散日拾遺

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ALSのこと/土橋さん補遺

2013-08-28 08:48:56 | 日記
2013年8月27日(火)

「ALSと日本人」(勝沼さん)
 大きな宗教(特にキリスト教)と都市化、国家化といったその時代その時代のグローバリズムとは切っても切れない関係があると思います。
 さて、ALSについてですが、ALS患者の自殺率が世界の平均に比べて日本がとても低いと聞きました(確か「こんな夜更けにバナナかよ」で見たと思います)。これは日本人の死生観(人生観)を考える上でかなり興味深い情報だと思います。

***

勝沼さん、いつもコメントをありがとうございます。

そうですか、そうなんですね。
「世界」にもいろいろあるし、丁寧に考えていかないといけないでしょうけれど。そして「興味深い」という言葉で誤解を招かないように、「たいせつなカギになる」とでも言い換えておきましょう。

水野源三という人を御存じでしょうか。
「瞬きの詩人」といったほうが通じやすいかもしれません。
自分で生半可にあれこれ書くより、他人様のブログを御紹介しておきます。
http://www.k2.dion.ne.jp/~seishyo/dekigoto/mabataki.htm

あるいは星野富弘さんのこと。
http://www.tomihiro.jp/profile/

昨年の夏、海浜幕張で一般向けの講演を行いました。
『仕事・ストレス・死生観 ~ メンタルヘルスのキーワード』というもので、勝沼さん達にはすっかり耳タコの、石丸の持論開陳だったのですが。

50名ほどの受講者の中に、ストレッチャーに載って参加した男性がありました。介護者が3人ほどもついて、痩せた体に酸素吸入を行いながら熱心に聞いてくださり、終了後には2点ほど質問もなさいました。
といっても、声も出なければ手も動かせないようなのです。しかし頭は、はっきり働いている。あるいはALSをおもちではなかったか。

この方の場合は瞬きではなくて、ひらがな50音を記した文字盤を介護者が掲げて指を動かしていき、男性は望みの文字のところで素早く頷くというやり方でした。介護者との呼吸が問われる方式と思われますが、スムーズに行っているようでした。

自分が罹ったはずの病気を、この人が代わりに負ってくださった、そんな気持ちを禁じ得ないことがあります。この時がまさにそうでした。

***

土橋さんのALSは昨年診断されたもので、この病気としては比較的進行が急であったように思われる。「せめてもの幸い」という表現を、ネットのどこかで見かけたような気がするが、僕には到底受け入れがたい。
「進行が緩慢であった方が良かった」という意味ではない。自分が代わることのできない他人の人生のありように対して、身勝手な思いから幸の不幸のと評して平気な心性が傲慢だというのだ。
「障害を負って生まれてきたのでは子どもがかわいそうだ、だから中絶する」
という理屈と全く変わらない。

土橋さんは土橋さん、ここに江戸っ子ありだ。
さよなら、ありがとう!

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1 コメント

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いくつも訂正 (勝沼)
2013-08-29 11:33:27
 ご指摘ありがとうございます。興味深いはまずい表現でした。
 さらに、もっとまずい言葉も。”自殺”という言葉も不適切でした。症状が呼吸器に及んだ時に、人工呼吸器をつけるかつけずに死を選ぶかという選択をするのですが、その際に死を選ぶことを自死と言うそうで、どうもこの自死の割合が日本は少ないようです。
 ただ、確かな情報源が見つからず。「こんな夜更けにバナナかよ」にも載ってませんでした。記憶違い。
 色々調べていたらこんなページを見つけました。
http://www.kouenirai.com/magazine/kawamura01_22.htm
 はっきりしたデータがないのですが、日本は人工呼吸器をつけるという選択をする人が多いようです。
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