白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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オープン初日

2016年04月11日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
五反田の指導碁教室がオープンしました。
また、お祝いのお花も頂きました。
ありがとうございます!


他にも1人目のお客様、1人目の会員など、嬉しい事が多い1日でした。
これからも頑張っていきたいと思います。

さて、今日は私の指導方針についてのお話をしたいと思います。
私は棋士になってから5000~6000局ほど指導碁を打ってきました。
それだけ打ってきた中でわかったことは、プロから見て最善の手を教えるのが良い指導法とは限らないということです。
本日の指導碁を題材に、具体的に見てみましょう。



2子局です。
白に3子アタリにされた場面、黒はどうしますか?




実戦は3子を捨て、黒1、3と安全を確保しました。
その代わり3子を取った白は猛烈に厚くなり、白8までと攻めを開始しました。
上辺の黒もまだ生きていないため、三方絡みの可能性もあります。




3子は助けるべきでした。
白2と目を取りに来ても、黒9までと打っているぐらいでも逆に白の薄みを狙うことができます。
また、いざとなれば左辺黒11、13と打っていつでも生きられます。
勝負所ではゆるまず、しっかりと読み切るように心がけましょう。

・・・というのがこの方への局後の指導でした。
2子で対局されるぐらいですし、この方には読みの力があるという判断がありました。
しかし、もしも読み切る力が無い方だったらどうなるでしょうか?




仮にプロから見て正解の黒1を打ったとして、白12までと死んでしまった・・・。
こういったことはよくあることです。
この場合の指導は、3子に拘ったのが失敗で最初の図のように大石を守っておくべきだった、ということになります。
正反対の教え方になっていますね。
いきなり最善を身に付けられる見込みがないのに頑張れ頑張れと教えるのは意味がありません。
むしろ無理をする癖がついてしまう恐れがあります。
最善の指導は、一人一人の棋力や棋風によって違ってくるものです。

皆さんもご自身で勉強される時はそのあたりに気を使って頂けると良いかと思います。
例えばプロの棋譜並べにしても、世界戦の激しい碁は意味がわからない、という方は無理に並べる必要はありません。
国内の穏やかな碁の方が身に付きやすいのであれば、そちらを並べるべきです。
詰碁が苦手な方が無理にぎりぎりの難易度の問題ばかりやっていれば、ますます詰碁が嫌になってくるでしょう。
難易度を下げて楽に解くようにすれば、逆に詰碁が楽しくなってくることもあるでしょう。
ぜひ皆様それぞれの最善の勉強法を見つけて頂きたいと思います。