第15回ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス(小樽ヴィオラマスタークラス2019)を振り返る-その1- の投稿で、「最後の小樽ヴィオラマスタークラスは、昨年までの成功に満足することなく、次なる夢、より高い目標に挑戦する今井信子さんのエネルギーは増すばかりで、とてつもない内容の企画となりました。」と書いたが、そのとてつもない内容とは、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」をヴィオラを中心とした器楽アンサンブルとマイムパフォーマンスで表現しようという企画、いわゆるグランドフィナーレ「ドン・ジョヴァンニ」のことです。「ドン・ジョヴァンニ」はモーツァルトのオペラブッファの最高傑作のひとつで、プラハで大ヒットした「フィガロの結婚」の後、プラハのエステート劇場の依頼を受けて「フィガロの結婚」同様ダ・ポンテの台本で作曲され、1787年モーツァルトの指揮で初演されました。
当日私はビデオカメラでゲネプロと本番を収録しました。舞台中央で演奏する演奏家が場面が変わるごとに入れ替る。舞台後方に自分の出番を待つ演奏家が椅子に座って待機する。場面によって、舞台の左右に演奏家が登場して演奏する。舞台では2人のマイムパフォーマーすなわち男性パフォーマー(ドン・ジョヴァンニ)と女性パフォーマー(ドンナ・エルヴィーラ、ツェルリーナ、ドンナ・アンナ、)が舞台ところ狭しと動きまわり、オペラのストーリーを表現します。
今井信子さんは、小樽ヴィオラマスタークラスで、歌曲の最高傑作と言われるシューベルトの歌曲集「冬の旅」ヴィオラによる全曲演奏(声楽同様ピアノ伴奏で詩の朗読付き)、バロック・スペシャリスト大槻晃士のバッハ塾開講(5年目となる今年も2回のバッハ塾が開かれました)、バルトークの民族音楽(44の二重奏曲)、ヴィヴァルディとピアソラのフォーシーズンズコンサート等に挑戦してやり遂げてきましたが、いよいよ最後はオペラというとてつもない高い目標というかなかなか思いつかないというか、思いついてもしり込みしてしまいそうな目標に照準をあてました。その結果小早川麻美子さんの編曲によるヴィオラを中心とする器楽アンサンブルとマイムパフォ-マンスとなったようです。この1年間の編曲作業で、小早川麻美子さんの目はほとんど潰れかけたに違いないと思います。編曲が完成したのが1月に入ってからで、その後も直し入れたというから、演奏家も14日の本番まで大変だったことであろう。今井信子さんと協議しながら企画・運営に奔走する小樽ヴィオラマスタークラス実行委員会代表高野るみさんが「もうこれ以上無理よ!」と弱音をはいたこともあったとか。しかしながら、決めたら躊躇することなくやりき切る覚悟の今井信子さんのわいわいがやがやお祭り騒ぎに載せられて全員動き出して、結局14日小樽市民センター・マリンホールで開催されたグランドフィナーレ「ドン・ジョヴァンニ」は会場の聴衆の熱狂的な拍手を浴びて無事終了しました。