2023年12月30日(土)
生来「書く」という作業が難しくて苦労してきたという学生が、粒々辛苦の末どうにか論文らしいものを仕上げてのけた。
「こんなポンコツですが、ポンコツなりの快適を見つけていきたいと思います」という決別の辞である。
ポンコツという言葉は懐かしい。今の若い人たちの語彙の内に、果たして生き残っているだろうか?ガラクタにハンマーを、生徒にゲンコツをかますのがあたりまえだった昭和の香り、ボロクソの価値下げの行間からかすかな愛惜が漏れてくる。
いったいどこに語源があるかとググってみたら、こんな記事が出てきた。阿川弘之の『ぽんこつ』(1960)が始めだという。
https://hugkum.sho.jp/293989/2
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/34/ad7851ede7703562e3afd955ec30c643.jpg)
阿川弘之といえば『機関車やえもん』(1959)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/99/ade181eaccba0e737c3f971724e85a73.jpg)
「そんなに おこるな けっとん / わすれて おしまい けっとん」
いくつになっても短気のおさまらないポンコツに、思案に困った配偶者が投げかける遅効・持効の呪文として、わが家の会話の必需品。これもオノマトペというのだろうか、神技と呼びたい。
半藤一利が「阿川さんは敗亡した祖国日本の葬式をたった一人でやってきた」と評したとある。けっして忘れてしまう人ではなかったのだ。
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