結婚は地獄の一丁目」不倫に狂った夫に全否定された妻の心の傷
不倫する側は、された側の気持ちなんて考えてはいない。可愛い子どもたちを置き去りにされ、心に大きな傷を負ったと話すのは洋菓子店勤務のごるさん(40代女性・仮名)。
今から約10年前、現在は離婚した元夫の不倫が発覚。その直後、頭の中には「なんで?」という疑問ばかりが駆け巡ったそうだ。ごるさんは「苦しすぎて息の仕方がわからなくなりました」と当時の心境を振り返る。
夫から同僚の女性社員との不倫を告白される
それは突然の出来事だった。ある日、酔った夫からこう打ち明けられたのだ。 「今、こんな風に女の子に迫られてるんだよね」 相手は夫(当時31歳)と同じ会社で働く若い女性社員(当時21歳)。おとなしそうな印象だった。元旦那からは「今、会社の子が俺のこと好きみたいで、駐車場は必ず隣に止めて俺を待ってるんだ。俺困ったな、どうしよう」と相談を受けていたそうだ。
当初は、ごるさんは「女の子が一方的に夫に言い寄っているだけだ」と思っていた。しかし、社員旅行が2人を近づけたのだ。 「社員旅行で、女が手を握ってきて離さなかったそうです。それがいじらしくてしょうがなかった、と。そのうち、女を家の近くまで呼び出すようになり、不倫が始まったようです」
ごるさんは「インフルエンザにかかってしまったようなもので、すぐに不倫をやめて戻ってくる」と思っていたそうだ。というのも、それまでは“仲良し夫婦”だったとごるさんは話す。朝は「おはようのキス」から始まり、「おやすみのキス」も欠かさなかった。 「私たちは、もろにバカ夫婦をやってたんです。それなのに……」 信じて待っていたごるさんだったが、夫の不倫はエスカレートする一方だったという。日々、聞きたくもない報告を聞かされる。いったい、どういうつもりなのか。判然としないが、精神的にも追い詰められていったのだ。
ごるさんは「私の何が悪かったんだろう」と答えのない自問自答を繰り返していた。一方で夫は、下着や香水、音楽の趣味まで変わっていった。自分を正当化するためか、「男の不倫は仕方ない」という記事を読むようにごるさんに要求もしたという。とうとう耐えられなくなったごるさんは、別居を決めた。
別居をする際に、こんな約束をしたそうだ。 「子どもたちとはちゃんと毎週会って欲しい。子どもにとってあなたは父親なんだから捨てられたとか思わせないで」 ごるさん夫婦には3人の子どもがいた。当時、1番下の子は4歳だった。夫はとても子煩悩なパパだったそう。子どもたちをお風呂に毎日入れるのはもちろん、休みの日には山などにもよく連れていって、一緒に虫取りをしていたそうだ。しかし、「子どもたちと毎週会う」という約束は果たされなかった。 「パパはいつ帰ってくるの?」
子どもたちは毎日そうたずねてきた。だが、返す言葉もない。また遊びに行けると信じる「パパ大好きっ子」の子どもたちそっちのけで、夫は不倫相手と愛を育んだ。なんと別居してすぐに、相手の女性の妊娠がわかった。 「夫は相手から『はやく子どもが欲しい、結婚したい』と迫られ、不倫開始と同時に子作りにはげみ、見事にすぐ妊娠させました。女の妊娠がわかってから、何度二人を殺そうと本気で思ったことか……。そういうことを考えていないと、私は立つこともできないほどでした
「子どもたちが大きくなったら離婚も考える、という話をしていたのですが、妊娠したらえげつないくらい離婚、離婚と騒ぎはじめましたね。私と離婚しないことには、会社にも親にも言い訳できなかったんでしょうね」 ごるさんは結婚する時、夫とは「お墓に入るまで一緒」と当然思っていた。それがいきなり離婚を切り出され、「はい、わかりました」とすぐに答えられるはずもない。
なかなか離婚に応じないごるさんに対し、「なんで早く離婚に応じないんだ、俺たちへの嫌がらせか?」と急かしてきたという。「離婚に応じるまで子どもたちには会わない、もう可愛いとも思えない!」と、子煩悩だった父親と同じ人物とは思えない言葉の数々。
さらには、「お前といるのはずっと嫌で苦しかった、死にたいとまで思ってた!」などと、ごるさんとのこれまでの日々を全否定するかのような発言も。相手の女からもごるさんのもとにこんなメールが届いたという。 「私はどんなに貧乏でもかまいません、彼と一緒にいられるなら平気です。私は今とても愛されています、とっても幸せです(ハート)」 それを見たごるさんは、ついに「離婚」を決意する。 「あー、こいつら頭どっか行っちゃってるな、まさにお花畑だなと思いました。涙も引っ込み、こいつら気持ち悪いと思いました、関わるとろくなことがない人種だなと。
“恋は盲目”とはよく言う言葉ですが、不倫中の夫と相手は、完全に“2人だけの世界”に入り込んでしまっていました。2人にとって、私や子どもたちは『幸せを邪魔する者』で、『なんとかして負かさなくてはいけない敵』、つまり悪者なんです。相手は悲劇のヒロインぶって、自分たちを正当化するために、攻撃的な言葉を容赦なく向けてきます。 私は、食事が喉を通らず、寝ることもできない、ずっと心臓が痛くて苦しかったです。そんななかでも休みなく日常生活を送らなければなりませんでした」