7月、マヤは東京から少し離れたひなびた高校にいた。
既に夏休みに入った学校は、部活動にいそしむ生徒たちの
掛け声が響き渡るだけで、校舎内はひっそりとしている。

今月頭からスタートした連続ドラマ『ひと夏のままで』
テレビ離れが激しい時代と言われ、爆発的なヒットは
難しい情勢だが、マヤが出演するこのドラマは、
昨年の朝ドラでブレイクした若手女優、柊あいと
往年の伝説的舞台『紅天女』を数十年ぶりに復活させた
天才女優北島マヤの共演という話題性から、
初回視聴率18%という、なかなかの好スタートを切った。
若き女優の瑞々しい同世代の演技と、舞台となっている
沖縄の美しい景色が人気を呼び、
回を重ねるごとに視聴率は上昇、更に沖縄旅行客も前年比アップと、
スポンサーにとっても嬉しい"ひと夏"現象が起きつつある。
まだドラマは前半部分だが、夏休みに入って見逃した視聴者の
ための一気見再放送も高視聴率を叩き出すなど、
今クールのベストヒットドラマも狙える状況、おのずと撮影現場にも
活気がみなぎっていた。
既に大部分の出演シーンを撮り終えているマヤは、
今日は「ひと夏」チームから離れ、映画のロケ現場に入っていた。
「マヤちゃん、準備は出来てる?」
東日本も梅雨があけ、夏の暑さがじっとりと校舎に溜っている。
この映画で、新人美術教師の役を演じるマヤは、
長袖の割烹着エプロンを着ているため、熱がこもる。
更に教師らしくみせるためのメガネのせいですぐに鼻に
汗をかいてしまい、さっきから隣でマネージャーの大原が
あおいでくれているのだ。
「今日が初めての現場だから、ちょっと緊張するね」
この映画の主役は、今勢いのあるアイドルグループ。
現役高校生でもある彼女達の挫折と成長のストーリー、
マヤはその高校に新任でやってきた美術教師という役どころだ。
「それにしても、元演劇界の天才女優なんて、マヤちゃんに
ぴったりの役ね」
そういって笑う大原に、マヤは天才なんて・・・と顔を赤らめた。
学生演劇界でその名をしらしめた天才女優が、自分の実力に
限界を感じ、地元に戻って美術教師としての人生を選ぶ。
しかし赴任した高校の演劇部の生徒達とのふれあいを通じて、
再び自分の中に冷めない演劇への情熱を再確認する・・・。
「ピッタリかどうかはわからないけど、山崎先生の気持ちは、
ちょっと分かるかも・・・」
マヤは自分が演じる山崎先生と、昔の自分とを重ね合わせた。
かつて芸能界で失脚し、演劇から身を引くことを決意した、
高校2年生の冬。
無理やり連れてこられた速水邸を抜け出して、保育園で住込みで働いていた穏やかな日々。
しかし再び舞台の空気を吸った私は、自分の中に消せない演劇への情熱を思い知らされた。

「圧倒的な演技力・・・ってどうすればいいんですかね?」
今日は主役のアイドル達と初顔合わせ、しかも今日の撮影でマヤは、
その子たちの前で、普段の物静かな美術教師の顔から、
全く存在感の異なる、圧倒的な演技力を見せつけることで、
どこか本気でなかった演劇部員達の闘志に火をつける、という
重要なシーンに臨む。
自分が人に影響を与えるような演技力なんて見せられるのかと悩むマヤに、
「いつも通りにしてれば大丈夫よ」
と快活に笑い、背中をぽんっと叩いた。
最近は少し自信がついてきたのかと思っていたが、
素のマヤは相変わらず、自分に演技の才能があるという
自覚はあまりないようだ。
"この素直さが、なんだかほっとけないのよね。"
大原のゲキを受け、マヤは撮影セットに向かっていった。

**
「せっかくだから、ちょっと部屋でお話ししない?」
今日の撮影を無事終えたマヤは、
大原と夕食をとった後宿泊先のホテルに戻ってきた。
明日もロケ地の高校で撮影のあと、市内のホールでの撮影で、
マヤは一旦東京に戻る予定になっている。
「忙しくて、なかなかゆっくり話す機会もなかったし。」
マヤのマネージャーとなって4ヶ月、マヤの女優としての才能に
間近で接するとともに、どんな役にも真摯に向かい合うその姿勢、
反対に私生活でのどこか抜けたところのある子供っぽさも
全てがこれまで担当してきたどのタレントとも違っていた。
マヤは人を疑うことを知らない。
これまでたった4ヶ月にも関わらず、一体どれほどの
人間が、甘い蜜を狙って近づいてきただろう。
あわよくばスクープを狙って巧みに罠を仕掛けようとする
3流マスコミに付け狙われたこともあった。
それらを大原は徹底的にガードし、マヤを演技に集中させてきた。
もっともそんなことができるのも、怪しい人物の情報が事前に随時
会社から連絡されていたからだともいえるが。
"まだ想像つかないのよね、このマヤちゃんが速水社長と・・・なんて"
今日は特別、と大原に許してもらったデザートを食べているマヤに、
今日こそしっかりと話を聞き出そうじゃないの!と気合をいれる大原だった。

「社長には連絡した?」
部屋でくつろぎながらなんとはなしに台本を手にしていたマヤに
大原が聞いた。
「速水さん、今海外出張中だから・・・メールはしましたけど多分今は
 お仕事中だと思います。」
「そうか・・、今フランスに行ってるんだっけ。」
大原の耳にもその案件のことは入っていた。
大きな仕事が決まりそうで、急きょ社長自ら出向いているらしい。
「あの仕事が決まれば、大都にとっても・・・・大変なことになるかもね。」
「あ、大原さん知ってるんですか?速水さんの仕事の事」
私、会社の事とか全然分かんないから、速水さんなにも教えてくれないんですよねーと
頬をぷくっと膨らませるマヤに、ちょうどいいタイミングだと話しかけた。
「ねえ、マヤちゃん。ちょっと女同士の会話しない?」
「え?」
「いつもはマネージャーとして、マヤちゃんとはいろいろ話してるけど、
 今だけ、女友達みたいにいろいろぶっちゃけトークしたいんだ~」
そう言っていたずらっ子のように笑う大原はとてもきれいで、
マヤは安心感を覚える。
「大原さんって、恋人いるんですか?」
「え?」
「だから・・・・ガールズトークするって言ったから・・・」
まさかマヤの方から先制パンチが来るとは思わなかった。
「マネージャーのお仕事って大変ですよね。最近はほんとにずっといつも
 私の側に居てくれて・・・・。だから大原さん、恋人とちゃんと会えてるのかなって。」
ただの興味本位というよりは、大原の私生活を心配しての発言だったと気づき、
マヤにきゅんと親心を感じる大原だったが、残念ながら現在大原にそういう相手はいない。
「マヤちゃん・・・・心配には及ばないわ・・・」
「水城さんも、いっつも遅くまでお仕事されてるし、あ、大原さんって水城さんと同級生なんですよね」
「同級生っていうか、大都に入ったのは同じ年ね。彼女はしばらく速水会長の秘書を
 していたから、大都芸能へは私が先に入っていたけど。」
もうオフということで、これは社長にはナイショで!と缶ビールを飲みながら話す大原は、
いつもの飾り気のない話し方に加えて、どこか姉御肌的な雰囲気も感じさせる。
「水城には直接聞きなさいって言われたのよ。」
「え?」
「な・れ・そ・め!マヤちゃんと社長の。」
途端顔を真っ赤にするマヤの反応を楽しみながら、大原はどんどん切り込む。
「いつから好きなの?速水社長の事。あんな仕事の鬼のどこが好きなの?」
「え・・・と、最初は嫌な奴って思ってて、あ~違うな、
 初めて会ったのは『椿姫』の観劇の時で、その時は優しい人だな~って思ったんです。
 でもすぐにつきかげをつぶそうとしてるって分かって、それで仕事のためなら血も涙もないヤツだって
 思ってたんだけど・・・・」
照れながらも一生懸命話すマヤの様子を見ていると、こっちのほうが恥ずかしくなる。
「社長はいつからマヤちゃんの事好きだったのかしら?」
「え?さあ・・・・、好き・・・なんですかね・・・・私の事・・・・」
傍から見ていればマヤの事しか目に入っていないような真澄の態度も、
当の本人からすればそうは映っていないのかもしれない。
「そりゃ好きでしょ。あんなにいつもマヤちゃんのことばっかり気にかけている人、他にいないわよ。」
「だったらいいな」
ごちそうさま・・・思わずそう言いたくなるような幸せな笑顔を浮かべてマヤはうなづいた。
「マヤちゃんは将来どうしたいの?社長との事も含めて。」
以前真澄にも尋ねた質問を、今度はマヤに投げかける。
「え?」
「詳しくは聞いてないけど、マヤちゃんと社長って付き合い始めたばかりなのよね。
 将来がどうのこうのって時期でもないとは思うけど、それでも結婚とか・・・・考えない?」
「ううう~~~~~ん」
思いのほか深く熟考に入ってしまったマヤの様子を、缶ビールを再びくいっと一口飲み、見つめる。
「正直・・・・・今はまだ。付き合ってるっていうんですかね、そもそも。
 私は正直、演技をしたい。いろんな役を演りたい、いろんな舞台に立ちたい。
 そして、その姿を速水さんに認めてもらいたい、それが今の一番の気持ちです。」
速水さんは、私がまずい演技をしたら、きっと席を立ってしまうから、だから絶対何度でも
見たくなるような舞台を演りたいんです!と力強く宣言する。
それは確かに、真澄自身も一番望んでいることだった。
"ほんと、同じ事考えてるんだね、この人たちは"
今までどこか信じがたかったマヤと真澄の関係が、にわかに現実的に思えてきた。
「いつまでも、紫のバラを贈りたいって思ってもらいたいから。」
そうかそうか、紫のバラか・・・・とそこで大原の思考が止まる。
「え?それってどういう意味?」
「え?」
聞いてないんですか??というマヤの声が遠くで聞こえる気がした。
「速水さんなんです。紫のバラの人」
紫のバラ・・・・それはマヤの初舞台からずっと応援してくれていたマヤのあしながおじさん。
「それって・・・、そうなの・・・」
「はい。ずっと匿名で応援してくれているおじさんだと思ってたんだけど、
 まさか速水さんだったなんて、知った時はショックでした。」
という言葉とは裏腹に大きな声で笑うマヤ。
「今でも思い出します。"早く元気なベスになってください あなたのファンより"」
私その時の舞台で40度の熱を出した状態で演技していたんです、
病気の演技がうまく出来なくて雨に打たれて・・・と、なにげに強烈な
エピソードを挟みながら、マヤの目が遠くを臨む。
「その頃から・・・社長は・・・」
「私、本当にうれしかった。演じるという事が出来るだけでも幸せだったのに、
 その舞台でファンになってくれる人がいたなんて・・・」
その当時、紅天女を貪欲に狙っていた速水真澄からすれば、
敵対する相手のファンであるなど、口が裂けても言えないだろう。そうなれば
匿名で応援してきたこともうなずける。
「それだけ、あなたの演技がすばらしかったということね。私も見てみたかったわ。」
「はい。速水さんは、演劇に関して妥協をすることはしない人だと思うから、
 私これからもがんばって舞台に立って、お仕事して、速水さんに認めてもらえるように、
 紫のバラの人に喜んでもらえるように頑張りたい!」
マヤの心の中では速水真澄と紫のバラの人が絶妙なバランスで共存しているようだ。
「マヤちゃん、もし速水社長が紫のバラの人だって知らなかったら・・・」
「・・・・好きになったと思います。」
急に現実世界に戻ってきたかのように固い意志の通った目を大原に向けた。
「私にとって紫のバラの人は、とても大切な昔からのファン。でも速水さんは、
 私の魂の片割れです。」
恥ずかしくなるようなフレーズのはずなのに、なぜかすっと心に入ってくる。
「速水さんが紫のバラの人だってわかって初めて、私速水さんの本当の心が
 見えた気がするんです。あんなにイヤミばっかりいって、私達の邪魔ばっかりしているようで、
 本当は全て、私のためを思っての事だった。
 自ら憎まれ役を買ってでて、そして私の道を切り開いてくれていたって・・・。」
信じられないくらい心の広い人です。
「私まだまだ子どもだし、会社の事とか何もわからなくて、きっといっぱい迷惑かけると思うんです。
 だけど私約束したから。」
早く大人になるってーーーー
「とりあえず今は、ドラマや映画そして舞台と、出来る仕事はできるだけやろうって、
 やらせてもらえることは何でもやります。だって私には、大原さんがいますから!」
きっと全ての活動は紅天女に活かされる、そうですよね、と笑うマヤに、
この小さな体で紅天女を継承し、守る覚悟を見た大原は
"あなたはじゅうぶん大人よ、マヤちゃん"
とマヤの頭を優しくなでた。
「任せておいて、マヤちゃん。あなたの女優人生は、私がしっかりサポートしますから。」
そして女としての人生はきっと、速水社長がしっかり見守ってくれるからーーー。

**
「おかえりなさいませ、真澄さま」
フランス出張から戻った真澄を、水城は空港で出迎えた。
「ありがとう。日本は変わりなかったか。」
「はい、2、3懸案事項が残っていますが概ね。詳しくは車の中で資料を。」
そういうと水城は、出迎えの社用車に真澄を案内した。
「いかがでした?首尾の方は。」
「うむ。」
フライトの疲れからか言葉数は少なく、表情からは良いも悪いも読み取れない。
「大原君に電話をつないでくれないか。」
唐突に真澄がそう告げた。
はい、というやいなや水城が大原の携帯に連絡をする。
「もしもし、大原君か。速水だ。・・・・ああ、ありがとう。お陰様で無事に戻ってきたよ。
 早速本題で悪いんだが、マヤの映画の件、あれはどうなった。もう進んでいるのかな。
 ・・・・・うん。そうか。 分かった、どうもありがとう。引き続き宜しく頼む。」
淡々と用件だけを確認すると、真澄は携帯を切り、水城に戻した。
「フランスでの契約は、まとまりそうだよ。」
渡された決裁事項の書類に目を通しながら、真澄は水城に短くそう告げた。
「そうですか・・・。それが大都にとってメリットになると判断されたんですね。」
「まあそうだ。それもこれも、作品次第、俳優次第だが・・・」
俺はやれると踏んだ、そう言って初めて笑顔らしきものを顔に浮かべた。
「今から楽しみですわね。その勝負。」
「ん?」
「時期からいって、バッティングしますわよね。」
その水城の言葉に、やはり油断のならない秘書だ、と真澄は大きく息を吸い込んだ。
「まあそうだな。しかしそれはともかくとして・・・」
今は早く、マヤに会いたい。
その言葉を真澄はかろうじていつもの鉄仮面の下に隠しこんだ。
「水城君の淹れたコーヒーが、早く飲みたいよ。」

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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
今回マヤが参加している映画の元ネタは、
ももクロ主演映画『幕が上がる』です。
主演のアイドルグループはもちろんももクロ。
若干年齢設定が異なりますが、
ストーリーに関してはほぼ『幕が上がる』のままです。
マヤ演じる山崎先生に当たる、吉岡先生役を
女優の黒木華さんが演じていて、黒木華さんが
マヤのイメージとすごく重なる部分を感じるので、
絶対マヤならやれる!と思って無理やりねじ込みました(笑)
一瞬で見ているものを引き込む演技力なんて、
マヤでしょ~~~~!
黒木華さんは、ほぼ同時期公開の『幕が上がる』そして
『ソロモンの偽証』にも出演されていて、
こうして重なる事もあるんだな、ということを参考にしながら、
マヤももう1本映画に出ます。
その映画の話が、次から始まるのかな?
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