白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日の指導碁

2016年04月13日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
明日はいよいよ皆様が待ち望んだ大一番ですね。
井山七冠誕生なるか、伊田十段意地を見せるか!
正直な所自分の対局よりも気になっています(笑)

さて、
本日の題材も五反田での指導碁です。
今回は6子局です。



黒は白3に対して小考、ボウシではなく1路手前の黒4と打ちました。
こういう手はどの本にも載っていないでしょう。
しかし序盤は1局の中でも最も自由な時間ですから、打ちたい手を打って頂いて良いのです。
アマの方がご自身で工夫されて打たれると、嬉しくなりますね。
黒10まで堂々の布陣です。



手数が進んでこのような場面になりました。
白が切るぞと言っていますが、どうしますか?





ツギは素直ですが、白2のブツカリを利かされるのが悔しい所です。
目を作る余地ができるため、白が楽になってしまいます。
黒も白の狙いを察し、ブツカリを打たせたくないと考えました。
そこまでは素晴らしかったのですが・・・





黒1!これが打ってはいけない手でした。
余計な手出しをしてしまう、これを私はいたずらをすると呼んでいます(笑)
いたずらの結果黒3の急所は打てたものの、白4と切られてしまいました。
切られれば黒9以下と逃げ出すしかなく、その間に白に中央でのさばられてしまいました。





ここは黙って黒1の急所に打っておけば良かったのです。
白2と切るわけにはいけません。



白も2と打っても空き三角になりますから、打たないところです。
後手を引いてしまい、黒5とかぶせられては終わりです。
相手が打たない白2の地点に打ってしまったというのが、いたずらである所以です。





結局白2と打つぐらいですが、黒3でしっかりつながることができます。
黒5と打てば白6と打たなければいけませんから(同点に打たれると取られる)、先手で生きも確保できます。
すると黒7のような攻めも安心して打てます。
白14までと切られても、黒は生きているので何の心配もありません。
続けて△の切りなども気になりますが、寛大な心で許して差し上げて黒17。
こんなことになったら白は投了したくなりますね。
黒、大勝です。

たった1手のいたずらで天国から地獄へ、という一局でした。
皆様、いたずらにはお気を付けください!