2015年10月30日
【Y先生より来信】
ブログへのコメントは、ブログの中に書き込むのが礼儀だと存じますが、その勇気がないので、メールで失礼します。
philo-sophia ……
私がethics という言葉で考えてきましたことと重なるでしょうか。
あまり大きいことなので進展しないのですが、小さな切り込みだけでもとずっと考えているテーマです。
【お返事】
メールをありがとうございます。
詳しく伺いもせず無責任なようですが、たぶん非常に近いことだと思います。と申しますか、普通に考えれば ethics の方が正鵠に当たるものではないでしょうか。
ことさらphilosophia に言及してみたのは、本来の哲学が「諸学の学」として要の位置にあり、哲学上の進歩に連動してあらゆる学問が進展するということが、理想形として考えられるからです。既に過去のものなのかもしれませんが、それが過去のものになった後の欠落を、私どもは見ているのではないでしょうか。
医療・教育・福祉・政治、すべてを貫く軸のようなものがあれば、それを鍛え洗練することで全体が改善されるはずです。今は逆に、軸が欠落ないしすっかり腐食しているので、同型の問題があらゆる領域で出てくるのではないかと考えました。
現実は文系不要・教養無用が公然と叫ばれるありさまですから、倫理も哲学も軸として見直されるどころか絶滅危惧種、風前の灯火でありますけれども。
大事なことについて、思いつきでイイカゲンに書いているようです。どうぞ御叱正をお願い致します。
石丸昌彦 拝
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philosophia だの「諸学の学」だのというと、例によっての輸入話・翻訳話のように聞こえるが、相似形の歴史的な運動が当方にもあったと考えるから、こんなふうに言挙げするのである。「人倫の基」とでもいうべき「諸学の学」はこちらにもちゃんとあり、嘗てそれをいびつな形で強制した国家が、今は率先してそれを解体しようとしている。
強固な軸を押しつけるよりも、軸などない方が管理しやすいと、誰かが学んだのであろう。