トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

古井戸を安全な井戸に再生しました

2016年02月19日 | 日記
今回は、古井戸再生の一例をお見せいたします。

お客様から古い井戸を安全なかたちで再生できないかと連絡を受けました。

現場に行ってみると、かなり古い井戸で土管の井戸枠がありました。



井戸枠は、なんと大きな石の上に乗っかっている状態で、

その石の下の井戸の壁はむきだした状態でえぐれています。

正直、井戸の周りのコンクリートにもヒビが入り、立っている事さえ危険です。



とりあえず、恐る恐る井戸枠を外してみました。

この大きな石が辛うじて井戸枠を支えていたんですね。



井戸の壁はかなり崩壊しており、直径70cmの井戸枠に対し井戸そのものは

樽型のような状態に崩れ、大きいところでは直径1.5m位になっています。

井戸の深さは約5mで水深は底から60cm程水が溜まっています。

今は冬の時期で最も水位が下がっています。

井戸の壁を見ると、底から2.5mのところまで水が上がったとみられる跡があります。

降水量の多い夏場は豊富に水が溜まる井戸と判断できました。


そこで、今回はこの危険な井戸を安全に再生することを目的としました。

まず井戸内に100mmの塩ビ管を立て込みます。

塩ビ管の底から1mは水が通るように穴がたくさん開けられています。



写真のように、塩ビ管が倒れないようにロープで固定します。

そして塩ビ管がズレないように井戸底にある程度打ち込みます。

ここまで出来たら、洗った砂利で埋めていきます。



最初にうちは、塩ビ管が曲げられないように少しずつ根気よくスコップで埋めていきます

塩ビ管のブレが少なくなってきたらダンプで直接入れてもOKです。

ただ、この現場は少し狭かったので軽トラのダンプで0.5㎥ずつ運びました。

0.5㎥と言っても砂利の重量は900kgもあるので軽トラでは完全に積載オーバーですね(^^;



さあ、地面から1mのところまで埋まってきました。

ここで一旦ランマーで振動を与えて突き固めます。

ただ埋めるだけでは必ず埋めた土砂が下がってしまうので念入りに突き固めます。

突き固めが終わったら、最後は山砂または通常の土砂で埋めます。

ここまで埋めた土砂は合計で7㎥ですので大型ダンプ1台分より多いですね。

思ったより多く入りました(^_^;)




はい、写真のように40mmの内管も入れてこんな形に出来上がりました。

さあ、いよいよ手押しポンプの登場です。




はい、出来上がりました(*^^)v

水を汲み上げると汚れた水がしばらく出ます。

5分、10分と時間を追うごとにだんだん綺麗になってきました。


今にも崩れそうな危険な古井戸も、このような方法で再生すれば安全です。

ただ埋めることを考えるのではなく、災害時にも役立つ井戸

そんな考え方も良いのではと思います。

今回依頼をしてくださったお客様は、井戸の活用を非常に理解されていました

いつまでも大切に・・・


では(o・・o)/