散日拾遺

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ポンコツとケットン

2023-12-30 07:52:57 | 日記
2023年12月30日(土)

 生来「書く」という作業が難しくて苦労してきたという学生が、粒々辛苦の末どうにか論文らしいものを仕上げてのけた。
 「こんなポンコツですが、ポンコツなりの快適を見つけていきたいと思います」という決別の辞である。

 ポンコツという言葉は懐かしい。今の若い人たちの語彙の内に、果たして生き残っているだろうか?ガラクタにハンマーを、生徒にゲンコツをかますのがあたりまえだった昭和の香り、ボロクソの価値下げの行間からかすかな愛惜が漏れてくる。
 いったいどこに語源があるかとググってみたら、こんな記事が出てきた。阿川弘之の『ぽんこつ』(1960)が始めだという。
 https://hugkum.sho.jp/293989/2


 阿川弘之といえば『機関車やえもん』(1959)



 「そんなに おこるな けっとん / わすれて おしまい けっとん」

 いくつになっても短気のおさまらないポンコツに、思案に困った配偶者が投げかける遅効・持効の呪文として、わが家の会話の必需品。これもオノマトペというのだろうか、神技と呼びたい。

 半藤一利が「阿川さんは敗亡した祖国日本の葬式をたった一人でやってきた」と評したとある。けっして忘れてしまう人ではなかったのだ。

Ω

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