日本のイスラーム (Islam in Japan)

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入信記 4 - 初心忘れるべからず(My Story of Islam 4 - Never forget the Heart of New Muslim)

2010年08月18日 | MESSAGE



14. 18歳の悟り

宗教に限らず、武道にしても、茶道や生け花、料理や芸術全般にしても、
人が何かを学ぶにはお手本、あるいは模範が必要である。

そしてそれぞれ最高の模範は、
それを初めて始めた人の道、あるいはやり方であるのが一般的なケースだ。

その観点で、例えば世界三大宗教の祖をざっと見比べてみると、
掲げる理想はどれもみな美しくとも、どこまでそれが模倣可能、実践可能かとなると大きな違いがはっきりとしてくる。

より日本人に親しみのある開祖から順に見ていくと、
釈尊はたとえ小さくとも王家の出身で、人並み以上の生活を経験した上で出家し、
悟りを得た後はあらゆる煩悩を断ったと言われる人だ。

イエス様は大工仕事をされていたそうだが、
結婚もされず、伝道を始められてからは経済活動も一切されなかった。

預言者ムハンマド(祝福と平安あれ)は使命を受けた後も結婚生活を大事にし、
社会生活を営む上でも様々な役割を果たされた。

当時から「清く正しく生きるという理想にできるだけ近づきたい」と思っていた僕にとって、
こうして三者の生き方を比べてみることは、
「果たして自分が歩み得る道かどうか」を見極める上で大きな決め手となったものである。

「よりよき世の中に」なること、あるいはすることを願う一個人として救世の可能性を見極める前に、
僕自身の生を救い得る具体的な道しるべがあるのかどうかが決め手だった。

己一人救えずして、いかに救世に貢献できようか…。

僕は預言者ムハンマドという人間の生き様に、人間としての最高の模範を見出し、
人間生活の基本全てを網羅するイスラームに、救世実現の限りない可能性を見出したのだ。(彼にアッラーの祝福と平安あれ)

それでも前々からひとつの宗教に信仰を寄せることは、
自ら足枷を付けてしまうようで、どうしても好きになれなかった。

加えて、霊感商法や何かで宗教団体がらみの災難に自分から首を突っ込むのは愚かしいと思っていた。

でもよくよくイスラームを知ってみると、ムスリムになるということは何も特別な団体に属するわけではない。

しいて言うなれば、「全知全能にして唯一の神に属することなんだ」とその時の僕は理解し、偏見からまたひとつ脱皮できたのである。



15. 再び最後の後押し

最後の一押しに話を戻そう。

僕は伝記映画「マルコムX」に釘付けとなった。

歴史に足跡を残した偉人と僕とでは最初から比べものにならないが、
いつしか僕は、放蕩生活の末に刑務所の中でイスラームに導かれてからの彼の変わり様、劇的な更生ぶりに、
自分の将来をオーバーラップさせていた。

黒人解放運動家としての彼ではなく、「ムスリム」としてのマルコムXがとても鮮烈で魅力的に見えた。

If you take a step toward Allah, He will take two steps towards you…

(もし君が一歩アッラーに近づこうとすれば、かれは君に二歩近づいてくださる)



原語では預言者ムハンマドさま(祝福と平安あれ)に由来するこの言葉。心の底からアッラーに近づきたいと思った。

『威厳かつ栄光に満ちたアッラーは言われました。

「われはわれを思うしもべの思いとともにある。
われを思うところにわれはその者とともにある。

それゆえもしその者が自らのうちにわれを思えば、
われはその者をわがうちに思うであろう。

そしてもしその者が集団にてわれを思えば、
われはその集団よりも素晴らしい集団の中でその者を思うであろう。

もしその者がわれにシブル(手のひらほどの長さ)近づこうとすれば、
われはその者にズィラーウ(手先から肘までの長さ)近づこう。

そしてもしその者がズィラーウ近づこうとすれば、
われはその者にバーウ(腕の長さ)近づこう。

またもしその者がわれに歩いてやってくれば、
われはその者に走って行こう。」と。』


(教友アブー・フライラさまにまで遡るハディースとして、
イマーム・アハマド、アルブハーリー、ムスリム、アッティルミズィー、イブヌ・マージャらが伝えている)〔拙訳〕


大巡礼ハッジの光景を初めて映像で見て、
最後の迷いをふっきることができた僕はその晩、
正確には礼拝の作法を分からずとも生まれて初めて膝を折って床につけ、
額をつけて神に祈ったのである。

1994年1月12日の夜だった。






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