白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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幽霊の正体見たり枯れ尾花

2016年04月19日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
明日は十段戦第4局が行われます。
井山七冠誕生か、伊田十段連勝で逆王手をかけるか!?
対局は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されます。
また、市ヶ谷の日本棋院でも大盤解説が行われます。
皆様、ぜひご来場ください。

さて、本日は指導碁が題材です。
今回は4子局です。



白△と受けた場面、黒番です。
どこへ向かいますか?





実戦は白の手に釣られて黒1と受けてしまいました。
白2と入られて右辺の黒が苦しくなっています。
黒3、5と捨てましたが、4子の置碁としては白に随分大きな顔をされています。




今一番弱い石は右辺の黒石です。
よって黒1と守るのが正解です。
白2と来られても、黒3、5と応じていて何事もありません。
白がのんびり1目を取っている間に、さらに黒7などと先行してしまいます。





右下の黒は万が一白△のように完璧に封鎖されたとしても、黒1で中に1眼作って簡単に生きることができます。
既に右下隅にも1眼確保しているので、100%生きています。


2つ目の図で黒1と受けてしまったのは、右下の黒が攻められるという「幽霊」を怖がったのが原因でした。
石の強弱判断の基準として最も重要なものは、眼の有無です。
なんとなく取り囲まれていて心配になる、といった事は皆さんよくあると思います。
しかしそこで慌てずに、眼形があるかどうかを確認する癖をつけて頂きたい所です。
それができるかできないかが有段者と高段者の境目になるでしょう。