“色の話いろいろ”

色には意味があり、使い方次第で印象が良くなります。
「イマイチ」が「素敵」に変わります。

スマート◯◯が望まれる時代

2012-08-30 | 色の話
 故スティーブ・ジョブズ氏が愛用していたシャツは、三宅一生氏がデザインしたもので、二十数年にわたり計750枚も注文していたそうです。
 そのシャツの色は、“紺”50枚を除くと、全て“黒”であったらしく、何色を混ぜても変わらない彼の強固な精神を感じ取ることができると思いませんか。

 ジョブズ氏が追求し発表してきた、その都度、史上最高のスマートデザインをそなえたアップル社の製品は、私たち消費者を魅了し続けました。
 日本人が望むスマート◯◯に“ライフ”を入れてどのようなものかを考えてみると、省エネを心がけ、部屋もシンプルに片付いていて、食事もなるべく安全なものを選び、健康であり、人間関係もスムーズ。そして忘れてはならないのが、時代の最先端をいくスマートな製品を使っている、といったところでしょうか。

 また、日本文化として伝わる、お茶室とその作法も、拘りの詰まったスマートな文化と言えそうです。
 これらの中に“色”という文字はありませんが、私たちの日常生活で使っている、一つひとつの万物に共通するものは“色”です。

 “色彩”は、日常生活に大きく関わっているため、私たちが意識している以上に様々な影響を受けています。
 “色”を活用する方法があります。スマート◯◯にも“色彩”は必要不可欠です。

2011,11,29 ~2012,8,29

 追記:
スマートフォン、スマートハウス、スマートシティ、スマートグリッド スマートテレビ…etc
いろいろありますね。

アメニティカラー・プロジェクトのホームページに掲載していた内容をこちらに移しました。
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日本の伝統色はクール

2011-11-29 | 色の話

 戦後、欧米の文化を取り入れるのに懸命だった日本は今や、アニメ、ゲーム、ファッション等の文化輸出国となっています。
 日本在住の中国人が、『日本は東洋の華だ』『日本在住の中国人はみんな日本が大好きだ』とテレビで発言していたように、外国から見ると“クールジャパン”が国家ブランドとして成り立つ、魅力的な国に変身しました。

 一昨年('09)日本発の新型車の宣伝で、豊川悦司さんと、檀れいさんが、登場したコマーシャルがありました。「おもてなし」という言葉とともに“紫の暖簾”“紫の和服姿”が強く印象に残っています。“紫”の色は、古来、高価な染色であったため、憧れの色としてDNAに強く印象に残るでしょう。
 緑豊かな美しい自然に包まれた日本は、美味しい水に恵まれ、主食のお米にもランク付けをして、味を比較するほど味覚が優れています。このようなランク付けは、江戸時代から始まり、現在の日本人のサービス精神や、細かいところまで拘る気質が引き継がれていると感じずにはいられません。

 世界各国から見て、日本文化はとても魅力的です。日本の伝統色を知ると、日本のクールな文化をより深く理解することができます。美しい四季も、日本的「禅」も、「侘」「粋」などの文化、ネーミングやロゴ、伝統文様もそうです。日本の美術品が物語る色彩文化は、マーケティングに活かせるデザインの宝庫です。

 日本の良いところに目を向けて、日本人であることに誇りを持てる年になりますように、及ばずながら、お力になれればと思います。


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地球温暖化で日本の美しい季節の移ろいはどうなる?

2011-01-10 | 色の話
二酸化炭素の過排出による温室効果はすでに深刻で、影響が少ないと言われている日本でも温暖化を感じます。

“24節季・72候”に見られるような季節の移り変わりを、平安貴族は和歌に詠み愛でました。この文化は、現代の私たちにも引き継がれています。例えば、お茶の席で出される小さな和菓子には、和歌の中に見える花鳥風月と季節感が雅な色で表現されており、味覚だけでなく視覚でも楽しみます。色彩大国・日本と言われる一つの由縁です。
多くの日本人が、春はお花見、夏は避暑地へ、秋は紅葉狩り、冬はスキーなど、それぞれの季節を楽しんでいますが、このまま温暖化が進むと、季節の移ろいをあまり感じられなくなりそうです。
観光地・京都の美しい紅葉が、温暖化の影響で変わりつつあったことをご存知でしょうか。研究の結果、地面の湿度を保つことで、美しい紅葉を維持できることが分かり、雨を地面に蓄えられるよう、広葉樹の根っこに苔が植えられるなど工夫されるようになりました。
“桜”は、日本の国花ですが、もしかすると沖縄・九州で見られなくなるかも知れません。桜の開花には、晩秋の紅葉と同様に、冬の“冷え込み”が欠かせないからです。

地球は30年後、世界人口60億人→90億人へ増加が予測されており、人間圏の危機にあると言われています。
将来的に食料・水・エネルギーの不足をどう補うのか?

日本の四季については、切羽詰ったものではありませんが、孫・曾孫の代までもずっと、日本の美しい自然である四季を残して行きたいですね。

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“色”で子供たちに出来ること

2010-06-16 | 色の話

(半年前に書いた内容です)
小池徹平君が草食系男子の流行語で授章しました。一般的には「協調性があり優しく家庭的ですが、恋愛に消極的なタイプ」の主に20~30代の若い男性たちのことで、物足りないと言う声もチラホラありますが、その次の世代の子供たちの暴力行為が過去最多を更新したと、にわかにクローズアップされはじめました。

100年に一度の不景気の影響もあり、親世代の30~40代の私たちが大変になったぶん、子供たちを取り巻く環境も悪化しています。

これまで、子ども達が好きな色と言われてきたのは暖色系(赤・オレンジなど)の鮮やかな色でしたが、ここ数年で変化がみられます。

現在の小学生が好きな色の第1位は“青”に変わっており、色彩の観点から考えると、青は、後退色(遠くに感じる色)ということから、友達と距離をおく傾向にあることがわかります。友達と心を割ってつきあうことが出来ない寂しい子どもたちの内面が見えてきます。

小学生が好きな色の第2位は“金”で、キラキラと光り輝く物が大好きなところは子どもらしくて安心します。但し、生活に余裕がなくなり、忙しくなった親からの愛情を感じられない子どもたちが、勉強に興味を持てなくなり、安易な方向へ行ってしまうということもあり得ます。

忙しくてなかなか関わってあげられない子供たちに、親から変わらない愛情があることを伝える方法として、“色彩”があります。お金をかける必要はありません。

子供たちが前向きに成長していけるよう、居心地の良い心安らぐリビングの“インテリアの色”や、成長に合わせて、子どもが“のびのびと育つ色”子どもの“集中力を高める色”などがあります。
子どもたちは、お金がなくても親からの愛情があることがわかれば、暴力行為に逃避をしたり、いじめをするようなことはありません。と断言することはできませんが、一つの案として考えてみませんか。

また、いじめを受けた子どもたちの心は、非常に脆くなっています。
景気低迷で大変な現在だからこそ、子供たちには、心が元気であって欲しい。
子供たちの心が健康であれば、私たち親世代は、安心して働くことが出来ます。

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追記
伝統色講座の受講生から、1回目開講日後に、嬉しいお便りが届きましたので、紹介します。
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 ■S・Jさんより■
~~~先生の暖かい講座を受講させてただき、本当に嬉しくて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
その当時の背景を少しずつ学ぶことは、色彩にとっても奥深さを感じ、充実しておりました。
今後ともよろしくお願いいたします。次回の講座を楽しみにしております。~~~
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こちらこそ、よろしくお願いいたします。
今期、窓から山の上ホテル(福岡市)が見え、救急車の音が気になるほど、とても静かな落ち着いた居心地のよい空間(受講生の言葉)で開講しています。
あなたも日本の伝統色の魅力に触れて見ませんか?

伝統色講座内容は⇒こちら


世界の明かりが変わりつつある

2010-01-14 | 色の話

人口衛星から視る夜の地球には、くっきりと美しいイルミネーションが日本の形を浮かび上がらせています。
日本は、欧米に比べ、昼光色である蛍光灯の消費が多いため、欧米よりも白っぽい光を放ち、一段と明るく見えます。その輝きは世界で一番明るい国と言っても過言ではありません。
そのせいか夜遅くまで活発に動く民族で、子供たちもなかなか眠りにつこうとしません。

消費エネルギーの多い白熱電球の製造が、地球温暖化対策の一環として、2012年までに中止されることに反対意見も多くありました。
白熱灯の柔らかな光は、お料理を美味しく魅せてくれるなどの効果がありますから、それに代わる次世代照明として注目を浴びたのがLED照明です。さまざまな開発が続けられ、反対意見を払拭させてくれるようなすぐれた電球が、7月中旬に新発売されました。(8月に延期になったようです)
リモコンで消費者がTPOに合わせて色光と明るさを自由に調整できるようにしたもので、なんと49パターンも演出できるそうです。
これで子供たちも早く眠るようになり、寝不足の子供が少なくなるかも知れません。

値段はそれなりに高いですが、紫外線も赤外線も含まないので、少ないエネルギーですみます。電球が熱くならず、交換も10年間不要とは嬉しい限りです。
積極的に使って行きたい商品であると思います。
これからLEDがどう発展していくのか、眼が離せません。

先日、青色発光ダイオードを作られた中村修二さんをテレビで特集していました。
それまで開発が進んでいた原色の赤・緑の発光ダイオードに、青色発光ダイオードが加わったことで、色光の3原色が揃い16万3千色もの光を出すことが可能になったとのことです。

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京都の美意識について

2009-08-07 | 色の話

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

平安時代初期の「小野小町」の有名な一首です。
「花の色が色褪せてしまうように、私もいつまでも美しくはいられない」と、ため息が漏れてきそうな気がします。
たとえドライ・フラワーであっても花は花でいたい。中高年の女性は皆同じ気持ちでしょう。
京都は、一年を通して寒暖の差が大きく、雨も良く降るので、緑豊かで四季の変化に富んでおり、目にうつるものすべてがうつろいやすい「色」であったと言えます。
平安時代、遣唐使が廃止されたことにより、京の都の四季の移ろいに美を見出した貴族たちが育てた雅の心情から、かな文字による紫式部の長編小説・源氏物語や、清少納言の枕草子が誕生し、さらに末期には大和絵・源氏物語絵巻が描かれました。絵巻に使われている染め紙や金銀砂子、四季の移ろいを衣に重ねた十二単は、「雅」そのものです。
貴族を守ることで力をつけた武士が中心となった鎌倉時代を経て、京都に政治の中心が戻った室町時代には、武士の権力と、臨済宗・相国寺派を中心とした禅宗と、京都の雅な美意識とが合わさり、華道、茶道、香道、能、狂言などの素晴らしい日本の文化が生まれます。

奈良から京都へ朝廷が移されて以来、徳川幕府の時代に江戸へ文化の中心が移るまでの長きにわたり、大陸文化の影響を強く受けながら京都が創り上げてきたそれらは、現代において、日本を代表する文化として海外にまでも広く知られています。

【アメニティカラー・プロジェクトのHP内“色の話”に2009,3,20~7,30掲載していたものをこちらへ移動しました】
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色は民族によって違う

2009-03-23 | 色の話

色は世界各国共通と思われるかも知れませんが、民族によって違うことをご存知ですか?
日本国内においても違うんですよ。

沖縄は、もとは琉球王朝を築いていましたので、民族が違います。
日本は、北から南までナガ~イ国ですから、気候も違うので、染織に使う原料や染料も違います。
建物では首里城、着物は紅型のイメージが強いですよね。
沖縄の伝統工芸品は13品目あるそうで、なんと、そのうち11品目が染織品です。
紅型の他にも、八重山上布、久米島紬、ミンサー織、琉球絣、琉球王家の者が身につけた首里織・・・etc.

そこで首里織について、ちょっと紹介します。
画像は首里織・花倉織です。市松紋の透かし織(もじり織)が美しいです。この透かし織と浮き織を交互に織る高度な技術が必要なのだそうです。
原料は・・・糸芭蕉。大きな葉の一番内側の柔らかい部分を使っています。
染料は・・・福木(フクギ)(黄)。紅型のあの黄色。
   ・・・紅露(クール)(赤茶)。
   ・・・車輪梅(テーチ)(茶)。
   ・・・琉球藍(青)。他
織り方・・・手花織、平織り、花織、花倉織 etc.

知らなかったことを知るって、楽しいものです。

※次回の日本の色めぐり会は、国宝三井寺展・福岡市博物館へ出かけます。
興味のある方は⇒こちらへ

※伝統色講座も4/13から開講させていただきます。
受講生募集中。詳細はこちら
第一期修了生の声

※追記
日本の色めぐり会、第2回目に特別に工場を公開して下さった木村博多手織工房のホームページ閉店のため、大特価で販売を始めました(工房の閉鎖ではありません)
滅多にないお得情報です。
興味のある方は、下記へアクセスしてみて下さい。
木村博多織・手織ろ工房)〉〉〉〉〉こちらから4/10まで

お出かけ秋色コーディネート

2007-10-03 | 色の話
今年の秋はなかなか来なくて、9月に入っても30度以上の日が続きましたね。
ようやく涼しくなって、秋を感じるようになりました。

秋色と言えば、紅葉。優雅な平安貴族は「紅紅葉(クレナイモミジ)」「捩り紅葉(モジリモミジ)」と呼び名を付けて、かさねの色目を楽しんでいたんですよ。

近頃では流行色はあまり気にされなくなり、季節を問わず全国的に黒のコーディネートが多いですが、秋の色は四季の中でも特におしゃれです。
ワインレッドや濃い紫(葡萄色(ブドウイロ))を試してみてください。人気の黒と合わせてもgood。
(パソコンにより違う色に見えることがあります)

追記
葡萄色(ブトウイロ)は現在の色名で、かさねの色目を楽しんだ平安貴族の時代に葡萄色(エビイロ)という色名があります。どのような色であったという確定はできませんが、禁色の紫に対して聴しの色とされていたので、くすんだ紫色だったようです。

日本の伝統色に興味のある人はアメニティカラープロジェクトのHPをご覧ください。
⇒ http://www.ac-pro.com

色彩文化(伝統色)から見る歴史

2007-10-02 | 色の話
日本の伝統的美術品は、正倉院宝物殿にある色鮮やかな美術品や、絢爛豪華な琳派と呼ばれる美術品などのため息が漏れそうなほど輝いたものがあれば、枯淡、閑寂といった趣の茶陶や、水墨画もあります。相反するものを日本人はどうして好むようになったのでしょうか?

「われわれは宝石や金銀を宝物とするが、日本人は古い釜、ひび割れた陶器や土器を宝物とする」と、安土桃山時代に来日したイエズス会宣教師のルイス・フロイスは、驚いています。理由もなくそうなることはありません。そこには時代的背景があったからこそ好みが生じているのです。

時代ごとに代表的な美術品や、建築物を見ると、色の特徴があることが解ります。テーマを絞り、着物、絵画、彫刻、建築などに分けてみてもその特徴は変わりません。

子どものときに学校で学んだ歴史とは違い、色から入ります。

現在、九州国立博物館では本願寺展が催されています。京都・本願寺の敷地内には、派手な唐門(別名=日暮門)や、白書院・孔雀の間の豪華な襖などがありますが、それらとは対照的な侘びた雰囲気の飛雲閣や黒書院も、共に広い敷地内に建っています。

浄土真宗の他力の思想は、庶民の心の支えとなり、多くの信者を得ました。その後、秀吉、家康、家光の信仰による保護も受けるようになります。それほどまでに浄土真宗・本願寺派は大きく発展したのです。
すでに本願寺展に行かれた人も、後半に展示品の入れ替えがありますので、私の話に興味のある方は“日本の色めぐり会”にお出かけください。11月2日(第一金曜日)です。

その後のランチ、「彩りを楽しむランチ」も楽しんでいただけます。他に例の無いオリジナル企画の会です。

幼かったときに聞いた歴史とは違い、大人になってから聞く、色から入る歴史は非常に解りやすく、興味深く、楽しいものです。

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