トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

井戸水が出る理由と井戸工事

2012年07月16日 | 日記
井戸に詳しい人は別として、

自分勝手に井戸というものを変に想像している人が多いようです。

「周囲には田んぼが多い」
「家の近くに川が流れている」

こんな状況だけで井戸水が出るという判断はできません。

田んぼの水や、川の水を井戸から汲み上げると思っているのかな?


基本的に、何処を掘っても地下水は存在すると言っても過言ではありません。

ただ、どんな深さに存在するか?どれだけの水量が確保できるかです。

お金の計算が関係ない人は、深く掘って水を出せば良いでしょう。


でも、一般の人は安く井戸を掘ってもらいたいのが現状です。


一般家庭の井戸は通常、地上式のポンプを使用します。

ジェットポンプなどを省き、地上式ポンプは大気圧の関係で
8mまでの深さまでしか吸い上げれません。

正確に言うと、約10m迄です。


それ以上の深さになると、水中ポンプやジェットポンプなどを使用するので
井戸も太いパイプを入れるために、工事金額が急に高くなります。

ここで話は変わりますが、

土層に含まれる水分、つまり含水量はどれくらいあるか御存じですか?

通常の砂や砂利層には、約30%の水分が含まれています。

粘土には、なんと70%の水が含まれています。


じゃ、粘土の方が井戸水を出しやすいのか?

答えは、NO!です。


井戸水が豊富に汲み出せるのは透水率なんですよ。

粘土の水分は70%であっても、保水しているので水は染み出てきません。


濡れたタオルを強く絞っても100%水が出てきませんよね。

土も同じなのです。

井戸は、その条件に満たさなければなりません。


先ず、

地下水位はどこの位置か?

水を通しやすい、砂や砂利層があるのか?

それが、比較的浅い位置にあるのか?

この事が分からないと、家庭用の浅井戸が出来るかどうか分かりません。


地元の井戸屋さんは、たいてい近隣の地形を知っているので、
出る、出ない、と判断してくれると思います。

しかし、山手の方になると水の出にくいところも多く、
井戸屋さんは地形を見て判断する事になります。

場合によっては、掘ってみなければ分からない事もあります。

水が出れば、腕の良い井戸屋さん

出なければ、腕の悪い井戸屋さんと判断されるのも、

井戸屋にとって悲しいことです。


水を通す透水率の悪いところには、丸井戸のように80cmも1mの
太い井戸を掘れば徐々にたくさん水が貯まります。

でも、細いパイプを入れた井戸では少ししか水は溜まっていません。
そのためには、水を通しやすい地層が必要となります。

井戸は、どこでも同じ条件では掘れません。

そのために、工事金額も大きく変わってくるのです。