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◆井上陽水と私◆2005年1月1日から2011年12月まで

マルチクリエイター。井上陽水と私。 独身氷河期世代。当時、ペンネームは夏風アザミルク。

工学部・卒業論文の書き方・学術論文&特許を意識した図の作り方

2007-10-29 21:42:16 | 化学
卒論の書き方と私
工学部での卒論の書き方を語る。卒論発表での図の作り方。
卒業論文を書いたのははるか昔。苦労した分、思い出ぶかい。

化学または物理系の学生さんへ。僭越ながらアドバイス。

タイトルは内容を的確に表して、アカデミックに。
なんとかへの応用を目的とした
なんとか法による
なんとかの作製および評価
なんとか解析

●実験方法や理論
作製技術、分析方法、応用分野。

卒論発表向けの図を作る←これが一番大事。
0、応用分野で求められる性能について
1、性能の向上
2、全体を見渡す実験結果の図
3、注目した部分の結果
4、注目した部分の違いが鮮明になる1対のサンプルを比較←これが特に大事
5、現象を説明するモデル図

これに、タイトル、背景、実験結果、これまでの経緯、まとめ。
この10枚プラスアルファの図で10分発表すればOK。

●図を作るときのコツ
一枚の図で言いたいことは一つに絞る
大きく全体像を見てから細部へ進むこと。←これ重要。
小さな図を並べるのはNG。たくさんデータをまとめて一つのグラフにする。
グラフの線は2本まで。シンプルに。
グラフの軸をしっかり説明。比較するなら軸のメモリはそろえる。
写真は、写し方、倍率をそろえて二つ並べる。たくさん並べるのは不可。
写真は良いものと悪いものの違いが鮮明になるように選ぶ。
図の中の字は大きく。顕微鏡写真はスケールを入れる。

●卒論発表のストーリー
仮説をもとに新発想で性能向上ができた!!
性能の向上する前後のサンプルを解析して理由を明らかにする!!

発表に使う実験結果から言えることを丁寧にすべて説明する。
先走った考察はNG。結果から導かれることだけを言う。

解析だけの発表なら「何のために」解析したかを明確にすることが特に大事。
↑どういった特性をあげるために必要な解析か。

●卒論へのアドバイス
学術論文の図の作り方を真似する。
工学部なら必ず「特許」を読む。
卒論発表は学会発表へ向けて。
学会は論文&特許へ向けてのステップ。

性能向上の実績ではなく、発表方法を身につけるための勉強と心得る。

半導体次世代光源

2007-10-28 15:42:26 | 化学
半導体の30ナノメートル製造技術で応用される光源はキセノンガスのプラズマ発光による極紫外線だ。オランダのフィリップス社の光源技術と日本のウシオ電機社のミラー技術で実用化を目指すと日経に記事がありました。

昔はアルゴン系ガスを使って約240ナノメートルの波長の光で120ナノメートルのレジストを切っていたって学生時代に学んだ。それから微細化は進んだねえ。

ウシオ電機ってすごい技術あるんだねえ。びっくりだよ。


電気化学的特許庁

2007-10-21 20:28:06 | 化学
電気化学のお勉強



◆電極電位

アノード・カソードの反応を別々に捉え、
一方をある基準からの相対的電位で順位付けることができる。その基準としてpH=0、水素ガス1atmのときの水素活量できまる標準水素

電極電電位を0.0Vとして定義する。
実際の測定では水素電位を用いるより、
甘コウ電極や塩化銀電極が用いられる。
最近では飽和甘コウ電極に用いる水銀の規制のため、
塩化銀電極が用いられることが多い。
AgCl+e→Ag+Cl


◆炭素電極

炭素は無定形、黒鉛、ダイヤ、フラーレンがある。
共役sp2結合による炭素の六角網目構造をとる。
電極としては伝導性は高く、強度、加工性、耐食性、伝熱性に優れる。
水素過電圧が大きいのも特徴である。

電池用炭素電極としてマンガン電池やリチウム電池で用いられる。
これは黒鉛の層状構造部分へのリチウムのインターかレーション反応を利用している。


◆無機固体電解質

イオン結晶でイオン伝導性を示す。
イオン空孔や格子間イオンを介してイオンが移動する。
例として、安定化ジルコニアがある。
ジルコニアは3つの結晶系があり、温度によって結晶系が変わり、それに伴う体積変化で焼結体が破壊されてしまう。
これを防ぐために、4価のZrを一部イットリウムで置換して高温相である立方晶を低温でも安定化させたものが
電解質として用いられる。


◆高分子固体電解質

無機固体電解質よりイオン伝導性が高い。
高分子鎖のセグメント運動によってイオンの配位位置が変わることで伝導性が得られる。
また大面積化が容易という利点もある。
炭化水素イオン交換膜が代表例。
食塩電解に用いるフッ素樹脂系イオン交換膜や、
リチウムイオンポリマー電池に用いられるポリエチレンオキシドもある。


◆電解重合成膜

電極表面でモノマーを電解酸化・還元することでカチオンラジカルやアニオンラジカルといった反応活性種を生成して重合反応を進める。
電極表面に高分子膜が得られることが多い。
アノード側の酸化によるものが主流。
伝導性の高い高分子膜が得られる。
センサーや光素子、電子素子への応用が研究されている。


◆化学センサー

電解重合膜を用いて、水素イオンを検出するpH応答型センサーが作製できる。
重合膜に酵素を固定化したバイオセンサーや
電気化学的に不活性な重合膜の分子ふるい的作用を利用したセンサーも検討されている。

◆水素吸蔵合金

大量の水素を吸蔵・放出できる合金。
パラジウム、チタン、ジルコニウム系などがある。
H2という水素分子が二つの水素原子に分かれて表面に吸着して結晶体の隙間に自由に移動する。
この反応が極めて瞬間的におこるのが特徴である。
低温で水素ガス圧が高いときに吸蔵して、
高温で水素ガス圧の低いときに放出する。
水素の分離、貯蔵や触媒への応用が研究されている。


◆焼結
成形体の融点の2/3からそれ以上の温度で加熱、緻密化して強度を上げる合成法。
拡散を主体とするプロセスで、粒子間の結合が進み、点接触から面接触への形状変化によって強度が上がる。
大別すると常圧焼結と加圧焼結がある。
常圧焼結がさらに液相焼結と固相焼結に分けられる。
固相焼結は反応を伴う反応焼結と単一成分の焼結がある。
焼結の基本プロセスは原子の拡散であり、
結晶中の点欠陥を媒介して原子が移動する。
原子の拡散に関わる点欠陥は不純物や転移と相互に関係して消長する。
 

◆石けん(界面活性剤)
代表的な界面活性剤である石けんの分子は
RCOONa
で表される。水中ではRCOO-といったマイナスイオンになる。
Rは長い鎖状の炭化水素である。
石けん材料の脂肪酸はRCOOHという構造で、
これをNa塩にしたものが石けんである。
R部分が疎水基であり、COO-部分が親水基である。
石けん分子は弱い酸である脂肪酸と強アルカリから構成されており水中では加水分解してアルカリ性を示す。
COOHのHは金属イオンと反応しやすい性質をもつ。
そのため硬度の高い水や海水中では洗浄力が著しく低下する。
硬水とはCaやMgなどの金属イオンを多く含む水であり、
COOHのHと反応して水に不溶の金属石けんを作り、
洗浄作用を封じてしまう。

アルキル硫酸エステル酸である
ROSO3Na
を、用いた合成洗剤がCOOH基がなく、硬水や海水中でも安定で、洗浄力が高い。



特許庁に分析化学

2007-10-21 20:26:05 | 化学

分析化学のお勉強

2007 Oct.

 ★TG 熱重量測定 Thermogravimetry
サンプルの加熱機構と質量測定機構が一体化した分析装置。
分析試料を天秤で水平に保つようにフィードバック電流をかける。
この電流が質量変化量に比例する。
質量変化量と試料の温度を時間の関数として連続的に記録したものがTG曲線である。
質量変化量を時間微分したものが微分熱重量測定である。
TG測定から質量変化を伴う熱的変化の有無、反応温度、減量率が得られる。
サンプルの熱的安定性、反応経路の推定、各反応段階の減量率の定量分析ができる。

 

 ★DTA 示差熱分析 Differenntial Thermal Analysis
物質からの熱の出入りに注目した熱分析技法。
対称的に配した2つの測定部の一方に性質の既知物質を、
他方に未知物質を用いて、両者の挙動の差を測定することで測定感度を高めている。

 

  ★TG-DTA―MS 発生気体分析
熱分解などの反応を測定する際、質量減少を測定するのみでは反応が分析に反映されない場合がある。
揮発しないで残る物質の質量を測定するだけでなく、
揮発生成物を分析、同定、定量する熱分析が必要となる。
揮発ガス成分に対するMSスペクトルを測定する
質量分析(MS)とTG-DTAを組み合わせた複合技法が有効である。

 

 ★ICP 誘導結合プラズマ法
水素やフッ素、酸素、窒素などの一部の例外を除く
周期表中のほぼすべての元素を多元素同時分析が可能で、
迅速に測定できる。

検出感度が高く検量線の直線範囲が4から5桁と広い。
5000から7000Kの高温でアルゴンプラズマ中に霧状にサンプルを導入、蒸発、原子化、イオン化させると、
励起されて各元素固有の発光示し、定性分析できる。
この光の強度は元素量に比例するため定量分析もできる。
オージェ発光を検出するICP―AESでは検出限度がng/mlレベル。
検出器に質量分析を用いるICP-MSでは、さらにpg/mlの分析が可能である。

 

  ★ガスクロマトグラフィー
気体サンプルや気化しやすいサンプルの分析に用いる。
液クロより分離能が高く、検出感度が高い。
10μg/mlから0.1pg/mlが定量下限である。
環境分野で二硫化炭素や、ホルムアルデヒド、ダイオキシンといった
大気中成分や汚染物質の分析に用いる。
排水中の揮発成分の分析やガス中の不純物分析にも用いられる。


★EDS 蛍光X線分析

原子のK殻電子エネルギーよりも大きなX線を入射するとK殻電子はエネルギーを受け取り原子の外へ飛び出す。
K殻に空孔ができ、L殻やM殻の電子がK殻に遷移する。
このエネルギー差に対応するX線を蛍光X線または特性X線と呼ぶ。
蛍光X線の波長(エネルギー)が元素に固有で波長から定性分析、強度から定量分析ができる。
個々の元素からの蛍光X線をそれぞれ分析するため、
スペクトルを分離する必要があり、
波長分散分光させるWDSとエネルギー分散分光させるEDSがある。

 

 ★電解分析法
目的成分を電解効率100%の条件下で一定の電位で電解し、これに要した電気量からファラデーの法則に基づき物質のモル数を求める定

電位クーロメトリーと、
一定の電流で電解発生させた試薬で目的成分を滴定する定電流クーロメトリーに分類できる。
定電位クーロメトリーは作用極、対極、参照電極からなる3電極式セルを用いる。
ポテンシオスタットと呼ばれる装置により参照電極に対する作用極の電位を一定に保ちながら電気分解を行う。

 

 ★CV サイクリックボルタンメトリー
界面における電気化学反応の初期診断に用いる技法。
3電極式セルで、参照極に対する作用極の電位を走査しながら、反応電気量を電流計により連続的に測定するもの。
ボルタモグラムの電位から定性分析、ピーク電流から定量分析できる。
電極との電子移動反応のほかに電極反応物による化学反応や電極への吸着などの過程が含まれる。

化学と特許庁

2007-10-21 20:24:13 | 化学
◆O/W型エマルジョン

O/W型エマルジョンとは水の中に油性成分が小さな粒状に分散している状態の液体をいう。
W/O型は油性溶媒中に水が分散したもの。

本来は混ざり合わずに2相に分離する二つの成分が、
界面活性剤によって分散されている。
界面活性剤は疎水基が油性成分に近い内側に、
親水基が水に近い外側に配置されて、油性の粒を包むようように取り囲んで、
分散されている。

 

◆ゾルゲルガラス

ゾルとは粘度の高い液体に近く、ゲルとは固体の状態。
シリコンのアルコキシドの溶液に水などの触媒を加えて反応させる。
アルコキシドから脱水反応と脱アルコール反応が進むと分子の重合反応が進み、
固体化してガラスを得ることができる。
液体状態から反応させるので、形体設計が自由になる。
アルコキシドは反応性が高く、安定な状態を保つには安定剤が必要。
低温でガラスを形成できる。
アルコキシドの金属を選択することで、従来にない組成のガラスが得られる。

 

◆鉛フリー、クロムフリー

鉛ははんだに使われており、電気接点用に広く用いられている。
が、人体に有害であり精神障害を引き起こす。
電気機器の廃棄によって製品中の鉛が環境に溶け出す危険がある。
そのため、EUでは鉛を製品に用いないような規制が始まっている。
鉛を使用しない製品を鉛フリーと呼ぶ。

また鉛は誘電体としても使用されている。
これらの製品から鉛を使わないように、ビスマスを使用する技術などが検討され
一部、実用化されている。

融点の低い鉛に比べて高温が必要である、
ビスマスの安定性が低い、といった問題がある。
クロムは鋼の防食めっきとして用いられる。
6価クロムが有害であるため、クロムも規制される動きがある。
これも、クロムを使わない表面処理技術の開発が進められている

 

◆X線回折法

X線を分析対象に照射して、物質の表面付近の結晶格子によって起こる
回折現象を検出して定性分析を行う手法。

X線は特定の波長のエネルギーだけを照射して、
その波長からサンプルの結晶面間隔を測定できる。
サンプルに対して照射角度をθ、検知器の角度を2θだけ動かして測定するθ―2θ方が一般的である。
低角度側は広い結晶面間隔からの回折に対応する。
回折パターンによって結晶構造を特定する、
面間隔を測定するなどできる。
また、回折ピークの形状によって結晶粒子の大きさなどの測定もできる

 

◆高温酸化物超伝導体

絶対零度(-273℃)付近まで冷却すると電気抵抗がゼロになる超伝導現象が知られていた。
しかし、冷却に液体ヘリウムを用いなければならず、実用的でなかった。
近年、ビスマスや銅を含む複合酸化物のなかで、
高温で超誘電性を示す物質が見つかり、
液体窒素で冷却できる(-190℃以上)ため、実用化の目処がつき注目された。
複合酸化物の開発がブームとなり、
現在、送電線やリニアモーターなどへの応用研究が進められている

 

◆強誘電体メモリ(FeRAM)

強誘電体とは電場によって分極して、電場を取り除いても分極を維持する性質の誘電体。
鉛とチタン、ジルコニウムからなるPZTなどペロブスカイト構造の酸化物が古くから研究されていた。
電源をかけなくても情報を保持する不揮発性メモリが実現できる。
DRAMのキャパシタ部分に強誘電体を用いたメモリ構造が研究されている。
しかし、繰り返し分極反転させると分極電荷量が低下する膜疲労問題があった。
ビスマスを用いた誘電体で膜疲労フリーが発見され、研究が進んだ。
ビスマス酸化物は焼成温度が高いため、成膜温度の低域化技術の開発が求められている

 

参考文献はWikiとTech-On。

特許庁への道・化学

2007-10-21 20:22:45 | 化学
◆リチウムイオン2次電池用電極材料

Liイオンを電極に出し入れすることにより充放電を行う
リチウムイオン2次電池に使われる電極材料のこと。

正極材料の主流はコバルト酸リチウム,負極材料にはカーボン系が使われることが多い。
電解質としては, Liイオンを含んだ有機電解液が採用される。

Liイオンが正極および負極材料の結晶中の原子の間に入ったり出たりすることにより,
電気化学反応が起こる。

充電時には正極の LiCoO2からLiイオンが引き抜かれて,負極に移動する。
放電時には,負極からLiイオンが引き抜かれて電解質を通って正極に,

それと共に電子が外部回路を通って正極に達することにより電池としての仕事をする。
軽量,大容量であることから2次電池の本命になった。
軽いLiを使っていることから軽量化が可能で,
電池の起電力が3.6VとNi水素電池の3倍近いことから
質量エネルギー密度が 150~200Wh/kgと大容量であるため,
携帯電話やノートパソコンなどの携帯電子機器をはじめとして,
電気自動車やハイブリッド自動車向けの2次電池としても有望視されている。

 

◆2次電池

リチウムイオン電池の他にNi-Cd電池やNi水素電池があるが,
浅い充放電を繰り返すと容量が減少してしまうメモリ効果があることや
Ni-Cd電池については Cdが環境汚染物質であることから
欧州で回収が義務付けられるなどの理由から
Liイオン2次電池への置き換えが進んでいる。

◆PEN樹脂

PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂は,
ナフタレン2,6-ジカルボン酸ジメチルエステル(NDC)とエチレングリコール(EG)を
重縮合して合成される熱可塑性ポリエステルである。

正式名は,ポリエチレン2,6-ナフタレート。

同じ熱可塑性ポリエステルであるPET(ポリエチレンテレフタレート)が,
ベンゼン環が一つのテレフタル酸を使っているのに対して,
ベンゼン環が二つ連結したナフタレン環の骨格を持っているために,
PETに比べて剛直性が高く機械的な特性や耐熱性に優れることから
ワンランク上の樹脂として位置付けられている。

PEN樹脂の最も一般的な用途は,
溶融延伸したフィルムによる電子部材である。
液晶パネルの輝度向上フィルム,耐熱コンデンサ,スピーカ振動板などに普及してきた。
大面積かつフレキシブルなディスプレイを低コストに実現できる技術が開発された。

 

◆ITO(酸化インジウムスズ)

酸化インジウム(In2O3)に数%の酸化スズ(SnO2)を添加した化合物のこと。
可視光の透過率が約90%に上るため,
液晶パネルや有機ELなどのFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)向けの
電極として多用されている。 
液晶パネルでは液晶分子の配向を制御するための電圧を印加する電極として,
有機ELパネルでは正孔輸送層,発光層,電子輸送層を挟む陽極としてITOが使われている。

また,太陽電池,抵抗膜方式のタッチパネル,
青色発光ダイオードの電極としても採用されている。

ITOの最も一般的な製法はスパッタリング法だが,
近年ITOをインク化して,塗布,加熱,融着させる手法の開発が進んでいる。

 

◆PETフィルム

エチレングリコールとテレフタル酸を重縮合反応にすることによって得られる
結晶性の熱可塑性ポリエステルであるPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる
高分子フィルムである。

強度と耐熱性を持っている。
また寸法安定性,耐薬品性,光学特性などのバランスに優れることから,
工業用,包装用,磁気テープ,フィルムコンデンサなど向けに幅広く使われている。

PETフィルムの用途として近年注目されているのが,
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)向けの
機能フィルムである。

例えば,液晶ディスプレイでは,
偏光板の表面を守るための保護フィルム,
位相差フィルムなどを積層するための剥離フィルム,
ディスプレイの表面反射や映り込みを抑えるための反射防止フィルムなど
様々な目的で使われている。

 

◆熱硬化性樹脂

成形時の高温によって硬化するプラスチック。
鎖のように細長いポリマから枝状に出ている側鎖(そくさ)が,
別のポリマの側鎖と結合する「架橋(かきょう)」反応が高温によって進み,
ポリマ同士が3次元的に結合し合って動かなくなる。

架橋反応は不可逆反応なので,
一度硬化した熱硬化性樹脂を再び加熱してもそれほど軟化しない。

硬化にはある程度時間がかかるため,一般に熱硬化性樹脂の成形は,
熱可塑性樹脂に比べて生産リードタイムがいくらか長い。

3次元の架橋構造を持つことから,
熱可塑性樹脂に比べると耐熱性や耐薬品性などの物性に優れる。

主な熱硬化性樹脂には,フェノール樹脂,エポキシ樹脂などがある。

 

◆有機EL(エレクトロルミネッセンス)

エレクトロルミネッセンスは,材料の発光現象の一種である。
一般に材料の発光現象は,高温の物質が光を放射する現象と
ルミネッセンスに大別できる。

このうちルミネッセンスとは,
材料が過剰なエネルギーを光として放出して安定な状態に戻る現象を言う。

過剰なエネルギーの与え方には,光,化学,熱,電気とあり,
エレクトロルミネッセンスは電気的エネルギーを与えることによって発光する現象である。

そして,エレクトロルミネッセンスを起こす材料が有機材料であるデバイスを
「有機EL」と呼ぶ。

発光有機層を2つの電極で挟んだ構造が有機ELデバイスの基本構造だ。
この構造は,発光ダイオード(LED)に類似している。

発光有機層の光を外に取り出せるようにするために,
電極の片方はITO(indium tin oxide,スズをドープした酸化インジウム)などの
透明電極が使われている。

この2つの電極から注入された正孔と電子が移動(輸送)し,
互いに出会って再結合し,有機材料中にエネルギーが与えられ,
ルミネッセンスが生じる。つまり有機ELは電流注入型のデバイスである。

 

◆量子ドット

レーザ 光通信 量子 電子部品

電子を微小な空間に閉じ込めるために形成した,人工の導電性結晶のこと。
材質や形状は様々だが,寸法は一般に数nm~数十nmほどである。
量子ドットに閉じ込めた電子は,
取り得るエネルギーの準位が離散的(とびとび)になるのが特徴である。

これは,微小な領域に電子を閉じ込めると,
電子の波が離散的な波長の定在波としてしか存在できなくなるためだ。
このようにエネルギーが離散化する原理は,
原子中の電子が原子核の周囲に閉じ込められ,
エネルギーが離散化する原理と良く似ている。

量子ドットが持つ離散的なエネルギー準位を利用して,
主に光デバイスへの応用が提案されている。

具体的には,赤外光検出器や量子暗号向けの単一光子光源などである。
一般的な光デバイスは,原子核の周りをめぐる電子のエネルギー準位の差を利用して
光子を放出・吸収する。

これに対して量子ドットは,微小な結晶中に閉じ込めた電子のエネルギー準位の差を利用する。
特に量子ドットの場合は,結晶の大きさを変える事で,
放出・吸収する光子のエネルギー値を制御できる。

これに加え量子ドットは,量子コンピュータの基本素子「量子ビット」への応用が期待される。
量子ドットに閉じ込めた電子のエネルギー準位やスピンの向きといった量子情報に,
"1"または"0"の値を割り振る。

量子ドットのような固体素子であれば,
液体分子や気体分子を量子ビットに見立てた場合と比べ,
電気的な制御がしやすく,かつ集積化が容易となる。

 

◆DMFC用電解質ポリマー

DMFC(ダイレクトメタノール型燃料電池)向けの電解質膜に使われるポリマーのこと。
DMFCとはメタノールを直接セルに供給して反応させる燃料電池である。
PEFC(高分子固体電解質型燃料電池)ではH2が酸化反応を起こしているのに対し
DMFCではメタノールそのものが酸化反応を起こしている点で違いはあるが,
水素イオン(H+)が電解質膜を通るメカニズムについては
PEFC(高分子固体電解質型燃料電池)と同じである。

しかしDMFCでは,燃料極に投入したメタノールが未反応のまま酸素極に到達して
O2と反応してCO2とH2Oを生成する「メタノール・クロスオーバー」という現象が問題になる。。
メタノール・クロスオーバー現象は,メタノールの濃度を上げるほど,
浸透圧と同じ原理で高濃度側から低濃度側にメタノールは流れるので顕著になる。
このためメタノール濃度を下げる必要があるが,
濃度を下げるとエネルギー密度が下がってしまう,というトレードオフを抱えている。

 

 

◆燃料電池用セパレータ材料

燃料電池の代表的な構造はセルを積層する「スタック」だが,
各セルの間に挟んで,燃料ガスや空気を遮断する役割を果たす板状の部品がセパレータである。

各セルをシールする機能のほかに,ガスが流れる流路を作りこんで,
燃料ガスや空気を送り込む機能を担う。

他に,電動性,耐食性,熱伝導性などが要求され,
材料特性面では調整の難しい部品である。

セパレータの製法としては,
燃料電池自動車向けのセパレータとしては,
「金属派」と「カーボン派」に分かれる。

金属では,ステンレス鋼板のプレス成形で,カーボンは圧縮成形か射出成形で流路を形成する。
金属は薄さ,カーボンは軽さが特徴である。

カーボン系の技術課題は,成形サイクルタイムを高めること。

ステンレス鋼板を使う場合は,表面に酸化膜(不動態膜)を作るので耐腐食性は高いが,
表面に酸化膜があるため導電性が低いので,
耐腐食性と導電性を両立させるのが技術課題である。

 

◆色素増感型太陽電池

色素を使って太陽光を電気エネルギーに変換する電池のこと。
太陽光が色素に照射されることによって,色素が励起して電子を放出する現象を利用している。
シリコン系太陽電池よりも低コストで製造できる可能性があり,
次世代の太陽電池として研究が活発化している。

色素増感型太陽電池の製法は,
(1)ITO(酸化インジウム・スズ)薄膜をコーティングしたガラス基板を正負両極に配置,
(2)受光面側のITOガラス基板にRu(ルテニウム)系色素を吸着させた酸化チタン多孔質膜をコーティング,
(3)正負両極間にヨウ素イオンを溶解した電解液を封止---というプロセスである。

光電変換のメカニズムは以下の通り。

(1)受光面に太陽光が入射すると,色素が可視光を吸収して励起,
(2)励起した色素から放出された電子が酸化チタンに移動,
(3)電子がITOを通過して外部回路を通過して(ここで電池としての仕事をする),
もう一方の電極(対向電極)に到達,
(4)電子を放出した色素はヨウ素イオンから電子を奪って中和,
(5)電子を奪われたヨウ素イオンが対向電極に到達した電子と結合して中和。
 

特許庁への化学1

2007-10-21 20:21:00 | 化学
電子材料化学のお勉強

 

◆エピタキシャル成長

エピタキシャル成長(Epitaxial Growth)とは、
薄膜結晶成長技術のひとつである。
基板となる結晶の上に結晶成長を行い、
下地の基板の結晶面にそろえて配列する成長の様式である。

基板と薄膜が同じ物質である場合をホモエピタキシャル、
異なる物質である場合をヘテロエピタキシャルと呼ぶ。

結晶成長の方法として分子線エピタキシー法や有機金属気相成長法、
液相エピタキシー法などがある。

エピタキシャル成長が起こるには格子定数のほぼ等しい結晶を
選ぶ必要があり、
温度による膨張係数の近い物でなくてはならない

◆分子線エピタキシー法
(ぶんしせんエピタキシーほう、 MBE; Molecular Beam Epitaxy )

現在、半導体の結晶成長に使われている手法の一つである。
真空蒸着法に分類され、物理吸着を利用する。

高真空のために、原料供給機構より放たれた分子が
他の気体分子にぶつかることなく直進し、
ビーム状の分子線となるのが名称の由来である。

原理は、高真空中において、原料を蒸発させるなどして
基板表面に照射して堆積させ、薄膜の形で成長させる。

超高真空(10-8Pa(10-10Torr)程度)下で成長を行うため、
MOCVD法に比べて成長速度を遅くできる。

また製膜温度も低くできる場合がある。
数A(10-1nm)オーダーの、単原子層レベルでの成長が可能であり、
条件に気をつければ、1原子層ごとに異なる原子を
面方位関係を保ったまま堆積させ(エピタキシャル成長)、
単結晶の人工格子を作成することができる。

複数の原料を独立に制御することで、
原子比のよく制御された合金膜を作成することもできる
 

◆有機金属気相成長法

有機金属気相成長法(ゆうききんぞくきそうせいちょうほう、
MOCVD: Metal Organic Chemical Vapor Deposition)

原料として有機金属やガスを用いた結晶成長装置である。
化合物半導体結晶を作製するのに用いられ、
MOCVDでは原子層オーダで膜厚を制御する事ができるため、
半導体レーザを初めとするナノテクノロジーといった数nmの設計が必要な分野で用いられる。

代表的な半導体結晶成長装置である分子線エピタキシー法 (MBE) と比較し、
面内での膜厚の偏差が少なく、高速成長が可能であるほか、
超高真空を必要としないために装置の大型化が容易である為、
大量生産用の結晶成長装置として
光デバイスの商用製品の作製に多く用いられている。

MOCVDは化合物半導体の作製において、有機金属原料を用いる。
PH3(ホスフィン)など、毒性の極めて強い特殊高圧ガスを利用する為、
安全設計は重要である。

有機金属原料は、常温では液体・固体であるが飽和蒸気圧が高い為に、
H2やN2をキャリアガスとして用いて、
結晶成長に十分な量の成長用原料をガスとして、
安定した流量で成長基板に供給する事ができる。

原料ガスの混合により多元系の材料を形成する事が容易である。

 

◆イオン交換樹脂
イオン交換樹脂(いおんこうかんじゅし;ion exchange resin)

合成樹脂の一種で分子構造の一部にイオン基として電離する構造を持つ。
水などの溶媒中のイオンとイオン交換作用を示すが、
その挙動はイオンに対する選択性に従う。

イオン基の性質により、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に大別される。
イオン交換樹脂はその分子内に、
交換されるイオンを放出する基(例:スルホ基)を持つ。

一定量のイオン交換を行ったイオン交換樹脂はイオン交換能を失うが、
交換させるイオンを含む水溶液に浸漬することで
交換能力を再生することができる。

純水製造・海水淡水化・化学工業での物質精製などに用いられている。

イオン交換樹脂中の固定イオンと様々な溶液中の対立イオン(交換されるイオン)との
吸着の差を利用することによって、
溶液に含まれた各イオンを分離することができる。

 
◆熱可塑性エラストマ(thermoplastic elastomer)

ゴム的性質を持ちながらも射出成形などの溶融成形が可能な高分子材料。
ここでゴム的性質とは,ある荷重を材料に与えて変形した後,
荷重を取り去ると元の形に戻る性質(ゴム弾性)を指す。

熱可塑性エラストマの特異な性質は,
軟らかいゴム成分からなるソフトセグメント(軟質相)と
硬い樹脂成分からなるハードセグメント(硬質相)に分離している構造に由来する。

ソフトセグメントが軟らかく変形する性質を示し,
ハードセグメントが塑性変形を阻止(拘束)する。

この二つの働きによって,加硫ゴムと同様のゴム弾性を示す。

 

◆表面処理鋼板

鋼板の表面に耐食性に優れた材料を被覆し,
錆(さび)などの発生を防いでいるものを表面処理鋼板という。

自動車の車体向けでは,プレス成形したときに表面処理層が破れたり,
劣化したりしないことが求められる。

自動車向けの表面処理鋼板のほとんどは,
鉄よりもイオン化しやすい亜鉛のめっきを施したもの。
亜鉛の犠牲防食を利用する。亜鉛めっきの方法には2種類ある。

溶融している亜鉛浴に鋼板を漬けてめっきする方法と,電気めっきを行う方法である。

 

◆液晶ポリマ(liquid crystal polymer, LCP)

通常,溶融時に液晶状態になる熱可塑性樹脂を指す。
広義には,溶媒に溶けたときに液晶状態になるアラミドなども含まれる。

LCPの最大の特徴は,溶融時に通常の結晶性ポリマーが糸まり状に絡み合っているのに対して,
規則性を持っており,固化時にも基本的にはその構造が変わらないことである。
このために,収縮などの成形変化なしに分子が規則的な成形品が得られる。

結果として,高強度で高剛性,低収縮率,高流動性などの物性が得られる。
こうした溶融挙動から物性に異方性があることも大きな特徴で,
そうした挙動を知った上で使いこなす必要がある。

 

◆エンプラ

エンジニアリングプラスチックの略称である。

名付け親は米Du Pont社で,工業用途で成形体として使われるプラスチックをエンプラと呼ぶ。 
性能面では引っ張り強さ,曲げ弾性率,長期耐熱性が高い。

教えて知恵袋!化学の質問

2007-10-16 20:45:08 | 化学
暇なとき、某質問サイトで化学の質問に答えています。


◆なぜ零度に水は凍るのですか。
●ほぼすべての物質は気体液体固体の相変化があります。
物質の動かないぐらい小さな運動エネルギーの状態を温度が低いといいます。

◆気体はなぜ単体で存在できないのでしょうか?(H2やO2、N2など)
●分子のほうが電子を共有できてエネルギーが安定するからです。

◆アンモニウムイオンの構造を混成軌道の考えを使って説明せよ
●NH4のNが真ん中で四面体の頂点がHかなあ。

◆On the basic of their positions in the periodic table, select the atom with the larger atomic radius in each of the following pair
(a)Na,Cs (b)Be,Ba(c)N,Sb;(d)F,Br;(e)Ne,Xe
●原子半径は原子番号順に大きくなる、
最外殻電子が少ないと大きくなる、が原則。
ハロゲンや希ガスは小さい。
アルカリ金属は最外殻電子が1つだけだから、
遠くまで電子が飛びまわれるので、原子としては大きい。
↑なんだか自信がないや。
補足>周期表では同じ行なら原子番号順に小さくなりますね。
同じ列なら下のほうが大きいです。

◆金属と石の学問は、なんと言う学問に属するんですか?
●金属を学問するのは無機化学ですね。
宝石は酸化物の結晶です。
光や電気に対する反応が特殊な酸化物を研究するのは応用物理学です。

◆現在の科学の進歩での問題点は何でしょう?
●応用分野へのアイデアが足りないですね。
医学への応用を念頭にバイオと半導体技術を駆使したデバイス開発がホットです。
既存技術の高密度化には限界があります。新しい応用分野を見つけるのが鍵です。

◆金属に色を付ける事はできますか?塗料などで塗装するのではなく、金属そのものに。
●金属単体での色は固有の色です。
金や銅など一部を除いて皆アルミのような色だったと記憶してます。
金メッキで金色にすることは出来ます。
補足>アルミの陽極酸化膜について触れてある回答がありました。

◆溶けるということはどういうことですか??
●無機化学では同じ物質同士で固まっているより
水分子に取り囲まれたほうがエネルギーが安定する場合に溶けます。
有機化学では炭素が多い部分は疎水基で、OHが多い部分が親水基となります。

◆二つの物質の反応(反応速度)を予想する手段
●一般に、温度、濃度、流速などが上がれば反応は早くなります。

◆硫酸銅水溶液の電気分解で電極に銅を用いた場合、陽極での反応は『銅の方が水よりも電子を失いやすいので、陽極である銅が酸化される』と説明されました。“銅のほうが水よりも電子を失いやすい”のでしょうか?
●銅の電気精錬もしくは電気銅めっきを考えると、
理解しやすいでしょう。
陽極が銅なら、銅が金属からイオンとなり溶け出します。
一方、陰極では銅イオンから金属銅が析出し、銅めっきされます。
水素イオンは陰極に引き寄せられますが、
電子は銅に受け渡され、水素イオンの還元反応(水素ガス発生)は
起こりません。
陽極がカーボンや白金なら溶け出さないので
水が電気分解されて、電子が奪われ酸素ガスが発生です。

◆中和滴定によるビタミンCの濃度の決定について。
「果物の酸化を防ぐビタミンCの機能が、温度やpHで変化するか」
●果物の酸化を防ぐ機能を分析する実験より、
温度によってビタミンCの濃度が変わるかどうかの実験のほうが、
ラクにできそうですね。
ビタミンCは熱に弱く、分解してしまうので、
温度を上げていくと、ある温度から濃度が急減する・・・
みたいなレポートになりそうですね。
実験するなら、実験器具の準備と
手順をフローチャートに書いて準備するのが基本です。

>タイトル
>概要(ビタミンC濃度を滴定で調べた)
>背景(ビタミンCは健康に大切で食品添加物としても多用されている)
>理論
ビタミンCについて。
酸化還元について。
滴定について。
指示薬について。
>実験方法
濃度の分かる酸化剤を用意
ビタミンC溶液の一定量をはかり取る
中和定するためのガラス器具を用意
ガラス器具内部の洗い方に注意
指示薬の色が変わるときの酸化剤の量を測定
化学反応式を立てる
濃度計算する
>まとめ

◆磁石という物質の原理
磁石はなぜN極とS極があり、なぜ磁石という物質だけ、ひきつける引力のような力があるんだろう?
●金属原子は原子核の周りを電子が飛び回り取り囲んでいます。
原子核の重さや電子の数の違いが金属の種類そのものです。
電子のスピンの違いによって磁性を持つ、持たないという
それぞれの金属の特性が現れます。
磁性の強さや性質は金属の混ぜ方や微細な構造で変わります。
ハードディスク(HDD)は磁性を利用した代表的なデバイスです。

◆応速度定数の温度以外の依存性について
●温度だけでなく濃度でも変わりますよね。
つまりは、反応物質どおしの衝突頻度ではないでしょうか?
反応する場の流速にしても同じことだと思います。

◆超音波洗浄のコツ
●硝酸、硫酸と水の混合液をビーカー中に入れてラップでふたをして
周囲をお湯で浸して超音波洗浄をしますね。
30分ほどあてたあと、純水で内部をすすぎます。
そのあと、乾燥器にいれます。

◆最密充填構造を金属が多くとる理由を教えてください!!
金属原子を球で考えて結合に方向性がないことから
考えてみろと言われたのですが…
●金属の結晶構造と酸化物の結晶構造が例です。
金属結合方向の制約がないので、原子は自然に最密に充填される
結晶構造をとりやすいです。
テニスボールを並べて積み上げたときに最密になることと同じです。
一方、酸化物は結合しやすい方向があるという特徴があります。
合成した温度によって酸化物は結晶構造が変わり、
最密でない構造もとります。

◆TG-DTA測定の雰囲気を変えるメリットを教えてください。
●高温で進む化学反応のなかには雰囲気によって
反応する温度、生成速度や生成物が変わるものがあります。
空気中と酸素中とアルゴン中では反応が変わる可能性があるのです。
そうした雰囲気と化学反応の関係を調べるための実験として測定します。


◆ナノマシンは、どのように作られているんでしょうか?
●歯車などナノサイズの構造物が研究されています。
レジストといわれる有機薄膜に極めて細く絞った光で
微小な穴を歯車状にあけて、
その部分にだけ、金属薄膜を形成することで、
ナノサイズの歯車などを作製できます。

◆色と波長の疑問
●光と絵の具では色を混ぜたときの考え方が違います。
また、人間の目は波長計ではないことにも注意です。
発光する場合はその色を、
吸光する場合は補色を見ています。

◆励起光(吸光)と発光の波長の違いについて
●吸光は電子の軌道のエネルギー順位がひとつ上がるのに
対応して、ある波長の光が吸収されます。
発光は励起されたエネルギーが放出されて基底状態に戻る
ときに対応してると思います。

◆有機化合物の名前の付け方がわかりません。困っています。。
1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテンなど。
●骨格の炭素の数で、メ、エ、プロ、ブ、ペン、ヘキサ・・・
と頭の名前が決まります。
もっとも単純な例がメタン、エタン、プロパン…。
二重結合、三重結合があれば、語尾が変わります。
二重結合の位置によって1、2、とつけます。
端っこにあれば、1です。

超微細プリント配線

2007-09-22 11:57:49 | 化学
東工大の教授がプリント配線の線幅を100ナノメートル(0.1ミクロン)で作る技術を開発したと日経に載っていました。


一般的にプリント配線板は10から35ミクロンの厚さの銅箔を基板に貼り付けて不要部分を薬品で溶かして配線を作る。

不要部分を溶かすときにレジストと呼ばれる感光性樹脂を塗り、光で配線部分を硬くして、不要部分を溶かす。その溶けたレジストの下の銅箔を溶かして銅配線を作る。


電子機器の小型化のためプリント配線板も微細化が求められている。
が、従来の感光性樹脂を使った技術では溶かす薬品によって樹脂が膨張して細かい配線は作れなかった。

そこで東工大では細かな鋳型を押し当てる事で微細化を実現できるという。


どうやらスタンプ式らしい。
鋳型を作るのが難しいのではなくて、スタンプするときのゴムに当たる部分の高分子が金属ナノ粒子を透過させる特殊な高分子を用いるらしい。

実際には0.1ミクロンがすぐに実用化されないとおもう。

プリント配線板にはタフな性能が求められるからだ。熱や歪みや耐久性などをクリアするには現状の5ミクロン幅から微細化するために他にもいくつかクリアする課題があると思うよ。

簡単なネット検索程度の知識ではこの程度の解説が限界。


はあびばのんのん!


自由研究

2007-08-30 15:33:29 | 化学
小学6年生の夏休みの自由研究が出てきた。
リトマス試験紙を使って身のまわりの液体を酸性かアルカリ性か調べたものだ。
写真に示したが、単に色を見て判定したものを並べてあるだけだ。
このとき、まさか将来、大学で化学を専攻するとは思ってもみなかった。

意識はしてなかったけど化学に憧れがあったのかなあ。
色が変わるのが面白くて様々な液体を試験してた。けど考察が全くなかった。
タイトルと実験方法とまとめがあるのは、かろうじてレポートの形式を勉強した跡が見える。


やっぱり化学が好きだったのかなあ。


平成18年度弁理士試験論文式筆記試験・化学1

2007-08-15 20:27:52 | 化学
平成18年度弁理士試験論文式筆記試験・化学

1、水に関して
(1)水から氷になると体積が増える理由を述べよ。

水の分子は「くの字型」で、液体の水の時は液体内部で自由に動き回れる。
そのため、体積が最小になるように詰め込まれて体積が小さい。
一方、氷は規則的な結晶構造をとるため、水分子は自由に動けず、
結晶スケールでみて体積が増えた状態までしか詰め込まれない。
そのため、氷になると体積が増える。


これから、大学で化学を勉強した人の最低限の知識を問う問題を
解いていく。すこしずつ連載予定。

解答は、なにも調べず、分からないものはわからないまま。
間違えたものも間違えたまま。
かえって、一般の人にわかりやすい解説になると思います。


本当の正解例は別のページで探してください。



松下電池ガンバレ

2007-08-15 18:50:43 | 化学
松下製リチウムイオン電池のリコールだ。
ソニーの電池がリコールされたのが去年秋。
松下油断してたのかな?


回収費用は数百億円。

電池の卸価格は一個400円!



ずいぶん卸価格は安いんだね。

リチウムは電池向きの金属で軽くてパワーも高い。充電も出来るし使える時間も長い。


そのなかで、一番の課題は安全性だ。

電池の高い能力は危険性の裏返しだからだ。

リチウムは針状な表面になりやすく、ショートの原因になる。
針が伸びて向こう側に突き刺さってショートするからだ。


それを抑えるのが電池技術のカギだ。

技術で世界的に先行して成功していた松下の今回のリコールは深刻だ。

世界中の全てのリチウム電池には危険性があると疑っても間違いではない。


4600万個中の100例の異常は、つまり100万分の2で、2ppmだ。

無視出来ない数だ。が、安全性より機能を優先してきたのは消費者でもある。

危険性をあらかじめ周知させておけば、良かったのだろうか。



携帯に限らずありとあらゆる電子機器のリチウム電池を総点検すべきだ。


リチウム電池の安全性は本当に難しい課題だ。


松下電池さん、頑張ってください。

世界中が待っています。


アクリルスポンジ

2007-08-09 18:25:52 | 化学
ダイム誌で技術記事発見。
アクリル樹脂を溶かしてスポンジ状に作り替えるリサイクル技術を大阪大学の宇山浩教授が発見。


アクリル樹脂は70年の歴史がある古典的化学樹脂。

それが水とアルコール混合液に溶ける。アクリルを粉末化してから溶かす。粉末の粒の大きさは不明。
温めて溶けた液体を室温で放置すると0.3ミクロン(300ナノ)の粒子が連なる多孔体になる。
成形が自由なので吸着剤としても期待できる。

一言その1

溶けたのかなあ?粉末化で細かくなって、溶液にコロイド状になってるんじゃないかなあ。
まあ、理論は重要じゃないのかな。

その2

吸着剤として使うときの使用環境が狭いんじゃない?熱さや薬品に対して弱いと使いづらいんじゃ?

その3

リサイクル後のアクリルの用途を考えるのが、これから楽しみですね。


その4
アクリルだけじゃなくてあらゆる素材が似たような手法で多孔体スポンジ状になるんじゃないかな。
リサイクルと省資源って大事だからね。
その5
車のボディーがスポンジならへこまないのに!って思った。

では、
はあああびばのんのん。


知的財産検定1級

2007-07-08 21:02:40 | 化学
知的財産検定1級(特許)

知財検定1級(特許)、受験してきました。
名古屋では100人弱。女性はほとんどいない。
男性で、年配の人も多い。

問題は回収される。
公式問題集は1冊あるが、それ以外は1級対策本はない。

以下に今回の試験で問われたポイントを書くので、
次回知的財産検定受験の参考に、どうぞ。
わたしも、解けない問題多かったので、次回もチャレンジです。

●発明とは。…新圧縮技術でのデジカメ写真。
ピッチングマシンの投球法。
プログラムリスト。

●自然法則と特許
ビジネスモデル特許は、プログラムとシステムや装置がするので自然法則を利用する?

永久機関を含んでも全体で自然法則を利用する特許?

●国際用尽
海外で日本の正規の特許に則って作った製品を輸入?
商標の並行輸入と同じ?

●請求項・クレーム
拒絶査定されにくく、広くとれる請求項の書き方。
例)〓データベース〓記憶装置〓情報端末
これらの組み合わせ

●補正
図面にはあるが、明細書にはっきりと書かなかった内容を
補正してクレームに加える。
例)音声案内と書いたものをスピーカーと補正。

●進歩性の審査基準
引用文献に、めっき浴において鉄より電位の高い金属の例があり、
例示されていない鉛をめっき浴に添加するクレーム。

●共同出願
片方が事業から撤退。拒絶不服審判、無効審決取消を片方だけでできるか。
共同で行う必要があるか。

●出願審査請求
出願から何年目までできるか?
13年10月の法改正前後でどう変わる?

●拒絶理由通知
最初の通知のあと、来る通知は?
最後?、最初?、拒絶?、特許?

●補正が出来る範囲
「表示画面」を「液晶表示画面」に変える補正。
当業者にとってどのような変え方なら許される?
拒絶理由通知で不明瞭と指摘されたとき?

●学会と出願
自分の学会発表のあと、他人が先に出願した場合。
予稿集の出版された日が基準?

●公知
CD-ROMが図書館にある場合。

●海外特許事情に13問ほど。
アメリカ、中国、韓国。
国内優先権、パリ条約、国際特許。
ISOとISR、申請コストについて。取下げ擬制。
日本で特許出願後、予定外にアメリカで出願すると起こりうる拒絶理由。(日本での発売、新聞発表)
韓国で英語で特許を申請。

●中小企業の審査請求の費用補助
人数と研究費の割合。

●中国での弁理士事情
訴訟は?、弁護士は?、中国法での損害賠償の時効は?
侵害の警告書。無償の通常実施権。

●英訳
consist、means。

●アメリカ特許
再考、特許庁長官、限定、petition。

●侵害の補償
10年さかのぼれるか?

●損害賠償と差し止め。
特許登録されてから?
いつから請求できる?
不当利得は?

●分割
分割して片方を実用新案または、意匠に変える

●侵害
ライセンス相当料×他社の売り上げ数

●有効成分Xをつくる材料A
Aの納入業者が他社にも納入して、他社が特許侵害した場合。
Aが「にのみ」?、均等論?

●特許侵害の警告書を受けた時の対応
ライセンス交渉、規格変更、
例)PCのヘルプ機能がワープロのヘルプと同じ。

●特許評価法
キャッシュフロー法、インカム、コスト、マーケットアプローチ

●キャッシュフローの割引率
技術の陳腐化。基本技術。

●職務発明
会社に譲る規約、
相当の対価の交渉。

●営業秘密管理指針(経済産業省)
企業のやるべきこと。
罰則は法人?個人?

覚えてるのは以上。
60問を180分で。かなり時間が余った。
問題文を読む力が浅いのか?

お疲れさまでした。




知財と国際社会

2007-05-24 17:58:10 | 化学
アメリカの知財政策で世界中に知財を厳格に守らせる動きがある。
中国のディズニーもどきならまだ簡単だが、タイのエイズ薬はどう考えるべきか?アメリカの高い薬が買えない貧しい国の人々は死ぬしかないのか?


知財の田村先生の意見では、一元的な知財保護を強制するべきではないという。
国にはそれぞれ事情があり、知財よりも大切なこともある。
知財とは創作や発明を奨励する仕掛けで、国によっては、ないならないでいいのだ。発明のただ乗りだから良くないのだが、アメリカや日本が発明や創作を一切しなくなる訳じゃない。だから、国の事情を優先してもいい。もちろんアメリカや日本は当然知財は守る立場だけどね。

新聞やマスコミの報道は、ちょっと問題の理解が浅いように思いました。

えらそうな事言いましたが、単なる受け売りです。