トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

きれいな井戸水とは

2012年09月22日 | 日記
今日は、井戸掘りではなく井戸水を考えてみましょう。

よく「きれいな井戸水」という言葉を聞きます。

「きれいな井戸水が出ますか?」と言われても、綺麗の意味がどの範囲なのか?

水道の水が汚いという人はあまりいませんが、

水道水を飲まない人も最近増えていますね。

私も、水道水は滅多に飲みません。

家庭では、飲用の水を業者から取り寄せています。

また、外出の場合はコンビニでペットボトルの水を買って飲んでいます。

水道水は、塩素によって除菌され、浄水され、供給されています。

だから、安心して飲めるのですが、あの塩素の味が気になると飲みづらいですね。

では、井戸水はどうですか?

井戸水を飲めと言われても、抵抗を感じる人が多いようです。

井戸水といえば、一般細菌、ピロリ菌、大腸菌、鉄分、藻、など

いろいろ気になる物質が入っているのではないかと気になりますね。

ましてや、砒素、六価クロム、テトラクロロエチレン、など、

とんでもないものまで混入されていることも希にあります。

そう考えてみると、雨水を溜めて沸かして飲むほうが一番安全かも?

なかなか、水って難しいですね。

しかし、毒性の物質が入っていなければ沸かして飲む分にはOKでしょう。

たとえ大腸菌でも死滅してしまいますよね。

もしくは、水道水と同じように塩素を混ぜても良いでしょう。

でも、そんなの関係ない人はガブガブ飲んじゃってますよ・・・笑

ただ、鉄分の含んだ水は血生臭い味がして美味しくないですね。

あまり飲むと、身体には悪影響です。

やはり、井戸水を飲用にするには、滅菌器や除鉄機などをつけた方が無難ですね。

そして、保健所できちんと検査を受けましょう。

と言うわけで、水道水でも井戸水でも滅菌処理する前は同じような水ですね。

あまりにも日本は綺麗に拘りすぎる国なのかもしれません。

話は長くなりましたが、

皆さんが言う「きれいな井戸水」というのは一般的に鉄分の混入しない

井戸水を意味してるようですね。

井戸水にとって、鉄分はみんなの嫌われ者です。

でも、こればかりはその場所の運です。

こんな水でも、昔の人は生活水として使っていたんですよね。

「きれいな井戸水」・・・それってどんな水?


では・・・





井戸掘りの穴は底なし沼

2012年09月21日 | 日記
みなさんが、深い井戸を掘ろうとするとき「ねば水」を使いますよね。

その「ねば水」って、何を使っていますか?

田んぼドロですか?それとも山でとってきた粘土?

どちらにせよ、ドロ水になりますね。

実は、この「ねば水」を作るにはコツがあるのです。

ねば水は、きめの細かい粘土を使わなくてはなりません。

ボーリングにはベントナイトという粘土の粉を水に攪拌し「ねば水」作ります。

ベントナイトは、通常1袋25kgで¥1200-前後で売っています。

でも、限られた所でしか扱ってなく、普通の建材屋では売っていません。

まあ、そこまで拘わることもないので、とりあえず粘土を溶かしましょう。

溶けた粘土水が、しばらく放置しておいても分離せずに

粘土水を保った状態になっていなくては意味がありません。

下の方に沈殿し、上の方は水になっていては「ねば水」と言えません。

分離する原因は、粘土の粒子が粗く、見た目は粘土でも実際は砂です。

ですから、本当に粘性の高いきめの細かいものを使わねばなりません。

砂の多く含んだものを使って、数日間放置しておくと

土に戻って、穴がなくなってしまいます。

また、海水などが混ざったりすると、ねば水は分離してしまうので要注意です。

ねば水の濃さは、説明が難しいのですが、

1ミリくらいの砂が沈まない程度が理想です。

場合によっては、もう少し濃くすることもあります。

濃くするには粘土の量を増やせば良いのですが、

石灰やセメントを少量分、水に解いて入れるとバッと濃くなります。

しかし、セメントはあまり使用しないほうがイイですね。


この「ねば水」が上手く管理できれば、1人前の井戸掘り職人と言っても良いでしょう。

それくらい「ねば水」というのは掘削に重要な役割を果たしています。

これをミスすると、穴を崩したり、堀鉄管が抜けなくなったりの

トラブルを引き起こします。


結局、井戸掘りは土をねば水に置き換える作業なのです。

泥水に置き換えて、ズルズルとその中にパイプが入っていけば、ほぼ完成です。

後は、その泥水を汲みだして洗えば井戸の出来上がりですね。


つまり、井戸掘りというのは、パイプが入る底なし沼を作ることなのです。

さあ、どこまでの深さまで底なし沼が作れるかな?

良いねば水を作って、立派な井戸を作ってくださいね。


では・・・(o・・o)/

上総掘りの原理を活用

2012年09月20日 | 日記
日本古来の深井戸りと言えば「上総掘り」という工法があります。

マチャアキJAPANの第4弾「ケニア」第5弾「ウガンダ」で、

清水武雄さんが、上総掘りをしていました。

実際には、すべてが上総掘りのやり方ではないのですが、

原理的には、上総掘りの応用です。

上総掘りには「ねば水」という泥水を使用します。

この泥水に、掘り進む土砂が混ざり泥状になり、

細かな砂は泥に混ざり、砂利などはスイコという逆止弁のパイプで取り除きます。

それと同時に、その泥水が孔壁の崩れを止める役割もしています。

清水さんが、竹の代わりに使用したタイヤのチューブは、

はね木というもので、突っついた時に地層に刺さった堀鉄管を

その反発で引き抜くためのものです。

私が、ネパールやタンザニア「ザンジバル島」で行った工法は、

ビームパーカッションの人力バージョンです。

ビームパーカッションは、重い堀鉄管を自然落下させ、

吊るしたワイヤーで強引に引き抜くといった繰り返し作業です。

これも、上総掘りを応用した日本の井戸掘り技術で、

この時代になっても、まだまだ現役で深井戸を掘っています。

あの、マチャアキJAPANで、私と清水さんの大きな違いが1つあります。

なにか分かりますか?

それは、ねば水の使い方です。

清水さんは、ねば水を満水状態で掘っていきました。

私は、ねば水をほとんど使わず掘っていきました。

どっちが正しくて、どっちが間違っているという事はありませんが、

どちらかと言えば、清水さんの方が正しい掘り方です。

では、なぜ私はねば水を満水にしなかったのか?

それは、掘る前から井戸水は深いと予想していました。

掘削の際、地下水が出てこない限り穴は崩れません。

地下水が出ることにより穴が崩壊するのです。

ですから、掘り進む土砂分だけのねば水を入れながら掘り進みました。

この事により、穴の中のねば水が少なく、

完成時の井戸洗いも、ねば水が少ない分、楽に洗い出せます。

井戸を深く掘るには、ねば水は必要ですが、

そのねば水を洗い出す作業は、なかなか大変です。

しかし、清水さんが掘った井戸は上層の水ではなく、

その下の層から井戸水を出すという過酷な条件でした。

あの場合なら、ねば水は満水状態が当然になります。

私でも同じやり方をしたと思います。


ネット上で、自作の井戸掘りをしている人を見受けますが、

パイプを繋ぐのも、ワイヤーで吊るすのも、

基本的に、深井戸を掘るには上総掘りの応用が主流になります。

上総掘りを理解し、そして応用し、オリジナルの井戸掘りに挑戦していただきたいです。


では・・・







冬になると涸れる井戸とは

2012年09月19日 | 日記
井戸が涸れる

こんな話は本当に多いですね。

今回は涸れる井戸について御説明します。


そもそも、井戸水というものは雨水と言っても過言ではありません。

川の水だって山から流れてくる雨水が大半です。

山に降った雨や雪解け水は、川を流れてきますが、

地面に浸透していく水もあります。

その浸透した雨水は、その場所によっていろんな地層に浸透します。

地層は、幾重にも重なっています。

その地層の中で、水が浸透する地層を通って流れてきます。

浸透して流れていく水が、行く手を阻まれるとどんどん圧力がかかります。

こうなると、ときに地面を突き破り水が吹き出します。

これが、湧水(自噴井戸)の原理です。

話は飛びますが、平野部に井戸があるとします。

平野部は、山から流れてきた地下水が溜まります。

つまり、平野部というのは地下の海といってもよいでしょう。

海抜5mの地域に10mの井戸が掘ってあれば枯れることはありません。

地下水は自然の原理に基づき、上から下に流れて行き下に貯まるのです。

海底に地下水が吹き出していることなど、珍しい話ではありません。

ここまでの説明である程度理解できると思いますが、

井戸が涸れる地域は、地下水の終着点ではなく流れていく途中なのです。

夏は、雨も多く、春から溶け出した雪などが流れることにより、

地下の水位が上がります。

でもこれは、川の水位が上がったのと同じ意味なのです。

水の流れが少なくなれば、川の水位は下がります。

同じように、井戸の水も下がる訳です。


しかし、以前は冬でも水があったというお話を聞くことがあります。

そこの話になるといろんな要因があります。

地下の中に水が流れることにより、細かな土砂が目詰まりを起こし

流れるべき方向に流れなくなることもあります。

つまり、地下水の方向が変わる(みず道が変わる)ということです。

トンネル工事や、建築構造物の基礎に影響されたり、

大きな企業が、大量の井戸水を汲み上げだしたなど、

こんな要因もあります。


以上述べたことが、すべてではありませんが、

ほとんどの場合が、こう言った要因で起こっています。


補足ですが、

涸れる井戸のご相談は、ほとんどが昔ながらの丸井戸です。

手掘りの丸井戸は、人が穴に入って掘るため、

水が出始めた位置から、そんなに深く掘り下げれません。

ですから、2~3m水位が下がるだけで井戸が涸れるといったことが起こります。

このようなことから、井戸は夏よりも冬に掘ったほうが無難と言えます。


もう一つ言えることは、井戸は水位面より深く掘れば掘るほど涸れません。

まあ、こんな事は当然な話ですね。


山や丘にある井戸は、しっかりとした井戸を掘りたいものです。


では・・・


井戸水と鉄分

2012年09月14日 | 日記
自然の恵み井戸水ですが、

多くの人が悩んでいるのが鉄分ですね。

地域によって、鉄分の含んだ水を「カナケ水」とか「そぶ水」とか言います。

鉄分が多く含んだ水は、地表面に汲み上げられると、

空気中の酸素に反応して、見る見る黄ばみが出てくることがあります。

井戸水には鉄分が含まれているのは当然ですが、

使用目的に応じて我慢の限度がありますね。


鉄分が含まれた水でも、臭はするが黄ばまない水

なんの臭もしないが、黄ばんでくる水

と言うことで、鉄分の量と臭は比例しないようです。


そこで、鉄分が含まれているかどうかを簡単に調べてみましょう。

まず、透明のコップやペットボトルに井戸水を入れます。

なるべく多く容器の90%位入れましょう。

そこに、沸かした緑茶を入れます(麦茶ではダメですよ)

入れる量は、井戸水に対して5~10%位です

すると、鉄分の含まれる水は少し黒ずんで来ます。

鉄分が多いと真っ黒になり、まるで醤油のようになります。

鉄分が少ないと、透き通る紫色程度で留まっています。

一概には言えませんが、変色しなければ鉄分に関しては飲用基準OKの場合が多いです。


この実験で起こる水の変色の理由は、
 

緑茶に含まれるタンニンという成分が、鉄分と結合して起こる変色です

タンニンは、いろいろな植物の葉などに含まれていますが、

井戸水には緑茶に含まれるタンニンが一番反応しやすいように思います。


さあ、タンニンで井戸水の除鉄をしましょう。

ざんねん!( ̄▽ ̄;)!!

そんな優れものは、まだ無いようです。

除鉄装置には塩素を混ぜたり、特殊なフィルタで除去したり

結構、高額な設備が必要ですね。

まあ、散水程度の雑水ならある程度の鉄分が含まれていても気になりませんね。

では・・・