“色の話いろいろ”

色には意味があり、使い方次第で印象が良くなります。
「イマイチ」が「素敵」に変わります。

京都の美意識について

2009-08-07 | 色の話

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

平安時代初期の「小野小町」の有名な一首です。
「花の色が色褪せてしまうように、私もいつまでも美しくはいられない」と、ため息が漏れてきそうな気がします。
たとえドライ・フラワーであっても花は花でいたい。中高年の女性は皆同じ気持ちでしょう。
京都は、一年を通して寒暖の差が大きく、雨も良く降るので、緑豊かで四季の変化に富んでおり、目にうつるものすべてがうつろいやすい「色」であったと言えます。
平安時代、遣唐使が廃止されたことにより、京の都の四季の移ろいに美を見出した貴族たちが育てた雅の心情から、かな文字による紫式部の長編小説・源氏物語や、清少納言の枕草子が誕生し、さらに末期には大和絵・源氏物語絵巻が描かれました。絵巻に使われている染め紙や金銀砂子、四季の移ろいを衣に重ねた十二単は、「雅」そのものです。
貴族を守ることで力をつけた武士が中心となった鎌倉時代を経て、京都に政治の中心が戻った室町時代には、武士の権力と、臨済宗・相国寺派を中心とした禅宗と、京都の雅な美意識とが合わさり、華道、茶道、香道、能、狂言などの素晴らしい日本の文化が生まれます。

奈良から京都へ朝廷が移されて以来、徳川幕府の時代に江戸へ文化の中心が移るまでの長きにわたり、大陸文化の影響を強く受けながら京都が創り上げてきたそれらは、現代において、日本を代表する文化として海外にまでも広く知られています。

【アメニティカラー・プロジェクトのHP内“色の話”に2009,3,20~7,30掲載していたものをこちらへ移動しました】
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