散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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亭主敬白 ~ お騒がせ御容赦のほど

2017-01-07 18:05:15 | 日記

2017年1月7日(月)

 名無しさんでなくとも、何事が起きたかとびっくりなさったでしょうね。皆さん、ごめんなさい。もちろん、こんな泡沫ブログでも楽しみに愛読してくださる親愛なる皆さんのことではないのです。

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 既にあらかた知れたかと思うが、裁判がらみのことである。僕は癇癪持ちだけど根は争いを好まず「ツマラナイカラヤメロ」の口なので、自分自身のことではない。ひょんなことからある弁護士さんに頼まれ、彼が持参した資料に目を通した。大量のカルテと看護記録のセットで、専門外の人々には訳の分からない暗号文みたいなものだろうが、慣れた目にはまた違って見える。担当医らがカルテに記した診断仮説や検査オーダー、処方の内容や変更プロセス ~ その大半が僕自身になじみの深い向精神薬 ~ などを追っていくと、その時点で担当医らが何を疑問とし、何を考え、何を期待しているかが手に取るように分かってくる。身に覚えのある期待や焦りや落胆が彷彿され、同じような苦心をするものだなと親近感すら感じつつ、歴史資料を読むのもこれと同種の作業に違いないと興味深く思ったりした。

 そんな感想を交えながら弁護士さんにあらまし解説したところ、その内容を文書にまとめてもらえないかとの御依頼。僕より適任の人は世の中に大勢いるだろうが、「今話したことぐらいだったらきわめて常識的な内容で、どの医者に訊いても同じことを言うでしょうから、書いたってかまいませんよ」「お願いします」ということで意見書を執筆することになった。これがどうやらある訴訟の行方を左右することになったらしいのである。むろん僕の意見が絶対に正しいなどと言うつもりはないし、間違いがあればいかようにも指摘・修正してもらってかまわないが、どうやら相手方は意見の当否を論じるかわりに、僕という人間の精神科医としての能力・適格をこきおろしにかかったらしい。見上げた性根である。 

 おまけにその論拠として、御丁寧にも当ブログのとある部分でA君のクリニックを「月に一回お手伝いに行っている」と書いたところをコピペし、「こいつはこの程度の診療しかしていない」と裁判所で主張したらしいのね。皆さん、どう思われます?

 インターネット情報のコピペというのは、怠け者の学生(時には学者?)のレポート作成の不可欠の伴侶だが、たいがい馬脚を現して指導教員からこってり絞られるのが落ちである。(見るとたいがい分かるんですよ、教員もバカじゃないのね。)それを歴とした法律家が裁判の資料に提出したというから、開いた口が塞がらない。しかもその解釈がまるで間違ってること、先に書いたとおり。これには僕よりも弁護士さんが本格的に憤り、裁判官からも「人格的な非難は慎むように」と異例の注意があったらしいのである。どうも恐れ入ります。

 このレベルの相手から見当外れの罵声を浴びたところで痛くも痒くもないが、こんな手合いにブログ空間に立ち入られるのは甚だ不愉快なので、そっち方面に向けて少々発散させていただいた次第。お騒がせして失礼しました。どうぞ御海容のうえ、引きつづき御愛顧のほどよろしくお願いいたします。

m(_ _)m