“色の話いろいろ”

色には意味があり、使い方次第で印象が良くなります。
「イマイチ」が「素敵」に変わります。

東雲色(しののめいろ)・曙色(あけぼのいろ)

2012-07-16 | 日本の伝統色(日本の色)
“東雲色(しののめいろ)”=“曙色(あけぼのいろ)”

我が家のベランダから撮った写真です。

漢字で意味は理解できます。
でも、どうして「しののめ」と言うのか?
由来は・・・
現在でいう、網戸の網目(あみめ)にあたるものを、
篠笹(しのざさ)で作っていたので、「篠の目(しののめ)」といったそうです。
東の雲が写真のような薄いピンクに染まり、
真っ暗な室内に、「篠の目」から明かりが差し込んだことから、
“東雲色”を「しののめいろ」と呼ぶようになったみたいですね。

温暖化による異常気象で、九州は「経験したことのない大雨」で被害を受けました。
美しい自然、いつまでも残したいですね。
世界自然遺産など、その自然の美を認め、満喫するのも人類。壊すのも人類。
東雲色のような美しい自然の色は、たとえ人類が滅んでも、太陽と地球がある限り、変わらず残る自然風景です。

脱原発の問題もありますし、環境のこと考えさせられる不安な時代です。
省エネに励みます・・・

このマンションに引っ越して早3年目。
福岡市、12月初旬、朝7時に撮影したものです。
冬になると朝日が見える南南東向きのベランダです。

日本の伝統色名をご紹介
  
緋色(思ひの色)
素鼠(鼠色)
柿色(団十郎茶)

日本の伝統色講座→→→こちら


絵手紙用のカラー筆ペン 12色

2012-05-31 | 日本の伝統色(日本の色)
四季の彩色・絵手紙用の筆ペン。12色。販売元はサンスター文具(株)です。
クレヨンの12色に使われる赤、青、黄色など、呼ばれる色名が、日本の伝統色名になっていて素敵。

赤は、濃緋。
ピンクは、紅梅色。
橙は、黄丹。
黄色は、刈安。
黄緑は、若葉色。


ついでに他の7色は、孔雀緑(緑色)、浅葱色(水色)、瑠璃色(紺)、杜若色(紫)、灰汁色(グレー)、墨色(黒)、蒲色(茶色)

「濃緋(コキヒ)」
緋色は、草木染めで茜で染めた色。
聖徳太子が中国に倣って、色彩の身分制を603年に取り入れた5色(青、赤、黄、白、黒)の一つで、赤は、この緋色であったと考えられています。
推古天皇の次の孝徳天皇以降は、紫に次ぐ、身分の高い色とされることが多かったです。
緋=「ヒ」「アケ」と呼む。→「アカ」と同じ意味!?
赤を、「アケ」または「コキヒ」と呼ぶだけで美しさが増して感じるので不思議ですね。

「紅梅色(コウバイイロ)」
菅原道真を祭神とする天満宮の梅が思い浮かびますし、平安貴族の雅な十二単の染め色、織り色、重ねの色目にもとりいれられて、平安時代の代表的な伝統色名の一つです。

「黄丹(オウタン)」
皇太子様の礼服の色。雅子様、応援しています。
海外では「ミカド・オレンジ」と呼ばれていて、日本の代表的な色名です。

「刈安(カリヤス)」
カリヤスで染めた黄色。刈り易いから「刈安」ウフフッ 単純。

「若葉色(ワカバイロ」
色名のとおりですが、他に若苗色(ワカナエイロ)、若草色(ワカクサイロ)、萌葱色(モエギイロ)、若緑(ワカミドリ)・・・etc.
“新緑”を表す色名、いろいろあります。
緑豊かな日本であればこそ付いた色名です。
春の新緑のイメージが湧いてきて、心地よく感じませんか。

日本の伝統色・色彩文化の魅力にはまっています。

近頃、福岡県の天神・博多あたりでは、若い日本女性が、和服の装いを楽しみ始めていて、よく見かけるそうです。
アンティーク着物は、汚れても気にしなくていい、気楽に着られて友達と差がつくファッションを楽しめますね。
私は歩く時間帯がずれているみたいで・・・そのうち会えるかな。



藤色(ふじいろ)

2012-04-22 | 日本の伝統色(日本の色)

2012/4/21撮影日
福岡市中央区の九大跡地、大通りからちょっと入ったところの和菓子処・“吉蔵”の藤の花が満開でした。

美しい・・・藤色(ふじいろ)は、薄紫色で控えめなんですけど、目を引く色ですよね。
藤の花を見ると、源氏物語の登場人物である源氏の義理の母・藤壷が思い浮かびます。
プレイボーイ・光源氏との禁断の恋・・・
良く似ていたといわれる紫の上や、女三の宮は藤壷の姪なんですって。
摂関政治を長きに渡り執り行なってきた貴族・藤原家もあり、“藤の花の色”は“高貴な色”
紫に染めるために使われる“紫根”は、草木染めのなかでも特に高価な染料です。

複雑な人間関係・・・あなたは好きですか。
この歳になると、恋をしてドキドキすることもありませんが、源氏物語に出て来る女性たちの心の思いをのぞいて、ちょっぴり女性ホルモンを活性化できたかも。

“ふじ”と呼ばれるようになったのは、花が風に散る自然の風景「風散(ふぢ)」に由来すると伝えられています。
残念ながら、藤の花が風に散る様子を見たことがありません。
桜の花吹雪は、美しくて、思わず立ち止まって見惚れてしまいます。
風に散る藤の花もさぞや美しいことでしょう。平安貴族になった気分でいつか鑑賞したいです。


京鹿の子、江戸鹿の子、半四郎鹿の子

2011-11-30 | 日本の伝統色(日本の色)
江戸時代に流行した鹿の子絞の流行色に、歌舞伎役者が関わっていたことを紹介します。


京鹿の子(きょうがのこ)・・・京都で絞り染めをした絹織物の総称。
 京都と江戸はライバル同士、“京”をつけて京都産の絞り染めの技術をアピール!!
 歌舞伎では京鹿子とくれば、「京鹿子娘道成寺」とすぐに演目名がでてきますよね。 
 絞り染めの文様が、子鹿の背のかわいい斑点文様に似ていることから鹿の子といいます。“かのこ”こういう言葉の表現、私は好きです。
 染料は高価な紅花(赤)で、大衆文化が花開いた江戸時代でも、お米の100倍の値段で取り引きされて京都へ送られて来たとか。あまりに贅沢な総鹿の子絞は、5代将軍・綱吉の時代に美服禁止令(1683)が発令されたほど。


江戸鹿の子(えどかのこ)または小太夫鹿の子(こだゆうかのこ)・・・江戸産の江戸鹿の子。
 江戸・元禄年間(1688~1703)のころ、歌舞伎役者の伊藤小太夫が舞台で着たことで流行しました。
 “京紫”“江戸紫”のように、わざわざ色名を変えたりして、江戸っ子も江戸をアピール!!
 贅沢禁止令に引っかからない“型染め”にし、染料は紫根(紫)にしましたが、その紫根も禁止になってしまいました。京鹿の子に対抗して江戸鹿の子はどうだ~っと工夫したのに・・・残念!!
 草木染めに使われる染料・紫根も紅花と並んで古来より高価で、庶民には手の届かなかった憧れの色に、手が届く時代になったのです。
 それから、当時、江戸でも紫根が栽培されていたようです。


半四郎鹿の子(はんしろうかのこ)・・浅葱色に染めた麻の葉文様の鹿の子絞。
 江戸・文化年間のころ(1804~1817)歌舞伎役者5代目・岩井半四郎が、舞台で浅葱麻の葉鹿の子絞の振り袖を来て登場したことで、特に女性たちが、襟元(半襟)や袖、裾からちょっと見えるように用いて、流行色・文様となりました。
 浅葱色(あさぎいろ)とは、日本の染め色の代表色とも言える藍(青)染めで浅く染めた色のこと。
 麻の葉文様は、丈夫でスクスクと育つ麻にあやかって、子供の産着に使われるようになり、女性の衣服にも用いるようになりました。
 ※ 浅葱色は絶対にこの色!?とは拘らずに、藍染め(青系の色)であれば半四郎鹿の子とおおまかに考えることをお勧めします。

伝統色講座・受講生募集中


現在に伝わる絞り染めの産地
南部絞り(秋田県盛岡市)→草紫堂
有松・鳴海絞(愛知県名古屋市)→有松・鳴海会館
京鹿の子絞(京都府京都市)→京鹿の子絞振興協同組合
 ※ 絞り染めの美をご堪能下さいませ。


古代の染料・茜と藍

2009-03-24 | 日本の伝統色(日本の色)

衣服の染料で一番、古いのが、「茜(赤根)」と「藍」です。
この、茜と藍の染料は、非常に古くからあり、女王卑弥呼の時代(239年頃)には、日本の一部ですでに使われていたそうです。
どちらも西から来た染料であると、漢字できちんと私たちに伝えています。

茜・・・“草冠+西”
藍・・・別名を「縹(ハナダ)」と呼ばれていて、分解してみると“糸+西+示”

西の国といえば、中国と韓国のことですよね。

赤根でそめた色の話⇒緋色(思ひの色)
藍染の話⇒出藍のほまれ・青の着物展

伝統色・江戸紫(えどむらさき)

2008-07-22 | 日本の伝統色(日本の色)

現代では伝統芸能である歌舞伎が大流行し、市川海老蔵が庶民のヒーロー助六の役で「助六由縁江戸桜」で頭に巻いたハチマキの色。
紫根は、薬草でもあり、武家などでは病気の時に紫根で染めた布を縛っていました。
頭に血が上り易い助六の熱冷ましとしてハチマキを頭に巻いたのが大当たり!!

江戸時代は、大衆文化が華開いた時代。
現代に伝えられる江戸紫は濃い紫ですが、実際のハチマキの色はもっと明るい色だったそうです。
(パソコンにより違う色に見えることがあります)
それまで高価で庶民には手の届かなかった紫根染めの紫は、江戸の武蔵野に自生していた紫根で染めたことから、江戸紫(えどむらさき)と名付けられ流行しました。
伝統色の色の名前は、時代的背景のもと生まれたもので、人気歌舞伎役者が舞台で着た衣裳の色は、路考茶、璃寛茶と名付けられ、茶系が流行した時代です。

時代ごとに色彩文化をみると、面白いです。

日本の伝統色に興味のある人へ、伝統色講座開講中です。
詳しくはアメニティカラープロジェクトのHPをご覧ください。
http://www.ac-pro.com
緋色(思ひの色)
素鼠(鼠色)
柿色(団十郎茶)

江戸時代の流行色は浮世絵で解る

2007-12-19 | 日本の伝統色(日本の色)

江戸時代(1603~1867年)、1765年、鈴木春信により多色摺り版画が考案され、いわゆる錦絵(浮世絵)が大衆娯楽として大流行したのは皆さんよくご存知のこと。

財政難で苦しい江戸幕府はつぎつぎと贅沢禁止令を出しますが、江戸っ子は負けません。対抗手段を編み出し続け、「通」「粋」という言葉が生まれました。

浮世絵に描かれた歌舞伎役者、遊女、町娘や風景画などを鑑賞すると、当時の流行色が判ります。

表に着ている着物の色は地味であっても、線を太くしたり、細くしたり、縦横に組み合わせるなど様々です。それの裏地や下に着ている着物の色や柄は決して地味ではありません。

特に、歌舞伎役者が創作した縞文様は、歌舞伎ファンを飽きさせることがありませんでした。「市松文様」は、佐川市松が舞台で使用したことから大流行した文様で、現在の私たちの生活の中にしっかりと定着している文様の一つです。他にも「三升文」など、線と線を上手く組み合わせた文様が沢山出ています。

日本の色めぐり会、第2回目は、江戸歌舞伎の演目“助六”で、役者が台詞のなかで誉めたことがきっかけで大流行したと言われている、福岡の伝統工芸品「博多織」の手織り工房を訪ねます。

なぜ、大流行したのか?

江戸時代のファッションリーダーである歌舞伎役者の力もあります。
それと当時の博多織は、独鈷柄(トッコガラ)と華皿(ハナザラ)と呼ばれる文様の連続文様+縦縞です。

江戸の後期には庶民の文様として定着していた粋な縞柄が、江戸庶民に好まれたのは当然のことと言えましょう。

1月17日(木)です。博多織を現在に引き継ぐ伝統工芸士・木村先生の工房木村博多織・手織り工房を見学させていただきます(今回だけ特別にお願いをしています)。木村先生作の博多織は、目を見張るほどの美しさです。

カラーコンサルタントと共に博多織の素晴らしさを実感しましょう。

【アメニティカラー・プロジェクトのHP内“色の話”に掲載していたものをこちらへ移動しました】

伝統色・緋色(ひいろ)、緋(あけ)

2007-11-18 | 日本の伝統色(日本の色)
写真は、緋色の地色に白の小桜文様の風呂敷。
「緋色(ヒイロ)」は、茜染めによる強い黄みの赤。「火色」とも言います。
さらに染め重ねると「茜色」になり、緋色よりも薄く染めると「素緋・(ソヒ)」になります。
歴史は非常に古く、吉野ヶ里遺跡で、日本アカネで染められた絹布が発見されていおり、古代から愛されている色です。 
緋色という色名は、聖徳太子の時代(603年)が、身分を色で管理するようになってから後のことで、平安時代には染料を変えて梔子(クチナシ)と紅花を染め重ねた緋色を使い、「思ひの色」とも呼ばれていました。平安貴族の感性って素晴らしい!!

“国宝・源氏物語絵巻の竹河二”に坪庭に植えた桜を楽しむ姫君たちが描かれています。色、文様とは関係ないですが、右手前では、男性が女性を盗み見をしていて・・・恋の予感。 季節の色を重ねた色紙に美しいかな文字を書いた恋文には、きちんと折り枝を添えて届けられるのでしょうね。平安貴族の雅は、とても美しくて、あこがれますが、庶民の生活を犠牲にしてのものなので、そこがちょっと・・・

「緋(アケ)」は、色彩の身分制の五色(赤、青、黄、白、黒)の「赤」に使われた染め色で、「アケ(緋)」→「アカ(赤)」と呼ばれるようになったのはこの時代からです。
「アカ(赤)」ではない「アケ(緋)」という色名に、日本人のルーツを感じ、美しい色名だなあと感じるのは、私だけ?

桜は、皆さんよくご存知のとおり日本を代表する花です。
山桜、一重桜、八重桜、枝垂桜、他にもあるのでしょうね。春になると桜前線、秋になると紅葉便りでニュースが楽しみになります。
秋に桜文様は季節はずれ? でも、この配色なら大丈夫。
桜を愛する日本人として、年中持ち歩きたいと思うのは私だけ!?

 先日、私が主催する第1回目の“日本の色めぐり会”で「国宝三十六人家集」などを鑑賞してきました。美しいかな文字と、美しい料紙、日本の心である和歌の3つが揃った、平安貴族の雅な技術を結集したもので、900年ほども前に作られたものとは信じられない美しさでした。模写本よりも、ずっと昔に作られた本物の方が美しかったんですよ。

詳しくはアメニティカラープロジェクトのHPをご覧ください。
日本の色めぐり会の第2回目~第5回目までの予定も掲載しています。
まずは、一日体験に参加してみてください。⇒ こちらから
江戸紫(濃色)
素鼠(鼠色)
柿色(団十郎茶)


伝統色・素鼠(すねず) 鼠色(ねずみいろ)

2007-09-23 | 日本の伝統色(日本の色)
 灰色(はいいろ)、薄墨色(うすずみいろ)、鈍色(にびいろ)とも呼びます。
 江戸時代後期、「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」と言われるほど、茶系と鼠系の色名が数多く登場します。火事が多かった江戸の町では、“灰”という言葉の代わりに、“鼠”を使うようになったと聞きます。
 日本の伝統色~鼠(ねずみ)と付く色名は、利休鼠(りきゅうねず)、銀鼠(ぎんねず)、藍鼠(あいねず)、紺鼠(こんねず)、納戸鼠(なんどねず)など、沢山の色名となり、微妙な色合いを楽しむようになります。鼠色(ねずみいろ)という色名は平安時代には使われていましたが、江戸っ子が粋(いき)に使いこなします。単に鼠色と呼んでも、全くお洒落ではないけれど、“~ネズ”と呼ぶといい感じ!!
 ここでも、歌舞伎役者が大活躍!!弁慶格子、子持格子、市松文、などの文様が流行します。遠目には無地に見えるような小紋も、趣向を凝らして遊び小紋、新型小紋が登場します。
 封権社会の厳しい掟の中にありながら、粋な江戸っ子は生活を楽しみ、色を楽しみ、素晴らしい染め文化を生み出してくれました。

詳しくはアメニティカラープロジェクトのHPをご覧ください。
⇒ http://ac-pro.com
緋色(思ひの色)
柿色(団十郎茶)
江戸紫(濃色)

柿色(かきいろ)・団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)

2007-09-09 | 日本の伝統色(日本の色)
久しぶりに更新します。
前回、江戸紫(えどむらさき)についてお話をしましたので、今回も、江戸時代の大衆娯楽であった歌舞伎で大流行した、団十郎茶(だんじゅうろちゃ)をご紹介します。

弁柄と柿渋で染めた染め色です。

現在、歌舞伎界では柿色と呼ばれています。歌舞伎を生まれて初めて見に言ったとき、市川家の柿色であると紹介していました。
初代団十郎以来、代々使われていて、市川団十郎、海老蔵の襲名披露などでは、柿色(かきいろ)の裃(かみしも)姿の出演者が居並びます。
「ひと~つ、睨んでごらんにいれましょう」でしたっけ?
大衆娯楽であった歌舞伎が、現在では伝統芸能です。

お茶が庶民の家でも飲まれるようになったのは、江戸時代からです。文化の主役が庶民になり、流行色も庶民が作り出すようになります。

日本の伝統色講座開講しています。
詳しくはアメニティカラープロジェクトのHPをご覧ください。
⇒ http://ac-pro.com