白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日の対局

2016年04月14日 23時59分59秒 | 対局
世紀の大一番、伊田十段が踏ん張りましたね。
伊田十段が序盤でリード、その後井山さんの粘りで勝負に持ち込まれるも、なんとか逃げ切りという印象でした。
伊田十段の碁は独特です。
今回の対局、中盤以降の打ち方は棋士の間ではかなり評判が悪かったです。
しかし結果は勝っているのですから、我々とは違う世界が見えているのかもしれません。
4月20日(水)の第4局がどうなるか、楽しみです。
さて、本日の題材は裏で細々と行われた私の対局です。



黒は鈴木伸二六段、ここで白番です。
どういう構想を描きますか?





右辺が気になって白1を打たれる方、結構多いかもしれません。
失格です(笑)
白3と打っても黒にひびかず、黒4となっては下辺のスケールが大幅にダウンしました。
この碁黒が遠慮気味に14までと進めてみますと、もう白は勝てません。
プロ同士なら勝負は終わりと言って良いでしょう。



信用できない方のために、ざっと境界線を引いた上で地を示してみました。
黒地が×、白地が△です。
1分ぐらいで作った図なのでちょっと雑ですが、当ブログはプロ向けではないので問題ありません(笑)
この図ですと黒地49目、白地36目ということになります。
右辺の2間開きは、攻めの対象になるので地とは見られません。
おまけして0目という所ですね。
序盤からこれだけの差になってしまうのは、それだけ右辺がつまらない場所だったということです。





白1カケというのは厳しい手で、ちょっと打ってみたくもあります。
しかし黒16までの進行が予想され、多くの白石が右辺に向かってしまうのが気分の良くない所です。
よってこれも廃案としました。





ストレートに押し切っていきました。
左下に白の勢力があり、これを生かして下辺一帯の白模様を拡大するべき所です。
黒16と切ってきても構わず模様を拡大し、白のスケールの方がはるかに大きいでしょう。





実戦は黒1と突入して、戦いになりました。
この戦いで優位に立ちましたが、終盤が拙くて勝ちきれませんでした。
若手は終盤が正確です。