ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

教授とランチ

2006年12月13日 | 日々の出来事

 ケネディスクールの授業が教授と学生、あるいは学生同士の議論に基づく「対話式」であることは既に紹介しましたが、こうした双方向の関係を創る機会は教室内だけではもちろんありません。

 「Take a Faculty Member to Lunch Program」は、こうした機会を創るために大学が提供するプログラムの一つです。内容は読んで字のごとく。「教授をランチに連れて行こうプログラム」です。Dean(校長)のオフィスが特別の予算を持っていて、学生が教授とのランチを企画すると、教授を含めて最大8名分、一人8ドルまで大学から補助が出るわけです。手続きはいたって簡単で、レストランでもらったレシートを持って一週間以内に事務所へ行き、フォームに記入するだけ。

 僕は、この制度が学期の初めに全学生に対してメールで告知された時から、使おう、使おう、とずっと思っていたのですが、現実はそんなに甘くなく、学期中はピザにかぶりつきながら、次の授業の予習や宿題をこなすといった「自転車操業」であり、教授を昼食に招待するどころか、自分の昼食時間を確保することすらままならなかったため、中々企画出来ないでいました。

 と言う訳で、今日、期末試験勉強の気分転換もかねて、このブログでも、「日本を題材にしたケーススタディ」の中で紹介したComparative Politics(比較政治)でお世話になったPepper Culpepper教授とカナダ人のクラスメートの三人で昼食に繰り出しました。

 教授は廊下ですれ違うと、必ず笑顔で声をかけてくれる気さくな方で、学生からの意見を引き出しながら議論を進めるスタイルを徹底しているほか、約30名ほどいた学生の名前を一瞬にして暗記したことには驚かされました。今回も、期末試験の採点等で忙しい中、約1時間半にわたって時間を割いてくれ、僕達のこれからのビジョンや授業の感想、そして教授が来年、「敵対的買収の増加に伴う日本の企業文化の変遷」というテーマについて研究すべく日本に渡ることもあり、日本やカナダの政治や経済の現状について語り合いまいた。

 Culpepper教授によると、コースを通じての大きな狙いの一つは、留学生の意見や経験を最大限引き出しながら、アメリカ人の学生に対して、「アメリカの民主主義は世界的に見て極めて異質なものである」ということ、そして、「政治体制の機能は、その国の社会的背景によって大きく変わりうる」という二点について認識を深めてもらうということでした。留学生がアメリカ的なものの見方や考え方について影響を受けることが多い中で、このクラスに関しては、ベクトルが逆向きに作用するようデザインされているということでしょうか。

 確かに、アメリカ型の民主主義、即ち、極めて限定された大統領および連邦政府の権限、厳格な三権分立体制、ロビースト等が政策を売り込むPluralism(多元主義)的な政策決定プロセスを民主主義のスタンダードだと捉え、また民主主義の確立自体が目的であると半ば無意識に信じているように見える普段饒舌な多くのアメリカ人学生が、授業中に目をパチクリさせたり、教授やクラスメートからの突っ込みにしどろもどろになっている風景がこのクラスでは希ではありませんでした。

 また、今回のランチでは、なぜ教授が比較政治の分野、更にはフランスを専門にするに至ったか等、個人的なお話をうかがうことも出来、無理をしてでも学期の初めに誘っておけば、もっと授業の楽しみが深まったかも知れない、とまたまた悶々とした気分になってしまいました。

 最近、柄にもなく「こうしておけばよかった」、「こう出来たのではないか」と悩むことが多いですが、まぁ、その時その時で一生懸命やった結果なのだし、自分の力量の小ささは、来学期以降に少しずつ挽回していこうと自分に言い聞かせています。

 それにしても今日は暑い!通常ならば、12月のボストンで暑い訳がないのですが、今日はまた何故か気温が17度くらいまで上がる秋日和。こんな感じで、最近「三寒四温」の不安定な気温が続きますが、期末試験終了まで残り5日間。最後の直線。最後までしっかり駆け抜けよう!と、闘志を新たに家に戻ってきたら・・・

     

 またNemo!が可愛く出迎えるのです。

  ウゥ。

   固い闘志がトロケテイク。。。

    試験直前期にこの可愛らしさは本当に反則でしょう(涙)


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