井戸掘りが完成して水が出てくると、誰もがにっこりと笑みを浮かべます。
自分の敷地の地下から水が出てくるって魅力的ですよね。
しかし、その喜びも束の間。
数日後にお客さんから電話がかかってきました。
「井戸水に油が浮いている」「コンクリートや庭石が黄ばんでしまった」
こう言う連絡は時々あります。
これは、油でもなんでもありません。
井戸水に含まれる溶解鉄(鉄分)が酸化して現れてくる黄ばみです。
油膜のように浮いていますが、指で触れると割れるようにヒビが入ります。
本当に油ならそんな風にはならないですね。
通常、家庭用の浅井戸には鉄分が含まれることが多いです。
その旨をお伝えし、了承して頂いてから工事をするのですが、
「こんな水だとは思わなかった」
「井戸の工事にかかったお金を捨てたようなものだ」と
後になって、噛み付くようにクレームを入れてくるお客さんが時折います。
気持ちは分かるのですが、
地上式ポンプを取り付ける浅井戸には井戸の深さに限度があり、
その位置から出てくる井戸水はそのものであり、
いくら井戸屋であっても、水質を変える事はできません。
もちろん、深く掘り下げれば良質な水は出ますが、
100m掘っても鉄分が出る井戸水もあるので、
その工事金額は桁外れの莫大な金額がかかってしまう事もあります。
井戸屋として、掘削前にある程度の説明をしますが
どんな水質の水が出るかは掘ってみないと分からないと言うのが現実です。
井戸水は水道水とは違います。
滅菌や浄水工程をした水ではなく、地下水そのもの。
つまり、原水なのです。
それを水道水と同じ感覚で考えられてはどうすることもできません。
井戸工事は井戸水を出すことにより工事金額が発生します。
水質が悪いから井戸は失敗というものではありません。
除菌装置、除鉄装置、浄水器など付加器具の取り付けにより
水道水と同じ水になるわけです。
ただストレートに水道水と同じ井戸水を出すことが出来るなら、
どこの家庭も水道から井戸水に切り替えてしまうのではないでしょうか?
庭への散水、汚れ物の洗い水など、雑水として使用されることがベストと思います。
もちろん、場所によっては、井戸水そのものが飲用出来る良質なものもあります。
井戸水とはどんなものか、ということを理解し、
掘削される井戸屋に自分の意見を伝え、きちんと説明をしてもらい
それで納得できれば工事の依頼を考える方が良いでしょう。
昔は、誰もがなんの処理もせず、その井戸水を生活水にしていました、
世界一水質基準の厳しい日本の水道水と、浅井戸の水を、
同じ基準で考えるのは、かなり無茶と言えます。
井戸水は、所によって使い物にならないほどの水が出る場合もあります。
何度も繰り返しますが
井戸を掘る場合は、井戸屋さんに詳しく説明をしてもらってから
工事に取り掛かってもらいたいですね。
では(o・・o)/