白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日の対局

2016年04月21日 19時55分26秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は対局でした。
私の黒番、白は大森泰志八段です。



白△と打たれた場面です。
黒、どういう作戦を立てますか?




1は堂々のトビです。
しかし白6までとなると、黒は窮屈な姿です。
右側で上下の白がつながってしまっているのもマイナス材料です。




黒1のコスミはどうでしょうか。
これに対しては白2がぴったりです。
白6までとなると、やはり前図と大差ありません。
黒は一方的に攻められてしまうでしょう。




盤面全体を見渡してみると、黒は3隅を確保して地が多い状況です。
その分白は辺や中央に石数が多く、あまり堂々と戦うのは考え物です。
少しでも早く逃げることを考えました。
実戦は黒1とケイマに打ちました。
2子との連絡は手薄になりますが、必ずしも助けることには拘りません。
いざとなったらいつでも捨てようという、所謂「軽い」打ち方です。
拘りを捨てているため、動き方に制約がありません。




白1なら黒2と逃げ、次にAとBを見合いにします。
黒Cの反撃も狙えそうです。
一歩早く逃げている効果です。




実戦は白1と薄みを狙ってきましたが、構わず黒4、6と軽快に動きました。
上下の白がつながっていないため、後に黒Aの分断なども狙えそうです。
悪くない展開かと思っていましたが、実はミスを犯していました。
それについては後述します。




ここで白1などと取りに来るのは大歓迎です。
処分して黒4に回り、左辺がぺちゃんこです。




実戦はこのように進みました。
早く切り上げて他に回りたいのですが、中央が心配です。




黒1あたりを急ぎたいのですが、白2が気になります。
仮に白10までとなると、中央の黒が攻められそうです。
実は黒△とノゾいて白△とつながせたのが大悪手でした。




もしノゾキを打っていなかったら、黒7の割り込みがあります。
黒13の切りが入り、黒15と動いて捕まらない形です。
黒Aのハネ出しもあり、厳しい狙いです。
こんな手があっては中央の黒を攻めるどころではなくなってくるでしょう。

前図黒△のようなノゾキは、一種のいたずら
です。
アマの皆様にはいつもいたずらをしてはいけないと指導していますが、私もまだまだです(笑)
いたずらが災いして苦戦しましたが、最後はなんとか半目勝ちでした。

来週は林海峰名誉天元との対局です。
日本棋院ネット対局「幽玄の間」にて中継予定です。
よろしければご覧ください。