トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

井戸屋になりたい、井戸掘りを学びたい

2012年08月31日 | 日記
最近、井戸掘りを教えていただきたいというメールが増えてきました。

と言うより、井戸掘りの事業をしたいようです。


今の時代、フランチャイズ方式でいろんなものが増えています。


全国には大小たくさんの井戸業者がいます。


しかし、気が付きませんか?


井戸屋さんには、全国にグループ化してやっている業者

つまり、井戸のフランチャイズ店などめったに存在しませんよね。

大手鑿井会社は全国に支社や営業所をもってやっていますが、

個人の井戸屋さんが横の手を全国に繋ぐことはあまりないでしょう。


井戸というものは、地形によって様々な地層があり、

どこでも同じ作業で同じ井戸が出来るものではありません。


自分の住む地域で専門的に知識を積み重ねて行くほうが無難と言えます。


ただし、大手業者の持つ機械はあらゆる地層でも容易に掘ることができ、

どんな場所も選ばず素晴らしい井戸を掘っています。

最近主流のダウンザホールハンマー工法は、従来のボーリング工法で

困難な玉石層でも、1日で30m以上掘ることもあります。


でも、こんな井戸掘りになると工事金額も200万円以上かかることも普通です。


一般の家庭用井戸は、平均的に20万から40万円程度です。


あ!・・・話がそれてしまいました(#^.^#)


と言うことで、

家庭用井戸は安く掘ることが求められます。

でも、いくら安く掘るとは言え責任をもってやらなければなりません。

つまり、それだけの技術を持ってやるべきです。


柔らかいところだけを掘り、そこで水が出れば「はい!井戸の出来上がり」

砂利が出れば、これ以上は掘れません。

こんな井戸屋がいるという事を前回も書きましたが、

井戸掘りは趣味ならともかく、

安易な気持ちでやりだそうとはしないでくださいね。


もし、本気で井戸屋をやりたいならば、井戸業者で働きましょう。

そして、本物の井戸屋としてやりだしましょう。


お客様は、井戸に素人な方が多いです。

その素人相手に、素人の井戸屋がうまいこと言い丸めて

掘り易いところだけ食って、掘りづらいところは食い残して

そこまでの代金をもらって帰って行く。

それでは、井戸屋とは言えませんね。

井戸屋をやるなら、喜んでもらえる井戸屋になってもらいたいですね。

井戸ポンプから水が出ない原因

2012年08月26日 | 日記
やはり、この問い合わせが一番多いですね~

今日は、家庭用の地上式井戸ポンプについてお話します。


水中ポンプやジェット式の地上ポンプは別として、

通常の地上式(吸い上げ式)の井戸ポンプは吸い上げの揚程は、

ほとんどの機種が8mになっています。


これは、150wの物でも750wの物でも、手押しポンプでも、すべて一律です。


なんで力が弱いポンプでも強いポンプでも同じなのか?


前回も述べたように、吸い上げる水には物理的限界があるのです。

大気圧の関係で、水を引っ張り上げるには約10mが限界です。

つまり、水をロープに例えれば10mで切れてしまうと同じ意味です。


「親戚の家は50mの井戸でも地上式ポンプで水が豊富に組み上がるのに、

なぜ、我が家の20mの井戸は地上式ポンプで汲み上がらないの?」

こういった話は珍しいことではありません。


地下水には、表層の不圧水は別として、被圧という圧力がかかっています。

この圧力により、水は上昇してきます。

地面より上がってこれば、自噴井戸(湧水)ですので、ラッキーですね(^_-)-☆

しかし、通常はある程度の深さで落ち着きます。

その落ち着いた位置が、その井戸の水位面になるわけです。


ですから、深さ50mの井戸でも100mの井戸でも、

水位面が8m以内であれば地上式ポンプで汲み上げれるわけです。


ただし、上昇する地下水より汲み上げる速度が速いと、

水位は下がり空気を吸ってしまいます。

ところが、吸い上げ用のパイプが仮に12mの長さとした場合は、

空気は出ずに、いつまでもチョロチョロと水が出る場合があります。

これは、先程述べたように、地下水が10mより下がると水は上がりません。

しかし、ゆっくりでも水が上昇してくる場合は、

その10m以内に上昇する水量分だけが汲み上がってきます。


例えて言うなら、50個の荷物があるとします。

そこに、5個、7個、10個の荷物を運ぶ3台のトラックがあるとします、

それぞれが、荷物を運んで往復してくると新たに5個の荷物が増えるとします。

5個のトラックは、運んでも運んでも新たに5個増えるのでいつまでも運べます。

7個のトラックは、7個減って5個増えるので差し引きマイナス2個です。

10個のトラックは、10個減って5個増えるので差し引きマイナス5個です。

7個と10個のトラックはだんだん荷物が減っていき、増える分だけの荷物になります。

ということは、最終的にどのトラックも5個の荷物しか運べませんよね。

わかりますか?この理屈。


なんだか難しいですよね。

では、Q&Aで解説します。

Q「水は出るが間欠的に空気が出てを繰り返す」
A「地下水の水量が足りていません。汲み上げパイプを11mまで降ろしましょう」

Q「11mまで降ろしたら、空気は出ないが水量がかなり少ない」
A「その水量が地下水の回復速度ですので、地上式ポンプではそれが限界です」

Q「夏は出ていたのに、冬になったら水の出が悪くなった」
A「基本的に夏の方が地下水は上昇する事が多いのでポンプの異常ではありません」

Q「ポンプは動いているが水が出ない」
A「汲み上げパイプが10m以上の長さの場合、それ以下の水位になっている」
 「一番多い原因は、パッキンの腐食などによる汲み上げパイプ内のエアー漏れ」

Q「水量が少ないのでW数の大きいポンプに変えたが水量が変わらない」
A「述べたように、水位が10m以下になればその上昇分の水量しか汲み上げれません。ポンプの大きさは関係ありません」

今日の話は少し難しかったかな?


井戸とポンプの関係は、水量、水位によるもので、

井戸の太さや深さに比例するものではないのです。







悪質な井戸業者に注意してください

2012年08月25日 | 日記
ある御客様と何度もメールのやり取りをしています。

井戸は、安い費用で良い水が出せれば最高に嬉しいですよね。

そのお客様は、海に近い小高い山に住んでいます。

1年ほど前に現地へお伺いしましたが、水は浅く出るような所ではなく

水中ポンプが必要になる可能性が高いところでした。

そのため、太く深く掘らなければなりません。

しかし、地層も砂利の含有量の多い砂礫であり、かつ、マトリクスは粘土と

地下水の透水性も低く、井戸は大掛かりな工事になります。


そんな訳で、ご説明をして工事をせず我々は引きあげました。

もちろん、なんの代金も受け取っていません。


ところが、そのお客様は諦めきれず他の業者で井戸を掘りました。

水が出たとか出ないとか、その経緯はよくわかりませんが、

代金を○○万円払ったらしいです。

その後、水がまったく出ないので私に問合せをしてきました。

水が出てるかどうかの確認の方法を教えたところ、やはり水位に達していません。

どうやら、洗い水だけを出して終わったようです。

その業者いわく「最初はちょろちょろ出る程度ですが、日数を追って井戸の底にガマが出来てくるので最終的に水は豊富に出ます」と言って帰ったそうです。


私は30年以上も井戸に携わってきましたが、井戸の底にガマが出来るとは思いません。

確かに、取水すれば帯水層の間隙の水の通りは良くなってきます。


素人相手にいい加減なことを言う素人業者は許せませんね。


更に驚いたのは、そのお客様が他の業者の見積もりを見せてくれました。

書かれていた金額は、それぞれの業者によって様々ですので別に驚きませんが、

注意事項に書かれている内容にびっくりです。


硬い砂利層に当たった時点で作業は終了と書いてあるのです。

じゃ~、何が掘れるの?・・・ですよね。

砂利層だから、岩盤だから、金額が上がります。と、言う事なら納得できます。

だけど、砂利は掘れないという事では失格ですよね。

それも、結構な金額が書かれていましたよ~・・・((((;゜Д゜))))


確かに、私が掘った井戸でもチョロチョロしか水の出ない井戸もあります。

でも、それは掘る前にこうなる可能性を分かって頂いた上で工事をします。

掘ってみなければ分からない時は、確認の調査ボーリングもします。


無理ならば無理と言います。


今の時代、ホームページが主流となりました。

見出しの素晴らしいホームページ=素晴らしい井戸業者ではありません。


過去の事例写真やお客様からの声などは、参考程度にしておきましょう。

一番の問題は、本当にプロかどうかです。


通販で売っている簡易的な機械で井戸を掘る業者が最近目立ちます。

もちろん、本業の方でもこういった簡易的な機械を使う人がいますが、

それはそれなりにノウハウをわかって掘っています。


私も自作で簡易井戸掘り機を作りました



正直、砂や粘土が主流で多少の砂利も掘れますが、硬い地層は掘れません。

つまり、この機械だけでは井戸業者にはなれませんね。


井戸業者とは、過酷な条件の地層と向き合い、日々努力を重ね職人としてやっています。

くれぐれも悪質な業者に騙されないようにしましょう。




災害用のため個人の井戸に役所が呼びかけ

2012年08月19日 | 日記
震災のあと、災害用のため井戸を掘る家庭が増えている。

昨年に比べ、若干減ってはいるものの、もしもの為に考えている人が多い。

全体には、費用も安い一般家庭用の浅井戸を掘る人が多いが、

飲用というより、洗濯や風呂などの雑水で考えているようだ。


通常、浅井戸になると鉄分が多く含まれる水が大半である。

そんな水を飲んでもおいしい水とは言えないが、

短期間飲んでも死ぬわけでもない。

災害時なら、そんな水でも非常に助かるであろう。



最近、市町村の役場からこんな呼びかけがある。


「あなたの家庭の井戸を災害用井戸に指定してくれませんか」


なるほど・・・それは良いことですね~


しかし!!!

それはなんか変じゃない?


呼びかけは間違ってないと思うけど、

先ずは役所が、避難場所や学校または公園などに災害用井戸を掘るべき。


立派な井戸じゃなくても、手押しポンプ程度の浅井戸なら費用も安いはず。


なぜ、掘らないのかな?

結局、管理者の問題があるのだろう。

災害が起こってからでは遅いはず。


管理体制をしっかりさせ、災害が起こる前に準備をしておく。

これが防災というものではないのだろうか?


個人を頼るのもいいけど、

それ以前に役所が災害用井戸の設置を考えるべきだと思う。