散日拾遺

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ケーブル火災 / 江戸城内堀を半周

2015-08-28 07:45:49 | 日記

2015年8月27日(木)

 たしかインドがネタにされていたかと思うが、何しろ列車は1時間2時間、遅れるのがあたりまえという世界のお話。ある日、どうした加減か列車が時刻通りに発車した。遅れを見込んでやって来た人々は誰も彼も乗れずじまいである。困るじゃないか、どうしてくれると一同が詰め寄ると、駅長は慌てず騒がず、「どうぞ御安心ください、あれは昨日の電車が一日遅れて出たんです」ですと。

 反対の極にあるとされるのが日本の鉄道だが、最近の首都圏の実情では「定時運行神話」はほとんど崩壊に瀕している。これには先日来指摘する構造的な原因があるが、加うるに突発事。今日は代々木駅でドアが開くと同時に車内放送がかかり、目黒・恵比寿間の線路脇だか高架下だかでケーブル火災が起きており、山手線はしばらくストップするという。即座に下車して総武線上りホームに移動し、黄色い電車に乗っかって遅れずにすんだが、代々木まで来ていてよかった、原宿だったらこうは行かない。それに昔ながらのJRなら代替経路がすぐ頭に浮かぶが、昨今のメトロだったら何が何だか分からない。

 それにしても、ケーブル火災が多すぎないか。先日あたりは異常な暑さでケーブルも頭にきたのかと気にもとめなかったが、今日は10月ぐらいのジメッとした空気である。自然発火ではありえない。剣呑。

***

 エドの件があり、腰の治りもいつものようにすっきりせず、他のこともあって週の前半は鬱屈していた。意識レベルの底が浅いというのか、ろくに頭が働かず、居眠りはいつでもできる。睡眠時無呼吸?こういう時は体を動かすに限るから、K工業の帰りに少し歩いてみる。靖国通りを市ヶ谷・四谷目ざして行くのがいつものルートだが、たまには気分を変えて白山通りを南へ下り、お堀端へ。本当にこの街は江戸城を中心にできている。

 そうそう、エドとバーブラもやっぱり「どこにお城が(=天守閣が)あるの?」と訊いてきたから、今回はかねて準備の通り説明した。約400年前、この巨大都市が築かれた直後に大火があり、天守閣も焼亡した。復興にあたって時のリーダーは、天守閣の再建よりも市民の救済を優先させたのだと。"That was the priority.  How nice!" と噛み合った返事が戻ってきた。江戸東京博物館では、画面にCGで天守閣が再現されている。もう少し技術が進めば、江戸城中央のその一画に、立体CGで架空の「城」をライトアップできるようになるかもしれない。たぶん技術的には可能なのだ。素晴らしい眺めだろうが、そういう技術はまず軍事方面に大いに悪用されそうだな・・・

 などと妄想しつつ、内堀のちょうど0時の位置にある平川橋から、反時計回りに半周してみる。一周ちょうど5kmなのがジョガーにはありがたいところだが、徒歩でも周回1時間と思えばイメージが作りやすい。6時に位置する桜田門まで約2.5kmを、ちょうど30分、3,500歩。てことは1歩が7分の5メートル、つまり70cmか。やっぱり腰をかばっているのだ。僕は短足のストライドを思い切り伸ばして歩くから、普通はもっと歩幅が広い。来週またやってみよう。

 9時の位置の半蔵門を過ぎて城の南側にかかると、なだらかな下りスロープで、ここから見る内堀が広々として好もしい。歩道に全国各都道府県の花が描かれているのが、桜田門近くで四国に入る。香川のオリーブに次いで、愛媛はもちろんミカン。果実ばかりが注目されるが、ミカンの花は小さく白く香しく、健気で美しい。ミカンの花からとれた蜂蜜も、アカシアなどのそれとは違った穏やかな芳香があって美味である。高知の花はヤマモモだと。山に自生する桃ではなく、いわゆるヤマモモ?これは少々意表を突かれた。これでめでたく今日のゴール。

 

 「内堀・外堀をめぐる江戸城三十六見附」( http://mihama.blue/2_edojyo/edojyo_index.html) 図は人文社刊「江戸切絵図で歩く」からの引用とある。