トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

井戸工事で起こるお客さんとのトラブル

2012年07月30日 | 日記
井戸工事に起こるトラブルはいろいろありますが、

工事そのものより、お客さんと揉めるトラブルに泣かされることがあります。


一般家庭用の井戸は通常、浅井戸がほとんどです。

約8m~12m位の掘削で、地上式ポンプを取り付けます。

このような小規模の井戸は、30万円~40万円くらいが相場と思います。


しかし、地下水が深い地域はこのような金額ではできません。

地質的に、水の出にくい地域の方には、それなりの説明をします。

高額な金額がかかるため、工事をお断りすることもあります。

どうしても確認したい場合は、調査ボーリングをします。


ところが・・・

調査結果で、浅いところに水がなく「井戸が出来ないです」と答えると、

「水も出ないのに、お金は出せない」と言って調査代金を拒む人がいます。

正直、結構いるんですよね。


「あなたはプロの井戸屋さんでしょ?」って・・・

はっきり言って、浅井戸で水が出るか出ないか100%判断できる井戸屋はいません。

それぞれの地域の井戸屋さんは、経験と実績で判断をします。

また、地形や地層の分布などのデーターもよく知っています。

しかし、地層の入り組んだような所では判断できない事も多々あります。

掘って確認しなければ分からない所もあるんですよね。


それが・・・

期待が外れると、人が変わったように無愛想になって怒り出すんです。


以前にも書き込みましたが、

水が出れば腕の良い井戸屋さん。水が出なければ腕の悪い井戸屋さん。

こんな風に思われては、井戸屋として悲しくなります。


井戸水は、深く掘れば必ず出ます。

しかし、工事代金が莫大にかかります。

家庭用の浅井戸は、どこでも出来るわけではありません。


井戸業者の方は、詳しい説明をするはずです。


「家の周りは田んぼが多い」「近くに川が流れている」

「山から湧水が出ている」「この辺は水が出ると人から聞いた」

こういうのを根拠に地下水が出やすいと思い込まないでください。


参考にはなりますが、だからと言って浅井戸が出来るとは限りません。


自分勝手に判断せず、業者の方の説明を聞き、

納得のいく条件で工事を依頼される事を願います。


井戸工事の金額・格安井戸とは・・・

2012年07月29日 | 日記
井戸を掘りたいと考える場合、

井戸掘りにかかる金額が一番気になる事だと思います。

安い金額で井戸を掘り、飲める井戸水が出れば最高ですよね。


井戸工事にかかる金額は、人それぞれに大きな誤差があります。

家庭用井戸、ポンプ込みで一式30万円!・・・という広告に、

安い!と思う人もいれば、高い!という人もいます。


さて、世間には様々な業者がいます。

何でもかんでも安くすることを考える業者

高くても高品質を考える業者

あなたはどちらを選択しますか?

「高品質で安く」・・・これが一番でしょうね。


私は、家庭用井戸は電動ポンプを含んで一式15万円で工事を受けています。

もちろん、極限られた一部の地域のみですが・・・

この金額は、日本一安いのではないかと思います。
(ひょっとしてもっと安くやる業者がいるかもしれません)

なぜ安いのか?

それは、経費を安く抑え、長年の経験と技により実現しています。


井戸は、深く掘ると金額が高くなると思う人がほとんどですが、

深さだけで金額が変わるわけではありません。


砂や粘土を掘ることは比較的簡単です。

しかし、砂利や大きな玉石が出てくると、作業効率は悪くなり、

掘削資材の消耗も激しくなります。


細い穴を掘るのは簡単で、掘り出す土の量も少ないです。

太い穴になれば、掘り出す土の量も多く大変です。

例えば、直径6cmで10m掘ると、掘った土の体積は約27L分です。

直径12cmで掘れば、掘った土の体積は約110L分です。

と、いうことは、直径が2倍でも体積は4倍になります。


このようなことから、井戸の金額は大きく変わってくるのです。


私の工事の実例として、

10mの掘削φ40仕上げ、地上式ポンプ付きで、一式15万円

20mの掘削φ100仕上げ、水中式ポンプ付きで、一式120万円


この金額を見て、みなさんはどう思いますか?

10mの井戸が15万円で出来た。

20mの井戸が120万円もかかった。

井戸の深さと金額だけを考えれば、ものすごい差になりますが、

それには、それなりの理由があるわけです。

1日で終わる工事もあれば、1週間かかる工事もある。

消耗品がほとんどない事もあれば、何十万円もの消耗品がいる現場もある。


井戸工事とは、掘削する大きさ、深さ、地質、消耗品、などによって

大きく金額が変わります。

どこの地域でも同じ条件で掘ることはできません。

ここは20万円でできるが、50m離れた場所では50万円かかる

といったことも、珍しい話ではありません。


井戸掘りは結構なお金がかかります。

しっかりと業者を見極めて依頼しましょう。


最近、簡易的な簡単な井戸掘りをして、本業の工事店と同じくらいの金額で

井戸掘りをやっている人が増えているようです。

工事を発注するときは、後々のメンテナンスや保証など、

きちんとしている業者を選ぶことをお勧めします。







ザンジバルの井戸が直りました

2012年07月28日 | 日記

世界の子どもがSOS・仕事人バンク☆マチャアキJAPAN7

アフリカ・タンザニア「ザンジバル」ドンゲ村


先日、井戸の水が出なくなったと現地から連絡を受けました。

ロケ中にお世話になった、現地在住の日本人通訳の方と、

青年海外協力の方のおかげで、トラブルも解消できました。


メールにて、修復できたポンプの写真も送られてきました。

井戸掘りを手伝ってくれた、2番弟子の「アブダラ君」が写っています。


ポンプ周りの床が赤土で汚れていますね。

多くの村人が次から次に井戸を利用しているのが伺えます。


井戸が直り、本当に良かったです。

ザンジバルで掘った井戸が故障?

2012年07月27日 | 日記
2012年3月18日に放送された

世界の子どもがSOS・仕事人バンク☆マチャアキJAPAN7

アフリカ・タンザニア「ザンジバル」ドンゲ村

あの村人と掘った井戸が故障したと連絡を受けました。

完成して5ヶ月あまりしか経ってないのに水が出なくなった。

村人にことを考えると、いてもたってもいられない心境になりました。


連絡をしてきたのは、現地在住の日本人の方で、

井戸掘りロケで、通訳や準備に貢献してくれた女性の方です。

連絡はメールで届きました。

連絡を受け、すぐにテレビ局(制作会社)に連絡。

テレビ局側は「対応を検討する」と言ってくれました。


しかし、現地では井戸水が出なくなって村人は困っています。

一刻も早く復旧作業をしなければなりません。


ロケ中に知り合った、青年海外協力のボランティアの日本人男性も協力してくれて、

井戸そのものの水が枯れたとかではなく、ポンプの故障が原因ではと・・・

あの井戸を掘ったのは乾季の時期、だから今は水位が上がっているはず。


だから、私もポンプの故障と直感しました。


ポンプの故障となる2つの問題点を伝えました。

すると、やはり地中ピストンから水が上がってくるパイプの接続部分の切断

と、原因が分かりました。


修理は街の業者によって完了し、水が出たと国際電話で聞かされました。

ポンプのトラブルまでは村人では修理が出来ず、

意外なところに盲点があったな~、と、思いました。


村人2500人が使用する井戸。

現地通訳の女性の方も、そして私たち井戸掘りスタッフメンバーも、

「掘って終わり」ではなく、井戸に対しての責任をもっています。


今回は、現地にいる方の迅速な対応によって早期解決できました。

本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


ザンジバルは遠く、なかなか行くことができませんが、

今後、私自身も個人的に支援し、また行こうと考えています。




自噴井戸・湧水の原理

2012年07月21日 | 日記
時々、お客様から「自噴井戸を掘って欲しい」と依頼があります。

笑っちゃいけないですが、私も掘ってみたいです。


確かに、今まで数多くの井戸を掘っていると、自噴する事があります。

正直、めったに自噴することはありません。


地下水には、一番表層に近い不圧水というものがあります。

これは主に、雨など地表から地面に浸透した水です。

この水は、自噴することはありません。

しかし、この浸透水が流れて行き、やがて何処かで自噴することがあります。


平野部の、浸透水は自噴しません。

標高の高いところで浸透した雨水が、地下を流れて下って行きます。

流れていく地下水が、下流の水を通さない不透水層に行く手を阻まれると、

水は行き場を失い、地下にどんどん水が溜まっていきます。

水が溜まって行けば、当然圧力がかかってきます。

こうした、帯水層に圧力がかかった水を「被圧水」といいます。


この圧力が、地表面を超す以上にかかってると水は自噴します。


盆地などは、周囲が山なので地下水が湖のように溜まっています。

その帯水層の上に粘土層が乗っていると、その重みで圧力がかかります。

その圧力によって帯水層の水が自噴することもあります。


つまり、自動的に自噴しているのではなく、

水が逃げ場所を失い、圧力に押され吹き出すのです。

山の斜面を流れる水が岩盤の亀裂を流れ、やがて麓の表土をぶち抜き

吹き出すこともよくあります。

まだまだ、自噴する要因はいろいろあり、すべては説明できませんが、

自噴には、このような水の流れる行き場所により、

地面から吹き出す現象が起こるのです。


ですから、どこでも自噴井戸を掘れるというものではありません。