2020年1月14日(火)
メールアドレスにも個性が出るもので、そこに謎を仕掛けたり解いたりして、人それぞれに楽しむ様子が面白い。といって大学のアドレスにそうそう冗談も仕掛けられないから、さしあたり学生・院生たちのアドレスを解いて楽しむばかりなのだけれど。
ある人 ~ 仮にハナ子さんとしておこう ~ のアドレスがずっと気になっていた。hanakokkumgatta というのである。
- kkumgatta ?
どういう意味だろうか、次こそ訊いてみようと思いながら、人の気を逸らさない賑やかさについつい別の話に流れ、もちろんマジメに勉強もすれば指導もするうちあっという間に卒業してしまった。後から考えてふと思い当たったのは、この人が韓国・朝鮮語のちょっとした達人であり、彼の地に留学した経験もあって、日本語の次にこの言語を愛用することだった。
そうと気づけば教わる前に解いてみたいが、何しろこちらの語彙が絶対的に不足している。辞書やら何やらひねくり回し、むりやり答案を案出した。
「ハナ子さま、
もしかして、「もしかして」の 쿰가타?
이시마루 」
返信は・・・
「이시마루 선생님
아니에요,
꿈 같다(夢みたい)です(^^)
꿈 같다(夢みたい)です(^^)
하나코」
ははあそうか、そうだよね。
쿰가타 なら kumgata と書く理屈で、kkumgatta とはならない。語頭に kk と二重子音が来るのは韓国・朝鮮語に特徴的な濃音というやつで、日本語にもこの音はあるが通常語頭には立たない。(もっとも、カンカンに怒って「タワケ!」と怒鳴りつける時、思いっきり気合いが入った結果として「ッタワケ ttawake!」になるといったことなら、ちょいちょい起きている。「思いっきり」や「入った」の「っ」が濃音に相当し、前者は強意によるもの、後者はいわゆる促音便、語頭でなければこの通り珍しくも何ともない。ちなみに「タワケ」は名古屋の中学生時代にあたりまえに飛び交った罵り言葉だった。)
kkumgatta は「夢みたい」、夢見るハナ子さんにふさわしいコードネームで、꿈(kkum ックム)が「夢」である。日本語の「ゆめ」が滑らかで柔らかく、お花畑をひらひら飛び回る胡蝶の連想を呼ぶのに対して、꿈 は歯切れよく力強い。さしずめ金メダルを夢見て厳しいトレーニングに励むアスリートか、発声の前に一瞬息を詰めるところに自ずと気の集中が生まれる。
どちらもどちら、夢にヤヌスの二面あり。ハナ子院生の思い切りの良い身軽さには、「ゆめみたい」より「kkumgatta」を当ててみたい気が確かにするが、自分だってあやかって良いわけだなのだ。
Ω