散日拾遺

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やっと・・・

2016-04-24 22:29:57 | 日記

2016年4月24日(日)

 夕方、送信した。

 添付したのは総計10万字弱の原稿のパッケージで、3月末までの約束で引き受けたものだった。完成原稿を送った瞬間には、いつもなら小躍りしたいようなちょっとした興奮があるものだが、今夕はひたすら虚脱状態で、最後の仕上げ前に長めの午睡をとったばかりなのに眠くて仕方がない。

 何が違うのかな。締切を過ぎている後ろめたさで、この3週間ほどは何をしていてもこの件が頭から離れなかった。そのことかな。

 それだけでもない、ブックレットのテーマは「精神疾患のある患者に対して家族はどう接すべきか、気をつけるポイントや薬の基礎知識、医療機関を受診する際の注意事項などについて」というもので、考えてみれば恐ろしいものを引き受けたと思う。賀来先生の温顔に釣り込まれたからでもあり、おまけに「もともと平山正実先生にお願いする筈だったのですが・・・」と聞かされて引っ込みのつけようもなくなってしまった。

 初めは、ごく実際的なノウハウを箇条書きにした、CCCシリーズ中でも最短最薄のものをイメージしていた。それが浅はかだというのだ。「家族」は恐ろしく重いテーマである。精神保健福祉の歴史の、否、日本の近現代史の急所といってもよい。良い証拠に、博士課程の授業の席で宮本みち子先生・大曽根寛先生という両巨頭と三つどもえの「真剣勝負」を戦わせることが、「締切過ぎ状態」に突入した途端に起きた。「薬」については年来の持論 ~ 「薬物療法は、薬というシンボリックなツールを用いたコミュニケーション療法に他ならない」 ~ を懐に抱えている。そして医者、この度しがたい存在を少しでも世のために使うには、どこからどう手をつけたらいいのか。よく見れば、ライフワークの総ざらえみたいなものではないか。当然長くなり、収拾がつかなくなった。だからこそ・・・

 書かせてもらってよかったのだ。さぞ、中途半端で不消化なものになってしまったころだろうけれど、今この時にこの仕事を与えられたのは、天啓に違いない。

 しかし疲れた。最後の1週間はブログも更新できず ~ 解説以来、最長に違いない ~ 書類が10件ばかりも山積みになっている。その間、世の中では井山裕太が七冠を達成し、新名神の工事現場で奇怪な事故が起き、熊本震災が長期化している。そう、16日の土曜日は修士課程の入学オリエンテーションで、震災に言寄せた主任スピーチをしたのだった。

 遠い昔のことみたいだ。ネジを巻き直そう。


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