散日拾遺

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上野公園の樹木伐りすぎ/対馬のカワウソ

2017-11-02 08:52:03 | 日記

このところ後回しにしていたのを、順に書き出してみる。

2017年9月28日(木)

 グリーンパワー10月号のヘッドライン: 上野公園の樹木、「伐り過ぎ!」と批判の声

 冒頭を転記する。

 「東京都が管理する上野公園の樹木が伐られている。JR.上野駅公園口前の道路にロータリーを建設するための伐採は、住民の反対運動で止まったが、公園を見渡せば、あちこちでたくさんの木が伐られてしまい、上野の森はすっかり痩せてしまった。」

 以下、小見出し。

◯ 反対署名に2万7千人

◯ 残っていた自然植生が喪失

◯ 景観保全への配慮は?

 伐るにあたってはそれなりの理由・根拠があるものと思いたいが、特に「自然植生の喪失」の項を読む限り、負の面が強く感じられる。上野公園は国の鳥獣保護区にも指定されているそうで、樹木伐採に細心の注意が求められるとするのは全く正論。

 筆者の清水第氏は次のように結んでいる。

 「明治の初め、上野公園の設置を提言したオランダの軍医ボードウィンは「良好な自然景観を保存する」ことを求めた。園内にある銅像のボードウィンは、スカスカになった上野の森をどう見ているのだろうか。」

 これ、僕知ってる。2~3年前、中学同窓のF画伯が例によって都美館展に出してるのを見に行く道すがら、銅像に出会って写真を撮った。え~っと・・・ちぇっ、出てこないや。

 代わりにこちらを紹介しておこう。「上野公園のみならぬ、日本の公園の生みの親」とある。オランダにはだいぶ恩があり、明治期に掌返してドイツ医学に鞍替えしたのが、時代の流れとはいえいささか遺憾の念を呼び起こす。

 『上野の歴史を知る ~ 公園の生みの親、ボードワン博士像が建立されるまでの、時代背景・人々の思いがうかがえます』 http://www.ueno.or.jp/history/history_02.html

 

 初めの胸像が兄弟違いであったことなど、何かと面白い。フランス系というから元々の発音は「ボードワン」だろうが、オランダ語なら「ボードウィン」が正しいという。

***

 グリーンパワー10月号、もうひとつの目玉は「森林文化通信」のページ、『対馬で生きたカワウソを確認/もともといた? 人が放した? 韓国から?』

 カワウソは僕の人生の最も古い記憶を構成すること、たぶん前に書いた。愛媛県の県獣がニホンカワウソであり、絶滅が告知された後も変更されていないこと、これも書いたと思う。それやこれやでカワウソへの思い入れは深いが、「愛媛/高知で滅んだものが対馬に生き残っていた」と単純にイメージしているわけではない。案の定、対馬のは半島由来のユーラシアカワウソらしいという話だが、それがこのニュースの嬉しさを減じるわけでもないのである。

 何というのかな、そう、超知能をもつ宇宙人が地球を外部から観察し、残念、ネアンデルタール人は絶滅しちゃったのか、あれは捨てがたい味があったが、まあ現生人類にも別の面白みがあるから、当面あたたかく見まもってやろう、などとブツクサ言ってる図が浮かぶといえば、少し伝わるだろうか。

 伊豫松山のわが家の前を流れる河野川、ここに昔はカワウソが住みホタルが群がった。カワウソは知らないがホタルは覚えている。今はホタルも見えないが、それでもカワセミは宝石のような翼を翻して飛び過ぎ、多種多様な蜻蛉が入れ替わり立ち替わり姿を現す。まだまだ先は長いのだ。

 そうそう、四国山中にニホンカワウソが生き伸びている可能性、僕は案外あると思っている。人の生活圏が大きく後退する21世紀、別の豊かさがそこで復活するかも知れない。

Ω

 

 


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