トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

井戸から砂がでる理由

2014年09月24日 | 日記
今日は、井戸から砂の出る理由を説明します。

井戸水ってどこから出てくるかご存知ですか?

そんなこと誰でも知ってますよね。

そうです、地中から出てきますよね。

そもそも、岩盤層であっても軟弱な地盤であっても

岩盤の亀裂や土質の間隙にある地下水を汲み上げるわけです。

通常、井戸のパイプ(ストレーナ)には穴が開けられ

その上から細かい目の編みが巻かれているのが一般的です。

これは、まさに砂が井戸内に入り込むのを防ぐ役割です。

ところが、この網目をくぐり抜ける細かな砂は非常に厄介なものです。

網目より砂の粒子が大きければ絶対に砂は入り込めません。

砂が出るということは網目よりも砂の粒子が小さいということです。

ならば、うーんと細かい編みや、ろ紙のようなものにしたらいいのでは?

答えは。NO なのです。

あまりにも網目を細くすると地下水も通りが悪くなるのです。

ここからの説明をよ~く理解してくださいね。

たとえば、10cmの網目では鶏の玉子は通り抜けてしまいます。

でも、その網に100個の玉子を乗せて持ち上げたら

ある程度の玉子は落ちますが、ほとんどが持ち上がります。

つまり、網目より小さいはずの玉子であっても、

玉子同士が絡み合って網目から落ないのです。

井戸パイプの外側は、こんなような感じであることを覚えておいてください。

なら、どうして絡み合ってる砂が動いて井戸内に入り込むのか?

編みが破れてしまったなら話は別ですが、

砂が動いてしまう理由は衝撃なのです。

ザルに小麦粉を入れてもザルの目から小麦粉は落ちません。

でも、ザルをトントンと軽く叩くと小麦粉はパラパラ落ちてきますね。

これと同じように井戸内に細かな砂が入り込むのです。

そこで理解して欲しいのが、この衝撃についてなのですが、

井戸水をポンプで組み上げると井戸内の水位は下がります。

そして、その水位まで回復しようと井戸内に地下水が入り込みます。

この水が動くということも衝撃なのです。

50mmのパイプの太さの場合、1mあたり2Lの水が溜まります。

これを毎分30Lのポンプで汲み上げれば1分間で15m水が動きます。

秒速に直すと、毎秒25cmで水が上昇します。

正直、毎秒25cmの水の上昇なら直径1mm程度の砂なら舞い上がってきます。

それを防ぐためには、水の上昇する速度を遅くしなければなりません。

でも、どうしても水はたくさん出したい。

ならば、どうすれば???

井戸を太くすれば良いのです。

ドラム缶くらいの太さの井戸なら、毎分30Lで組み上げても毎秒1cmと上昇しません。

もちろん、どんな細かな砂も上がってきません。

でも、そんな口径の井戸を掘ったら莫大なお金がかかってしまいます。

そのためにも、その井戸に似合った使用をしていただきたいです。

ただ、砂利層や粒子の粗い層から汲み上げる地下水は、

先程話したように、網の目に砂が通らないため、大量の水を汲みあげても

なんの支障もなくどんどん水を汲み出せます。

そんな井戸を目の当たりに見せられ、自分の井戸はなぜこんなに砂が?

って、よくある話なんですよね。

井戸水って、水道と同じ感覚で考えてはダメなのです。

20m離れたらまったく違う条件になることも往々にあります。

安価な浅井戸の場合、表層の浅い部分から水を集水するため

このような細かな砂の部分から集水することも多々あります。

特に農家の方は、こんな程度の井戸から大きなスクリューポンプで

大量の水を散水する光景を目にする事があります。

砂が出て当たり前、出なければラッキー

砂が出れば、それは下手くそな井戸屋だ!と言われるのも悲しいですね。

では (o・・o)/