◆井上陽水と私◆2005年1月1日から2011年12月まで

マルチクリエイター。井上陽水と私。 独身氷河期世代。当時、ペンネームは夏風アザミルク。

特許庁への道・化学

2007-10-21 20:22:45 | 化学
◆リチウムイオン2次電池用電極材料

Liイオンを電極に出し入れすることにより充放電を行う
リチウムイオン2次電池に使われる電極材料のこと。

正極材料の主流はコバルト酸リチウム,負極材料にはカーボン系が使われることが多い。
電解質としては, Liイオンを含んだ有機電解液が採用される。

Liイオンが正極および負極材料の結晶中の原子の間に入ったり出たりすることにより,
電気化学反応が起こる。

充電時には正極の LiCoO2からLiイオンが引き抜かれて,負極に移動する。
放電時には,負極からLiイオンが引き抜かれて電解質を通って正極に,

それと共に電子が外部回路を通って正極に達することにより電池としての仕事をする。
軽量,大容量であることから2次電池の本命になった。
軽いLiを使っていることから軽量化が可能で,
電池の起電力が3.6VとNi水素電池の3倍近いことから
質量エネルギー密度が 150~200Wh/kgと大容量であるため,
携帯電話やノートパソコンなどの携帯電子機器をはじめとして,
電気自動車やハイブリッド自動車向けの2次電池としても有望視されている。

 

◆2次電池

リチウムイオン電池の他にNi-Cd電池やNi水素電池があるが,
浅い充放電を繰り返すと容量が減少してしまうメモリ効果があることや
Ni-Cd電池については Cdが環境汚染物質であることから
欧州で回収が義務付けられるなどの理由から
Liイオン2次電池への置き換えが進んでいる。

◆PEN樹脂

PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂は,
ナフタレン2,6-ジカルボン酸ジメチルエステル(NDC)とエチレングリコール(EG)を
重縮合して合成される熱可塑性ポリエステルである。

正式名は,ポリエチレン2,6-ナフタレート。

同じ熱可塑性ポリエステルであるPET(ポリエチレンテレフタレート)が,
ベンゼン環が一つのテレフタル酸を使っているのに対して,
ベンゼン環が二つ連結したナフタレン環の骨格を持っているために,
PETに比べて剛直性が高く機械的な特性や耐熱性に優れることから
ワンランク上の樹脂として位置付けられている。

PEN樹脂の最も一般的な用途は,
溶融延伸したフィルムによる電子部材である。
液晶パネルの輝度向上フィルム,耐熱コンデンサ,スピーカ振動板などに普及してきた。
大面積かつフレキシブルなディスプレイを低コストに実現できる技術が開発された。

 

◆ITO(酸化インジウムスズ)

酸化インジウム(In2O3)に数%の酸化スズ(SnO2)を添加した化合物のこと。
可視光の透過率が約90%に上るため,
液晶パネルや有機ELなどのFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)向けの
電極として多用されている。 
液晶パネルでは液晶分子の配向を制御するための電圧を印加する電極として,
有機ELパネルでは正孔輸送層,発光層,電子輸送層を挟む陽極としてITOが使われている。

また,太陽電池,抵抗膜方式のタッチパネル,
青色発光ダイオードの電極としても採用されている。

ITOの最も一般的な製法はスパッタリング法だが,
近年ITOをインク化して,塗布,加熱,融着させる手法の開発が進んでいる。

 

◆PETフィルム

エチレングリコールとテレフタル酸を重縮合反応にすることによって得られる
結晶性の熱可塑性ポリエステルであるPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる
高分子フィルムである。

強度と耐熱性を持っている。
また寸法安定性,耐薬品性,光学特性などのバランスに優れることから,
工業用,包装用,磁気テープ,フィルムコンデンサなど向けに幅広く使われている。

PETフィルムの用途として近年注目されているのが,
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)向けの
機能フィルムである。

例えば,液晶ディスプレイでは,
偏光板の表面を守るための保護フィルム,
位相差フィルムなどを積層するための剥離フィルム,
ディスプレイの表面反射や映り込みを抑えるための反射防止フィルムなど
様々な目的で使われている。

 

◆熱硬化性樹脂

成形時の高温によって硬化するプラスチック。
鎖のように細長いポリマから枝状に出ている側鎖(そくさ)が,
別のポリマの側鎖と結合する「架橋(かきょう)」反応が高温によって進み,
ポリマ同士が3次元的に結合し合って動かなくなる。

架橋反応は不可逆反応なので,
一度硬化した熱硬化性樹脂を再び加熱してもそれほど軟化しない。

硬化にはある程度時間がかかるため,一般に熱硬化性樹脂の成形は,
熱可塑性樹脂に比べて生産リードタイムがいくらか長い。

3次元の架橋構造を持つことから,
熱可塑性樹脂に比べると耐熱性や耐薬品性などの物性に優れる。

主な熱硬化性樹脂には,フェノール樹脂,エポキシ樹脂などがある。

 

◆有機EL(エレクトロルミネッセンス)

エレクトロルミネッセンスは,材料の発光現象の一種である。
一般に材料の発光現象は,高温の物質が光を放射する現象と
ルミネッセンスに大別できる。

このうちルミネッセンスとは,
材料が過剰なエネルギーを光として放出して安定な状態に戻る現象を言う。

過剰なエネルギーの与え方には,光,化学,熱,電気とあり,
エレクトロルミネッセンスは電気的エネルギーを与えることによって発光する現象である。

そして,エレクトロルミネッセンスを起こす材料が有機材料であるデバイスを
「有機EL」と呼ぶ。

発光有機層を2つの電極で挟んだ構造が有機ELデバイスの基本構造だ。
この構造は,発光ダイオード(LED)に類似している。

発光有機層の光を外に取り出せるようにするために,
電極の片方はITO(indium tin oxide,スズをドープした酸化インジウム)などの
透明電極が使われている。

この2つの電極から注入された正孔と電子が移動(輸送)し,
互いに出会って再結合し,有機材料中にエネルギーが与えられ,
ルミネッセンスが生じる。つまり有機ELは電流注入型のデバイスである。

 

◆量子ドット

レーザ 光通信 量子 電子部品

電子を微小な空間に閉じ込めるために形成した,人工の導電性結晶のこと。
材質や形状は様々だが,寸法は一般に数nm~数十nmほどである。
量子ドットに閉じ込めた電子は,
取り得るエネルギーの準位が離散的(とびとび)になるのが特徴である。

これは,微小な領域に電子を閉じ込めると,
電子の波が離散的な波長の定在波としてしか存在できなくなるためだ。
このようにエネルギーが離散化する原理は,
原子中の電子が原子核の周囲に閉じ込められ,
エネルギーが離散化する原理と良く似ている。

量子ドットが持つ離散的なエネルギー準位を利用して,
主に光デバイスへの応用が提案されている。

具体的には,赤外光検出器や量子暗号向けの単一光子光源などである。
一般的な光デバイスは,原子核の周りをめぐる電子のエネルギー準位の差を利用して
光子を放出・吸収する。

これに対して量子ドットは,微小な結晶中に閉じ込めた電子のエネルギー準位の差を利用する。
特に量子ドットの場合は,結晶の大きさを変える事で,
放出・吸収する光子のエネルギー値を制御できる。

これに加え量子ドットは,量子コンピュータの基本素子「量子ビット」への応用が期待される。
量子ドットに閉じ込めた電子のエネルギー準位やスピンの向きといった量子情報に,
"1"または"0"の値を割り振る。

量子ドットのような固体素子であれば,
液体分子や気体分子を量子ビットに見立てた場合と比べ,
電気的な制御がしやすく,かつ集積化が容易となる。

 

◆DMFC用電解質ポリマー

DMFC(ダイレクトメタノール型燃料電池)向けの電解質膜に使われるポリマーのこと。
DMFCとはメタノールを直接セルに供給して反応させる燃料電池である。
PEFC(高分子固体電解質型燃料電池)ではH2が酸化反応を起こしているのに対し
DMFCではメタノールそのものが酸化反応を起こしている点で違いはあるが,
水素イオン(H+)が電解質膜を通るメカニズムについては
PEFC(高分子固体電解質型燃料電池)と同じである。

しかしDMFCでは,燃料極に投入したメタノールが未反応のまま酸素極に到達して
O2と反応してCO2とH2Oを生成する「メタノール・クロスオーバー」という現象が問題になる。。
メタノール・クロスオーバー現象は,メタノールの濃度を上げるほど,
浸透圧と同じ原理で高濃度側から低濃度側にメタノールは流れるので顕著になる。
このためメタノール濃度を下げる必要があるが,
濃度を下げるとエネルギー密度が下がってしまう,というトレードオフを抱えている。

 

 

◆燃料電池用セパレータ材料

燃料電池の代表的な構造はセルを積層する「スタック」だが,
各セルの間に挟んで,燃料ガスや空気を遮断する役割を果たす板状の部品がセパレータである。

各セルをシールする機能のほかに,ガスが流れる流路を作りこんで,
燃料ガスや空気を送り込む機能を担う。

他に,電動性,耐食性,熱伝導性などが要求され,
材料特性面では調整の難しい部品である。

セパレータの製法としては,
燃料電池自動車向けのセパレータとしては,
「金属派」と「カーボン派」に分かれる。

金属では,ステンレス鋼板のプレス成形で,カーボンは圧縮成形か射出成形で流路を形成する。
金属は薄さ,カーボンは軽さが特徴である。

カーボン系の技術課題は,成形サイクルタイムを高めること。

ステンレス鋼板を使う場合は,表面に酸化膜(不動態膜)を作るので耐腐食性は高いが,
表面に酸化膜があるため導電性が低いので,
耐腐食性と導電性を両立させるのが技術課題である。

 

◆色素増感型太陽電池

色素を使って太陽光を電気エネルギーに変換する電池のこと。
太陽光が色素に照射されることによって,色素が励起して電子を放出する現象を利用している。
シリコン系太陽電池よりも低コストで製造できる可能性があり,
次世代の太陽電池として研究が活発化している。

色素増感型太陽電池の製法は,
(1)ITO(酸化インジウム・スズ)薄膜をコーティングしたガラス基板を正負両極に配置,
(2)受光面側のITOガラス基板にRu(ルテニウム)系色素を吸着させた酸化チタン多孔質膜をコーティング,
(3)正負両極間にヨウ素イオンを溶解した電解液を封止---というプロセスである。

光電変換のメカニズムは以下の通り。

(1)受光面に太陽光が入射すると,色素が可視光を吸収して励起,
(2)励起した色素から放出された電子が酸化チタンに移動,
(3)電子がITOを通過して外部回路を通過して(ここで電池としての仕事をする),
もう一方の電極(対向電極)に到達,
(4)電子を放出した色素はヨウ素イオンから電子を奪って中和,
(5)電子を奪われたヨウ素イオンが対向電極に到達した電子と結合して中和。
 


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