トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

マチャアキJAPAN・ザンジバルでの掘削方法

2014年01月26日 | 日記
マチャアキJAPAN・第7弾・ザンジバルでの井戸掘りについて

井戸掘りの理屈がイマイチ理解できないと言う意見が寄せられます。

もう2年前になるのに正直びっくりしています。

あの井戸掘りについての疑問で多いのが、粘水についてです。

確かに、私の掘り方では粘水は使いませんでした。

これには以下の理由から判断しました。

そもそも粘水(ねばみず)とは文字通り粘土を溶かした泥水です。

これは何のために使うのか?

大きな意味で言えば、

1、穴の崩れを防ぐ

2、地層を液状にする

これが重要なことになります。

通常は、ねば水を満水状態にして穴を掘っていきますが、

ザンジバルの場合は、粘水は一切使いませんでした。

その理由は、

掘削する地層がサンゴの隆起した地層であり、崩れにくいものであった。

また、地下水が深いと想定されたからです。

つまり、地下水が出てくるまでは地層は崩れにくいのです。

地下水が出ることによって穴の壁が崩壊します。

それから、掘削する地層には粘土分も含まれていました。

このことによって、ねば水を使用することをやめました。

実は、井戸の掘削が完了してパイプを挿入したあとで

一番厄介な作業が、ねば水の除去です。

ねば水を使わなければ、後々の洗浄作業が楽になります。

と言うことで、バケツ1杯の水を穴に入れ、

堀鉄管を上下させ地層を突っつき液状化させる。

液状化した地層をスイコによって汲み上げる。

この事により、穴は常に空っぽ状態になっている訳です。

それでも液状化した泥水により穴の壁は塗り壁のように保護されています。

バケツ1杯分の水で地層を溶かし、その泥をスイコで汲み上げる。

まさに、この工法で掘り進めました。

30mを超えた位から堀鉄管に水が滴る筋が見受けられました。

また、スイコで汲み上げる泥水もうすくなり、

かつ、バケツ1杯分より多い水が出てきます。

これは地下水が出てきているという証拠です。

ここまで来ると、いよいよ慎重に進めなければなりません。

先ほど述べたように、地下水が出てくると穴の壁は崩れます。

こうなると、本格的なねば水工法です。

地下水位より粘水が下がると、水位まで戻ろうと壁から水が出てきます。

その水を抑えるために、ねば水は常に地下水位より上に保ちます。

この状態で地層をどんどん液状化させます。

これで掘削完了。

パイプ(ストレーナ)を入れ、パイプ内の泥を汲み上げます。

これにより、地下水が入り込み完成です。

後はポンプを取り付け、どんどん汲み出し、綺麗な水が出てきます。

人力の作業の場合、ただ井戸を掘るということだけでなく、

後々の作業が容易にできることも視野に入れなければなりません。

ただ単に、ねば水を使うのではなく、

その地層に対して、いかにスムーズに簡単にすすめるか?

ここが最大の考えどころだったのは事実です。


みなさんの井戸掘りに少しでも役にたてば・・・と思います。


では(o・・o)/

防災井戸・災害時のために古井戸復活

2014年01月16日 | 日記


1月14日、東海テレビの「スーパーニュース」で防災井戸が放送されました。

災害時の為に改めて井戸の重要性を見直すというものです。

新たに井戸を掘る人もいれば、古井戸を復活させる人もいます。

今回の私の撮影は、古井戸復活の部分でした。

名古屋を襲った超大型台風「伊勢湾台風」から今年で55年

その台風により、使用していた掘り井戸が海水に浸され使用不能に、

その後、簡易水道さらに上水道と普及され井戸は完全に眠ったままとなった。

嫁に来たとき、近所の人たちも水を汲みに来ていた古井戸

今の時代になって、何とか井戸を甦らせたいと言う願いがお婆さんにはあった。

そして私に古井戸再生の依頼が入り、今回の井戸再生状況が放送されました。

電気も動力も必要としない手押しポンプの井戸は災害時には威力を発揮する。

55年ぶりに井戸から出る水に老夫婦の笑がこぼれた。

今の時代に井戸?

井戸水って飲めるの?

災害によって水道が何ヶ月も不能になったとき、こんな言葉はでるのかな?

供給されるものがすべて止まり、物資も届かなくなるのが災害であり、

それに対処するのが防災なのです。

1人2人が災害に遭えば、すぐに救助されるでしょう。

しかし、何十万、何百万の人が災害にあったらどうなるか?

のんきに救助を待って居られないでしょう。

災害が起こったとき、まず必要となるのが水なのです。

みなさんの家に閉ざされた井戸がありませんか?

あなたの命を助ける井戸が粗末にされていませんか?

そんな命の宝物を眠ったままに・・・


では(o・・o)/