久しぶりの名古屋。目的は松坂屋本店南館7階で開催(8/1-9/13)されている『レオナール・フジタ展 よみがえる幻の壁画たち』を観るため。
同展オフィシャルサイトによると、「エコール・ド・パリの寵児として20世紀のフランスで才能を開花させた藤田嗣治(1886~1968)は、「素晴らしき乳白色の地」による裸婦像でその名声を確立しました。一時帰国した戦時中は日本洋画壇の中心的役割を果たしますが、戦後は再び日本を離れ、フランスに帰化。キリスト教の洗礼を受けてレオナールと名を改めたフジタは、故国日本に戻ることなくこの世を去りました。」とあります。
また、本展の見どころとしては、「初期からスタイルの確立まで、そして幻の群像大作の全容を紹介するとともに、晩年のアトリエ・フジタからランスの「平和の聖母礼拝堂」へとつながる一連の宗教画も紹介し、フランス人レオナール・フジタとしての実像を明らかにします。」とあります。
さらに3つの見どころとして
1.大画面と群像表現、「大作」への挑戦
2.今も当時のまま残るアトリエ・フジタを再現
3.フジタ、魂の昇華「平和の聖母礼拝堂」
を挙げています。
「大作」とは、「構図」の連作2点、そしてこの「構図」と対をなす「争闘」の連作2点(日本初公開)のこと。解説によると、アトリエに無造作にキャンバスの状態で丸めて(たたまれて、だったかな?)置かれており、発見した人がビックリしたとのこと。実際には保存状態が悪く、シミや絵の具のはがれがひどかったようで、フランスの国家プロジェクトとして最高の技術者たちが6年の歳月をかけて修復したとのこと。実際に見たところ、全く修復の後がわからず、つい先日描き終わったかのような仕上がりでした。合計4枚の大作はそれぞれが3x3m、見ていて圧倒されます。
アトリエ・フジタはフジタがたまたま見つけた田舎の廃屋を買ってリフォームした建物のなかのアトリエ。キリスト教に帰依したフジタらしく、壁にキリストの絵が描かれています。なお、フジタは絵画以外でも手先が器用で、家具類や焼き物も自分で作ったほか、アトリエの精密な模型も作っていて、私はそこが一番ビックリしてしまいました。
「平和の聖母礼拝堂」は建物内部を覆うフレスコ画、ステンドグラスはもとより、細部にいたるまでフジタ自ら装飾を手掛けています。さすがに礼拝堂そのものを持ってくることはできないので、ステンドグラス(のレプリカ)やフレスコ画の原寸下絵などが豊富に展示されていました。礼拝堂のビデオが放映されていましたが、一度見に行きたくなるような造りでした。
私が印象的に思ったのは、フジタが名声を確立した「素晴らしき乳白色の地」の頃の横たわる裸婦のデッサンと「二人の友達」というタイトルの2人の裸婦像。透明感のある描写が良いと思いました。
また、コックさんや外科医など職業ごとに描いている小さい絵の集合体は、人物が全て子どもなのですが、妙にませているような冷めているような表情が面白かったです。絵画というよりはイラストレーションといった方がいいような絵です。
フジタは焼き物も自分で作っていましたが、会場を出たところのミュージアムショップではフジタデザインの猫の絵の小皿5枚セットは同氏デザインの木箱入りで5,000円で売っていました。これは欲しかったのですが、自宅には使い切れないほどの食器(どれもガラクタですが)が山のようにあるので、購入は諦めましたが(笑)。
そんなわけで、まぁまぁ面白い展示会でした。
ご参考:同展スペシャルサイト(http://leonardfoujita.jp/)
なお、ネット上で200円の割引券がプリントできます。 |